数学が好きなサラリーマンのブログ
数学が好きなサラリーマンのブログです。数学ネタから大学受験数学、ビジネスやライフスタイルまで数学が好きなサラリーマンの頭の中を大公開しています。
2023-12-31T23:42:32+09:00
mathbanker
Hatena::Blog
hatenablog://blog/8599973812281106919
年の瀬に無理やり教訓めいた記事で今年を締めくくってみた。
hatenablog://entry/6801883189071396352
2023-12-31T23:42:32+09:00
2023-12-31T23:42:32+09:00 今年はずいぶんと更新を怠ってしまった。いろいろ理由はあったんだけど、まー過ぎたものは致し方ない。2024年はもう少し活動的になれるといいかな。 さて。ほんとかどうか知らないけど、マイクロソフトが採用面接で出題したといわれるこんな問題がある。 斜辺の長さが10の直角三角形がある。直角頂から斜辺に下ろした垂線の長さが6のとき、この三角形の面積を求めよ。 この問題、正解を言ってしまうと、そんな三角形は存在しないので 「解なし」 となる。 これって、 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいませんでした、終わり。 に近い実態のなさがあるわけだけど、ここから無理矢理教訓を得るとするならば、怪しい問題…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20231231/20231231234034.jpg" width="1200" height="786" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今年はずいぶんと更新を怠ってしまった。いろいろ理由はあったんだけど、まー過ぎたものは致し方ない。2024年はもう少し活動的になれるといいかな。</p>
<p> </p>
<p>さて。ほんとかどうか知らないけど、マイクロソフトが採用面接で出題したといわれるこんな問題がある。</p>
<blockquote>
<p>斜辺の長さが10の直角三角形がある。直角頂から斜辺に下ろした垂線の長さが6のとき、この三角形の面積を求めよ。</p>
</blockquote>
<p>この問題、正解を言ってしまうと、そんな三角形は存在しないので</p>
<p>「解なし」</p>
<p>となる。</p>
<p>これって、</p>
<blockquote>
<p>昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいませんでした、終わり。</p>
</blockquote>
<p>に近い実態のなさがあるわけだけど、ここから無理矢理教訓を得るとするならば、怪しい問題はその存在を疑えということだろうか。</p>
<p>過去の問題解説でも度々引用した、浦沢直樹氏の漫画「MONSTER」に出てくるルンゲの言葉が象徴的だ。</p>
<blockquote>
<p>もう誰にも裏切られたくないのなら、一番疑いたくない人物まで疑え。</p>
</blockquote>
<p>ちょっと違うけど、若い警部へのアドバイスとしてでたセリフが似たことを示唆している。</p>
<p> </p>
<p>こんな感じのことをいうと、数学(の知識)が何に使えるのか、というテーマになりそうだけど(それもまちがってないけど)、どちらかというと逆のことを意識したい。</p>
<p>つまり、世の中でいわれるところの色んな考え方や哲学は数学の問題を解くことにも使えるということだ。</p>
<p>数学を勉強すれば世の中の何に訳立つのかということばかりを耳にするので、逆の目線に立ってみる。そうすることで僕らは自分の生活と数学を螺旋的に発展させることができるのではないだろうか。</p>
<p> </p>
<p>そんな立場から来年はもうちょっとだけ精力的に活動したいと思った年の瀬。徒然なるままに。</p>
<p>来年もよろしくお願いします。</p>
mathbanker
ネットニュース記事の論理を考えてみる
hatenablog://entry/820878482955573802
2023-08-05T17:08:59+09:00
2023-08-05T17:08:59+09:00 長らく更新できていなかったが、思ったことやちょっとした数学コンテンツについて改めてまた更新していきたい。 とても今更な話題だが、以前オリエンタルラジオの中田氏が尖った発言をしたことがニュースになった。どの記事かはあえてリンクは貼らないけど、冒頭の出だしはこんな文章だ。 >中田さんは動画内で、「中田で笑うのって結構知性いる」と発言した。それは逆に言えば、彼の笑いが受け入れられない人は知性が足りない、ということだ。 中田氏の発言が選民思想的だと指摘している。簡単に言えば、中田氏で笑えない自分には知性がないのか!他人を見下している!ということだ。レビューコメントにおいてもそんな言葉が並んでいる。 彼…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20230805/20230805170735.jpg" width="1200" height="795" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>長らく更新できていなかったが、思ったことやちょっとした数学コンテンツについて改めてまた更新していきたい。</p>
