大学時代、余興で教授にこんなことを問われたことがある。
簡単に以下の2ケースを考えてみる。会社と契約を結ぶとき、どちらのほうがいいだろうか。
A:年俸600万円。毎年60万アップ。
B:半期年俸300万円。半期毎に15万円アップ。
Aは毎年60万円、Bは毎年30万円増えるわけだからAが得となりそうだ。
これを数学的に計算してみよう。
数列で考えて、$n$回目の受取額をそれぞれ$a_{n}$、$b_{n}$とする(”万円”は省略)。
$a_{n}$は初項(1年目)が600で、公差は毎年60万円ずつだから
$a_{n}=600+60(n-1)=60n+540$
となる。
一方、$b_{n}$は半年ごとにお金が入るのと、昇給がある。
ゆえに
$b_{n}=300 + 15\left( n-1 \right)$
となる。
ここで、比較するために $ m $ 年目の受取額を考える。
$a_{n}$は $ m $ 年目に$ m $回目の受け取りとなるから
$a_{m}=60m+540$
となる。
$b_{n}$は奇数回とその次回の偶数回である年が構成されるから、具体的に $ m $ 年目は
$b_{2m-1}+b_{2m}= \cdots =60m+555$
となる。
これらのことから
$(60m+555)-(60m+540)=15>0$
となって、Bの条件の方が有利であることがわかる。
この事実は、Aは毎年60万円、Bは毎年30万円増えるわけだからAが得という感覚がズレていることを示している。計算してみればたいしたことないけど、誤解している人はそれなりいるんじゃないだろうか。
数学を使ってベールをとってみると違う真実が見えてくるなんてことはいろんなところであるから、つくづくボクらはバイアスのカタマリなんだなと。数学が何の役に立つんだ!という人がいたらこの問題をそっとプレゼントにどうぞ。

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