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【問題解説】センター試験平成30年度本試験ⅡB 第4問

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 先週は、木金と更新をトバしてしまった。毎日更新と謳ってるわけじゃないけど、ゴメンナサイ。

 

ということで今回からベクトルの問題。

 

問題

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解説

まずは言われたとおりに図を書いてみる。

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こんな感じかな。ということで(1)へ。 

(1)

$\vec{p}=\overrightarrow{FA}$

$\vec{q}=\overrightarrow{FB}$

$\vec{r}=\overrightarrow{FC}$ 

と、それぞれ$F$を始点として表現されるベクトルで$\overrightarrow{AB}$と$|AB|^{2}$を考える。

 

ベクトルにおいて、始点の変換は超基本だけど、念の為確認しておく。

一般に$\overrightarrow{XY}$において、始点を$Z$としたいとき、

$\overrightarrow{XY}=\overrightarrow{ZY}-\overrightarrow{ZX}$

と表現できる

証明というほどのことでもないこの証明は、図を書いたら明らかだ。

 

これを使って、始点を$F$にすれば、$\vec{p}$、$\vec{q}$、$\vec{r}$で表現できるわけだから

$\overrightarrow{AB}=\overrightarrow{FB}-\overrightarrow{FA}=\vec{q}-\vec{p}$ 

となって、②と一致する()。

 

次に$|AB|^{2}$を計算する。ベクトルからスカラー量への橋渡し、表現の変換方法の王道は内積計算の利用だ

 

ということで、

$|AB|^{2}=(\vec{q}-\vec{p})\cdot (\vec{q}-\vec{p})$

$=|q|^{2}-2\vec{p}\cdot \vec{q} +|p|^{2}$

と計算できては2とわかる。

 

この辺が解けないのは、教科書を読んでねとしか言いようがない。読んでもわからないのは、インプットしたことをアウトプットするという基本的な能力が身についていない。これくらいのことと切り捨てる大人は多いが、大人になっても、インプットで手に入れた一般則を目の前の事象に適用してみるというこれくらいのことができない人は結構多いので凹むことはない。じゃどうすればいいの?という点については、別途説明の場を設けたいと思っている(思っているだけかもだけど)。

 

(2)

$\overrightarrow{FD}$を求める問題。

 

$D$ってなんだっけ?と問題文読んでみると内分する点なわけで、じゃ内分点の公式を使えば終わりだねとなると身も蓋もないので少し丁寧に考えてみる。

 

ベクトルというのは、長さと方向を示すものなわけで、矢印そのものだ。それ以上でもそれ以下でもない。で、ベクトルの問題は、それを目的地まで繋いでいくゲームだと捉えて間違いない。その過程のなかで、作業を端折れる公式がほんのりあるだけで、繋いでいく精神がもっとも重要だ。じゃどこをつなぐの?となると、端的に言えばわかっている点(もしくは簡単にわかる点)で繋いでくということになる。

 

今、$\overrightarrow{FD}$を考えるときに、わかる点は$A$と$B$だ。$C$は$D$と直接関係がない。$D$は線分$AB$を内分する点だから、ベクトルで言うところの長さと方向のうち、長さに関する条件が与えられていると解釈できる。

 

具体的に計算してみよう。

$\overrightarrow{FD}=\overrightarrow{FA}+\overrightarrow{AD}$

ここで、$\overrightarrow{AD}$がわかんないよ(求まってないよ)となるわけだけど、長さと方向を考えたときに、長さは内分点であることからわかり、方向は$\overrightarrow{AB}$と同じと図を見ればわかるので

$\overrightarrow{AD}=\dfrac{1}{4}\overrightarrow{AB}$

と書けて、$\overrightarrow{AB}$はそういえば求めたよねということで

$\dfrac{1}{4}\overrightarrow{AB}=\dfrac{1}{4}(\vec{q}-\vec{p})$

とわかる。ゆえに

$\overrightarrow{FD}=\overrightarrow{FA}+\overrightarrow{AD}$

$=\vec{p}+\dfrac{1}{4}(\vec{q}-\vec{p})=\dfrac{3}{4}\vec{p}+\dfrac{1}{4}\vec{q}$ 

とわかる()。

 

ベクトルは、長さと方向さえ用意できれば正体は明らかになる。計算が面倒なことはあるけど、裏を返せば、手の運動に過ぎないことが多い領域だ。

 

ということで、今回はここまで。

 

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