<p> </p>
<p>とても今更な話題だが、以前オリエンタルラジオの中田氏が尖った発言をしたことがニュースになった。どの記事かはあえてリンクは貼らないけど、冒頭の出だしはこんな文章だ。</p>
<blockquote>
<p>>中田さんは動画内で、「中田で笑うのって結構知性いる」と発言した。それは逆に言えば、彼の笑いが受け入れられない人は知性が足りない、ということだ。</p>
</blockquote>
<p> </p>
<p>中田氏の発言が選民思想的だと指摘している。簡単に言えば、中田氏で笑えない自分には知性がないのか!他人を見下している!ということだ。レビューコメントにおいてもそんな言葉が並んでいる。</p>
<p> </p>
<p>彼の発言の中身はさておき、本当にその解釈であっているだろうか。<br />この記事の執筆者と同じ憤りを感じた人は<br />数学なんて勉強しても意味がない!<br />とか<br />自分は勉強せずともナチュラルにロジカルシンキングできてるぜ!<br />とか普段思ってたりする場合には今回少し自省を促してみたい。</p>
<p> </p>
<p>中田氏の発言は、<br />「中田氏で笑う」という結果を得るためには、「知性がある」ことが条件だと言っている。ここから因果関係に当てはめると、<br />A. 原因:知性がある<br />B. 結果:中田氏で笑う<br />ということになる。</p>
<p> </p>
<p>これは数学的に表現すると、A⇛Bとかける。<br />ここから言えるのは、当然<br />¬B⇛¬A<br />ということであって(¬:ノットという否定記号)<br />¬A⇛¬B<br />は一般に導けないことは高校1年生の頃に学習したことだ。</p>
<p> </p>
<p>一旦冷静になって考えてみれば感覚的にも容易に感じ取れるだろう。<br />世の中には知性がある人とない人の2グループに分けることができる(正確には知性があるということを定義しないといけないけど、そこは中田氏の中に判断軸があると信じよう)。</p>
<p>中田氏の笑いではない、一般的な笑い(A氏の笑いと仮定する)であれば、<br />この2グループをさらに4グループに分割することができる。<br />① A氏で笑える知性がある人<br />② A氏で笑える知性がない人<br />③ A氏で笑えない知性がある人<br />④ A氏で笑えない知性がない人<br />ここで、中田氏の場合は、自分の笑いは①しかない、と言っていることになる。そして、記事やレビューコメントの人たちは、③の存在を忘れている。</p>
<p>別に彼で笑えなくても知性がある人は存在するわけで、なにも憤ることはない。憤るとすれば、中田氏に知性がないという烙印を押された人がそれでもなお彼の笑いを理解できた場合に、「知性がないのに笑えたぞ!どういうことだ!」というのである。</p>
<p> </p>
<p>誰かの発言の解釈の仕方を誤って、その人にクレームをいうことは非常に残念な行為だ。本当にその人はそう思っていると汲み取れるのか、少し立ち止まって考えてみるべきだ。それができないと、その行為こそが知性がない証左だと暗に示すことになってしまう。</p>
<p> </p>
<p>「嘘を嘘と見抜ける人でないと・・・」というちょっと有名なセリフがあるが、論理が崩壊している記事というのをそこそこ見かけるので、ロジカルシンキングは仕事術!ということではなく、普段から意識しておくべきことなのかもしれない。</p>
mathbanker
The king is back from Buffalo '66
hatenablog://entry/4207112889969136728
2023-03-06T23:31:23+09:00
2023-03-06T23:31:23+09:00 久しぶりの更新だけど、しょーもない話でも。 好きな映画は何?と問われたならば、ボクの答えは「Buffalo '66」だ。大学時代にこの映画に出会ってから、もう何回観ただろう。 「Buffalo '66」は、1998年に公開されたインディペンデント映画であり、監督・脚本・主演を務めたヴィンセント・ギャロによって創造された作品だ。物語は、主人公ビリー・ブラウンが、自分を拒否した家族に報復するために、誘拐したダンサー・レイラと一緒に自分を家族に紹介するという計画を立て、ロードトリップをするというものだ。その旅の途中で、彼らは真の自己発見と愛の発見をすることになる。 この映画の魅力の一つは、ヴィンセン…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20230306/20230306213355.jpg" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>久しぶりの更新だけど、しょーもない話でも。</p>
<p> </p>
<p>好きな映画は何?と問われたならば、ボクの答えは「Buffalo '66」だ。大学時代にこの映画に出会ってから、もう何回観ただろう。</p>
<p> </p>
<p>「Buffalo '66」は、1998年に公開されたインディペンデント映画であり、監督・脚本・主演を務めたヴィンセント・ギャロによって創造された作品だ。物語は、主人公ビリー・ブラウンが、自分を拒否した家族に報復するために、誘拐したダンサー・レイラと一緒に自分を家族に紹介するという計画を立て、ロードトリップをするというものだ。その旅の途中で、彼らは真の自己発見と愛の発見をすることになる。</p>
<p> </p>
<p>この映画の魅力の一つは、ヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演を務めることによって、彼自身の芸術的なビジョンが完全に表現されたことにある。音楽や登場人物、画角、ファッション、セリフなど、細部に至るまでこだわりが見られる。特に、ヴィンセント・ギャロが主演するビリー・ブラウンは、極端に不器用で、社会的に適応することができないというキャラクターが見事に表現されており、観客の共感を呼び起こす。また、ダンサー・レイラ役のクリスティーナ・リッチも、魅力的な演技を見せている。</p>
<p> </p>
<p>映画に登場する音楽も非常に印象的だ。ビリー・ブラウンが、ストライクを取った後に叫ぶ「The king is back」というセリフが印象的であり、その後に流れるキング・クルーエルの「Don't Let Me Be Misunderstood」の曲も非常によくマッチしている。このように、映画には、シーンと音楽が非常によく統合されている。</p>
<p> </p>
<p>「Buffalo '66」は、多くの人々にとって、愛される映画の一つとなっている。その魅力は、何度観ても飽きないところにある。ボクは、ビリー・ブラウンとレイラの旅に何度も同行し、彼らが自己発見と愛を発見する瞬間を共有することができる。映画を観るたびに、新たな発見がある。</p>
<p>なんだかんだ毎年1回は観ていて、最近もまた観て楽しんだところだ。</p>
<p> </p>
<p>多くのことがすでに記憶にあるから、すべてのシーンを食い入るようには観なくなって、そのせいでふとワンシーンから別のことを連想してしまうことがある。</p>
<p> </p>
<p>先ほども触れた彼女を連れてボウリングを楽しむシーン。見事ストライクを取った主人公は振り向きざまに「The king is back」と叫ぶ。</p>
<p> </p>
<p>その瞬間にふと急に<strong>King Property</strong>を思い出した。幾度となく同じ映画をみた心の余裕が、こんなところにも数学を導いた格好だ。</p>
<p> </p>
<p>$$ \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \dfrac{\sin x}{\sin x \cos x} dx $$</p>
<p> </p>
<p>みたいな問題を簡単に解くためのちょっとした公式で</p>
<p>$$ \int_{a}^{b} f(x) dx = \int_{a}^{b} f(a+b-x) dx $$</p>
<p>の等式に冠せられた名前だ。</p>
<p> </p>
<p>こんな式あったな、とサラリーマンなボクはふと懐かしくなって映画を見終わった後、まじまじと式を眺めていた。</p>
<p> </p>
<p>式が意味するところは、変数変換を$f(x)$をちょうど鏡合わせの形に行っているだけなので、そりゃ面積同じだよねってことなんだけど、”使う”って観点で捉えると、</p>
<p>不定積分だと計算がしんどくても、定積分だったら簡単にできる</p>
<p>なんて素敵なことを実現してくれる式になっている。</p>
<p> </p>
<p>この公式を使うためには、</p>
<p>$$I=\frac{I+I}{2}$$</p>
<p>なんて一見意味なさそうな等式がセットになる。</p>
<p> </p>
<p>これは、$I+I$のところが</p>
<p>求めたい式+King propertyで変換された式</p>
<p>とおけるわけで両方の式を足すことで簡素化が図られるというのがポイントになる。</p>
<p> </p>
<p>計算自体はシンプルゆえに省略(気が向いたら更新するかも)するけど、解き方わからなかったらググればたくさん出てくるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>映画を見ながら、ふと気になって数式を触りだす。</p>
<p>とても豊かなエンターテインメントの時間を感じた気がした。</p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
新年のあいさつと互除法の告白
hatenablog://entry/4207112889952963087
2023-01-16T21:59:09+09:00
2023-01-16T21:59:09+09:00 あけましておめでとうございます。 ちょっと更新しない間に、年を越してしまった。 ・・・まーそんなことは気にせずに、久々の更新を愉しんでいこう。 ボクは何を隠そう、学生のころユークリッドの互除法が苦手だった。苦手といっても、使い方がわからないとか覚えられないとかそういった類のことではなくて、シンプルな事実を提示しているようで、なんだかすっと入ってこない感じがあったからだ(なんだそれ)。今回はその解消をどうしたかということを語りたい。 この記事を読んでくれている人の中には、ユークリッドの互除法ってなんだったっけ?と思っている人もいると思うので、そんな人にあの時のボクのもやっと感が伝わるようここで改…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20230110/20230110211407.jpg" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>あけましておめでとうございます。</p>
<p>ちょっと更新しない間に、年を越してしまった。</p>
<p> </p>
<p>・・・まーそんなことは気にせずに、久々の更新を愉しんでいこう。</p>
<p>ボクは何を隠そう、学生のころユークリッドの互除法が苦手だった。苦手といっても、使い方がわからないとか覚えられないとかそういった類のことではなくて、シンプルな事実を提示しているようで、なんだかすっと入ってこない感じがあったからだ(なんだそれ)。今回はその解消をどうしたかということを語りたい。</p>
<p> </p>
<p>この記事を読んでくれている人の中には、ユークリッドの互除法ってなんだったっけ?と思っている人もいると思うので、そんな人にあの時のボクのもやっと感が伝わるようここで改めて紹介しておく。</p>
<p> </p>
<blockquote>
<p><strong>ユークリッドの互除法の原理</strong></p>
<p>自然数$A$、$B$(ただし、$A>B$とする)において、</p>
<p>$A$と$B$の最大公約数は、$B$と$R$($R$は$A$を$B$で割った余り)と等しい。</p>
</blockquote>
<p> </p>
<p>この原理を用いると、</p>
<p>$A$と$B$の最大公約数は、$B$と$R$の最大公約数</p>
<p>$B$と$R$の最大公約数は、$R$と$R’$の最大公約数($R'$は$B$を$R$で割った余り)</p>
<p>と繰り返し適用することができる。割り算なので、繰り返し適用していくと余りの数はだんだんと小さくなっていく。そして、やがて余りは1か0になり終わりを迎える。</p>
<p> </p>
<p>余りが1になった場合は、もともとの2つの数の最大公約数は”何かの数字”と1の最大公約数に等しい、ということになる。ここで”何かの数”がなんであれ、相方が1である以上1よりおおきな公約数は存在しない。つまり、互いに素な2組だった、と結論付けることができる。</p>
<p> </p>
<p>一方余りが0の場合は、最後の2組の数字が割り切れたことを示している。それはつまりそのときの割る数(小さい方の数)が最大公約数であったことに他ならない。脈々と受け継がれた最大公約数が最後割り切れて、正体を現すという仕組みだ。</p>
<p> </p>
<p>ゆえに、だから便利だねってなるわけだけど、あの頃のボクはとはいえなんだかスッキリしなかった。そのもやもやの正体は、割り算の主役は商にある感じがするのに、その商がないがしろにされているところにあったと思う。</p>
<p> </p>
<p>そこで、商を$C$として</p>
<p>$$ A =B \times C +R $$</p>
<p>の式と改めて対峙してみた。</p>
<p>この式で$A$と$B$の最大公約数が、$B$と$R$の最大公約数に一致するわけだけど、これを男女の三角関係のように解釈すると(?)</p>
<p>$$ A- R =B \times C $$</p>
<p>と式変形できる。そもそも最大公約数ってなんだったけと思い返すと、両者を割り切れるような最大の数、というものだった。割り切れるかどうかに符号は関係ないから、そんな目線でみると$A$と$R$は対称性がある関係だ。</p>
<p>恋敵かもしれないが、恋敵とはつまり、ある異性から見ると共通点があるということに他ならない・・・なんて例えはともかく、式の形から$A$と$B$を割り切るような数は$R$を割り切れないといけないし、$R$と$B$を割り切るような数は$A$を割り切れないといけない。</p>
<p> </p>
<p>つまり、$A$と$R$に対称性があるんだけど、割り算の役割を与えられていることから錯覚して、$A$と$R$がまるで違うものにみえたり、タイプの違う商の不存在の違和感を感じたりしてたというわけだ。</p>
<p> </p>
<p>こんなことを考えていたな、と今振り返ると、理解が悩ましいものは<strong>どのように解釈するか</strong>というある種当たり前なことをちゃんと考えてみるということが重要なのかもしれない。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
問題解決と数学(単問解説)
hatenablog://entry/4207112889932561399
2022-11-01T00:41:11+09:00
2022-11-01T00:41:11+09:00 前回共通テストを用いた新しいテーマを始めるぜ!って意気込んでおいて、さっそく別テーマ。 このブログにちょっと面白い問題一緒に考えよーぜというカテゴリを設けたい。 数学っていろんな論者がいるけれども、今のところ学校教育における1科目って捉え方が一般的で、その効能なんてのも色々あるはずだけど実感できている人はまだまだ少ない。 ボクは、なんだかんだまずは問題解決のための考える練習材料というのが一番端的な効能だと考えていて、数学というのは抽象的な学問、或いは構造を学ぶ学問なのだから、問題解決の構造というものを意識できれば社会で十分役に立つものになるんじゃないかと思っている。 それの実践演習ということで…
<p>前回共通テストを用いた新しいテーマを始めるぜ!って意気込んでおいて、さっそく別テーマ。</p>
<p> </p>
<p>このブログにちょっと<strong>面白い問題一緒に考えよーぜ</strong>というカテゴリを設けたい。</p>
<p>数学っていろんな論者がいるけれども、今のところ学校教育における1科目って捉え方が一般的で、その効能なんてのも色々あるはずだけど実感できている人はまだまだ少ない。</p>
<p> </p>
<p>ボクは、なんだかんだまずは問題解決のための考える練習材料というのが一番端的な効能だと考えていて、数学というのは抽象的な学問、或いは構造を学ぶ学問なのだから、問題解決の構造というものを意識できれば社会で十分役に立つものになるんじゃないかと思っている。</p>
<p> </p>
<p>それの実践演習ということで、手ごろな問題を持ってくるので、まずはそれぞれ手元で考えてみて、問題解決のためにどんな経路で頭を動かしたのか確認できるような記事を目指したい。</p>
<p> </p>
<p>ということでさっそく問題。</p>
<p> </p>
<blockquote>
<p>$m, \ n$をそれぞれ自然数とする(ただし、$m>n$)。</p>
<p>このとき、$m!$が$(m-n)!n!$で割り切れることを示せ。</p>
</blockquote>
<p> </p>
<p>わかる人には瞬殺な問題。</p>
<p>ちょっと腕を組んでしまった人と一緒に考えてみたい。最初の一手に迷うとき、まずはどう問題を解釈するか、ヒントを読み取ることを考えてみる。平たく言えば、特徴からの連想ゲームだ。</p>
<p> </p>
<p>この問題から読み取れる特徴は、</p>
<p>自然数</p>
<p>階乗</p>
<p>がでてくることだ。</p>
<p>自然数は、正の整数と捉えれば整数問題的アプローチが取れるなと発想することができる。一方階乗は場合の数の単元で登場する計算で、場合を数えるときに使うものという印象が強い(高校数学までの範囲においては)。</p>
<p> </p>
<p>整数問題と階乗という、一見別々の単元の要素が現れているわけだけど、こんなときは条件がきつい方に従うのが得策だ。条件がきつい分だけ、道(解法)が限られるので考えるパターンが少なくて済む。今回は階乗の方が条件がきつい。</p>
<p> </p>
<p>さて、改めてボクらは階乗について何を知っているだろうか。初めて登場したのは順列を考えるときだ。例えば、5つのものの並び替えのパターンを数えるとき、</p>
<p>$5!=120$</p>
<p>なんて計算を行う。これが発展して、5つのうち2つを取り出して並べるパターン数は、</p>
<p>${}_{5}P_{2}=20$</p>
<p>と計算するし、さらに並べ方は問わないパターンだけを数える場合は、この$20$パターンのうち入れ替えても同じ分を除算して</p>
<p>${}_{5}C_{2}=\dfrac{{}_{5}P_{2}}{2!}=10$</p>
<p>この例を一般化すると、</p>
<p>${}_{m}C_{n}=\dfrac{{}_{m}P_{n}}{n!}=\dfrac{m!}{(m-n)!n!}$</p>
<p>となる。ここで、$m$個の中から$n$個並べる順列(${}_{m}P_{n}$)を考えると、$n$個とってきたときに$n!$通りの並べ方が考えられる。組み合わせを先に考えると、組み合わせごとに$n!$通りが存在するから腑に落ちる。これがボクらが階乗について”<strong>知っていること</strong>”だ。</p>
<p> </p>
<p>これを片隅において、問題文を振り返ってみよう。$m!$が$(m-n)!n!$で割り切れるとは、</p>
<p>$\dfrac{m!}{(m-n)!n!}$が整数であることと同じことを意味している。</p>
<p>$m$個のものから$n$個を選ぶ組み合わせは当然自然数なわけで、</p>
<p>$\dfrac{m!}{(m-n)!n!}={}_{m}C_{n} \in \mathbb{N}$</p>
<p>とわかる。コンビネーションは自然数でしか定義されないし、公式の過程から、導出された値は必ず自然数となる。</p>
<p> </p>
<p>これを整数問題の解釈のまま挑むと大変だ。$m!$に$n!$の階乗が含まれることから、$m!$が$n!$で割り切れることは容易にわかるが、その商が$(m-n)!$で割り切れることを示すことは少々厄介だ。</p>
<p> </p>
<p>問題の解釈の仕方で、その問題の難易度は変化する。だから問題解決をする確率をあげる一つの方法は、問題の解釈を多く持てるようにしておくということだ。</p>
<p> </p>
<p>ときどき算数の話題で掛け算の順序の議論を目の当たりにする。順序が重要派は単位×数量の枠に当てはめて演習することで、計算パターンの定着を図っていると理解している。でもその行為は逆に解釈を狭めていることに他ならない。掛け算の順序を逆にしたとき、そこにはまた別の解釈が存在しているはずだ。</p>
<p> </p>
<p>ある事象を自分なりに解釈し、問題解決を図る訓練が数学を学ぶ一つの意味だという観点からは、解釈を狭める態度はゴールから遠ざかっていると思ってしまう。逆に書いた時にはどんな解釈が可能なのか、問題を解くときにどんな解釈をしているのか。そこを丁寧に確認していく作業が重要なのではないだろうか。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
【独習!共通テストで嗜む数学】はじめに。
hatenablog://entry/4207112889924198367
2022-10-03T23:59:20+09:00
2022-10-03T23:59:20+09:00 随分と久しぶりな更新になったけど、新しいテーマを準備してみた。 以前はセンターとか共通テストの解説をよくしてたけど、わりにだらだらと解き方説明だけをしてたので、ちょっと仕切り直して「独習!共通テストで嗜む数学」ってテーマでやってみようと思う。 なんとなく数学に興味をもったり、やる気を出したりしたけれど、元々得意じゃないとか何から始めていいかもわからないという人(学生に限らず!)にむけて、共通テストの問題を題材に、とても当たり前なところから色んな寄り道をしながら数学を楽しむということをやってみるつもりだ。ただその問題を解くとか、対策がどーだとか講釈を垂れるとかでもなく。 そういう意味では、今まで…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20221003/20221003165200.jpg" width="1200" height="660" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>随分と久しぶりな更新になったけど、新しいテーマを準備してみた。</p>
<p> </p>
<p>以前はセンターとか共通テストの解説をよくしてたけど、わりにだらだらと解き方説明だけをしてたので、ちょっと仕切り直して「独習!共通テストで嗜む数学」ってテーマでやってみようと思う。</p>
<p> </p>
<p>なんとなく数学に興味をもったり、やる気を出したりしたけれど、元々得意じゃないとか何から始めていいかもわからないという人(学生に限らず!)にむけて、共通テストの問題を題材に、とても当たり前なところから色んな寄り道をしながら数学を楽しむということをやってみるつもりだ。ただその問題を解くとか、対策がどーだとか講釈を垂れるとかでもなく。</p>
<p> </p>
<p>そういう意味では、今までもだらだらと問題解説の記事を書いてきたけど、それ以上にだらだらとしたものになるかもしれない。</p>
<p>でもその分、できるだけ外のサイトとか本とかを読まずに済むような(いや、読んだ方がいいんだけど、完結した情報を提供するという意味で)取り組みにしたいと考えている。</p>
<p>共通テストの問題から数珠つなぎにどこかしら起点となるところまでもどって、よくある参考書の説明の組み合わせをやるということではなく、ボクなりの解釈を時に交えながら、問題を解くにあたって必要な考え方、姿勢および知識を共有したい。</p>
<p> </p>
<p>ちなみに、順序良く1Aから解くんじゃなくて、2Bから取り扱う予定だ。</p>
<p>何故かと問われたならば、より難しい問題を扱った方が拾えるものが多い気がする一方で、個別大学の難関問題を取り扱うなど共通テストの枠組みを超えてしまうと果てしない物語になる予感がした為だ(それはそれで楽しそうだからやってみるかもしれないけど)。まずは終わりがある形で完結を目指したい。</p>
<p> </p>
<p>今回は決意表明までにしておいて、ご存じのとおり取り扱う共通テストの問題はこちらからみれるので、</p>
<p><a href="https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/kakomondai.html">過去3年分の試験問題|大学入試センター</a></p>
<p>暇な人は適当に目を通したり、解いたりすると自分の考えと比較する楽しみ方もできるかもしれない。</p>
<p> </p>
<p>ということで、次回よりこうご期待(毎回このテーマとは限らないけど)。</p>
mathbanker
FORTNITEで計算演習
hatenablog://entry/4207112889911131725
2022-08-29T19:36:21+09:00
2022-08-29T19:36:21+09:00 ボクはいい年をしていまだにゲームをしているような人間だ。中でもフFORTNITEには結構はまっている。今回は、そのFORTNITE(通称フォトナ)と数学、というか計算について細やかながら語ってみたい。というか、暗算力鍛えるゲームという解釈をしてみたい。 FORTNITEは、100人から始まって最後の一人に生き残ることを目指すバトルロイヤルゲームだ。ゲームモードにもよるが、基本的にはMAX200のゲージを0にすることで他の参加者を倒すことができる。与えることができるダメージは、武器とそのレアリティ、或いは当たる箇所(ヘッドかそれ以外)によって異なっている。 以前は1発で200を超えるダメージを与…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220823/20220823084811.jpg" width="1200" height="900" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p><br />ボクはいい年をしていまだにゲームをしているような人間だ。中でもフFORTNITEには結構はまっている。今回は、そのFORTNITE(通称フォトナ)と数学、というか計算について細やかながら語ってみたい。というか、暗算力鍛えるゲームという解釈をしてみたい。</p>
<p> </p>
<p>FORTNITEは、100人から始まって最後の一人に生き残ることを目指すバトルロイヤルゲームだ。ゲームモードにもよるが、基本的にはMAX200のゲージを0にすることで他の参加者を倒すことができる。与えることができるダメージは、武器とそのレアリティ、或いは当たる箇所(ヘッドかそれ以外)によって異なっている。</p>
<p> </p>
<p>以前は1発で200を超えるダメージを与えることができる武器があったが、今は必ず複数回のダメージを与えないと倒せない仕様になっている。</p>
<p> </p>
<p>例えば、とあるショットガンとサブマシンガンで戦うときのダメージを考えてみよう。<br />それぞれ武器の威力は、以下のとおりとする。<br />ショットガン:ヘッド→170 ヘッド以外→96<br />サブマシンガン:ヘッド→24 ヘッド以外→16<br />これだけみるとショットガンだけ使えばいいじゃないかと思うかもしれないが、一発撃った後次の弾が撃てるようになるまでの時間が異なり、基本的にショットガンは間隔がそれなりに空いてしまう一方で、サブマシンガンは連射することができるので、ショットガンを撃ったあとサブマシンガンに持ち替えて撃つことが(状況にもよるけど)一般的だ。<br />※ちなみにこのゲームは、相手に弾があたるとどれだけダメージを与えることができたか表示されるようになっている。</p>
<p> </p>
<p>1発目にショットガンでヘッドショットが決まり、170のダメージを与えられたとしよう。<br />すると残り30与えればいい。サブマシンガンに持ち替えると、ヘッドでも1発では24で0にはできないので、2発撃つ必要がある。逆に2発撃つならヘッド以外でも32なので倒すことができる。つまりいつでもヘッドショットを狙う必要なんてなく、こんなときには当てればいいという感覚で十分だとわかる。先述した通り、画面には与えたダメージが表示され、まるでフラッシュ暗算が強いられるような状態になるけど、2,3発程度ならば容易いはずだ。</p>
<p> </p>
<p>1発目にショットガンでヘッドショットは決まらず、96のダメージを与えた場合を考える。<br />残りは104ダメージ与えればいい。サブマシンガンで全部ヘッドだと5発(120)必要で、それ以外だと7発(112)必要となる。</p>
<p> </p>
<p>さてちょっとここで立ち止まってみよう。いま、さらっと「サブマシンガンで全部ヘッドだと5発(120)必要で、それ以外だと7発(112)必要となる。」と書いたけど、この計算さくっとできるだろうか。そりゃ”さくっと”瞬間的でなければ多くの人ができるに違いない。フラッシュ暗算のような速さでなくても、「えーと」って言葉を発している間くらいには答えを得たい。</p>
<p> </p>
<p>ここで気を付けたいのは、腕力のように計算力を捉えて頭の中で計算するスピードをあげようとしないことだ。それはそれで効果があるのかもしれないけど、あまりおもしろいものじゃない。</p>
<p> </p>
<p>全部ヘッドの場合から考え直してみる。<br />24のダメージを何回当てたら104を超えるだろうか。日常生活的に25×4=100は覚えている人は多いはずだ(もし覚えていなかったら、これは覚えておきたい。英語でもquarterって単語が与えられている程有益な単位数だ)。25は当然24より1多いわけだけど、そんなちょっと多い数25が4つでも100で104には届かない。でも、もう一つあれば125で余裕だ。24ならば、塊ごとに1少ないだけなので、5セットならば勿論5少なくなる。<br />ということで、5発必要なことがわかって、もうほんのり考えると120という具体的な数字が計算できるはずだ。ゆめゆめ104÷24なんて計算をしてはいけない。</p>
<p> </p>
<p>次に、全部ヘッドに当たらない場合を考える。<br />16のダメージを何回当てたら104を超えるだろうか。ここで使うのは、16=2^4ということだ。さっきの25が有名単位であるように、2の累乗も10乗くらいまでは抑えておきたい。PCやスマホ関連で容量を考えるとき、2の累乗は頻発する。iphoneのストレージ容量は、以前は16GB、32GBからあって(いまは64GB)、上は512GBや1TB(1024GB)まで存在する。これらはすべて2の累乗になっているからどことなく馴染みのある数字なはずだ。</p>
<p> </p>
<p>104に近い2の累乗を考えると、64よりは大きくて128よりは小さい。配置を考えると、128よりの数だ。128から16を引くと112で、さらに引くと104を割り込んでしまう。<br />ということで、</p>
<p>$$128-16=2^7-2^4=2^4(2^3-1)=16×7$$</p>
<p>から7発必要でダメージは112とわかる。</p>
<p> </p>
<p>こんな計算簡単じゃねーよとツッコミを受けそうだが、実際はこの計算のカッコの中しかやっていない。もう少し具体的に計算の流れを説明すると、さっきのiPhoneの話から128は16の倍数であることは明らかだ。でも3乗は16の掛け算を考えた時に1回分かけ過ぎだとわかったから、</p>
<p>$$2^3-1=7$$</p>
<p>と計算できる。最大のポイントは、iPhoneのそれぞれのストレージが2の何乗なのかという感覚を持っておくことだ。</p>
<p> </p>
<p>いま、104のダメージを削減する方法として、全弾ヘッドに当たるか、全弾ヘッドに当たらないかの両極端な場合を考えた。それぞれ5発と7発なので、中途半端な回数ヘッドに当たれば6発で済むパターンが存在することがわかる。つまり、ヘッドショットの回数をx、ヘッドショット以外の回数をyとおくと<br />$$24x+16y \geq 104$$<br />となるような整数の組み合わせ(x,y)を考えればよいことになる。<br />両辺を8で割って、<br />$$3x+2y \geq 13$$<br />となることから、<br />$$y \geq \frac{13-3x}{2}$$<br />となる。いま考えるべきは、x=2,3,4のパターンだ。順番に代入すると、y=4,2,1とわかる。総弾数で言えば、順に6,5,5となる。</p>
<p>このことから、104を削る場合は5回中3回ヘッドショットが当たれば最も効率的に倒すことがわかった(サブマシンガンは連射武器だから4回も5回も大した違いはないけれど)。</p>
<p> </p>
<p>こんな具合に、使っている武器の威力を把握していれば、どんなパターンで効率的に相手を倒すことができるか、途中で撃つてなくなったときにどれくらいゲージが残っているかを手早く計算することができる。</p>
<p> </p>
<p>・・ってこれができたからって強くなるわけじゃないけど、「ゲームしながら勉強してんだよ!」って言い訳には使えるかもしれないということで。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
難化したと話題だった共通テストと受験勉強の意味と。
hatenablog://entry/4207112889898182477
2022-07-11T21:21:34+09:00
2022-07-11T21:21:34+09:00 いつもは問題を解くけど、今回はその問題を解くための作戦とか態度的な側面について考察したい。 このブログの裏目的として、社会人として数学に携わる行為をどう活かすか、というのもあるので、そこも意識してみる。そういう観点では、問題を解く、というこの「問題」は、「数学の問題」に限定せず、「あらゆる諸問題」とも解釈できる。 この世にある、あらゆる問題は、時間的制約を受ける。ボクらには、そもそも寿命という時間的制約が課せられているわけだから当然の話だ。その中でも、短いごく限られた時間の中で解かなければいけないものと、比較的時間の猶予が与えられたものがある。 これらの違いを端的に指し示すならば、「暗記してい…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220711/20220711211937.jpg" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>いつもは問題を解くけど、今回はその問題を解くための作戦とか態度的な側面について考察したい。</p>
<p> </p>
<p>このブログの裏目的として、社会人として数学に携わる行為をどう活かすか、というのもあるので、そこも意識してみる。そういう観点では、問題を解く、というこの「問題」は、「数学の問題」に限定せず、「あらゆる諸問題」とも解釈できる。</p>
<p> </p>
<p>この世にある、あらゆる問題は、時間的制約を受ける。ボクらには、そもそも寿命という時間的制約が課せられているわけだから当然の話だ。その中でも、短いごく限られた時間の中で解かなければいけないものと、比較的時間の猶予が与えられたものがある。</p>
<p> </p>
<p>これらの違いを端的に指し示すならば、「暗記していることの重要さ」だ。</p>
<p> </p>
<p>時間があれば知っていることを丹念に紡ぎ合わせていくことで、答えを探すということに専念できる。重要なのは解決に至る論理の発見であって、いくら手戻りがあっても最終的に発見ができればいい。</p>
<p> </p>
<p>一方、時間がとても限られた中では、試行錯誤をする余裕がない。「暗記」がもたらすものは経験の流用であり、(自分以外の人であっても)かつて悩んだことは繰り返し悩まないという姿勢だ。この「暗記(パターン)」を用いて極力時間を短縮し、過去の事例に即して問題解決を図るのが王道だ。</p>
<p> </p>
<p>今回の共通テストは、時間が2時間とか3時間与えられていたならば大した難化ではなく、むしろ簡単な試験だったと評されると思う。つまり、<br />時間が足りなかった=テンポよく解くためのパターンの判断に時間を要した<br />ということではなかっただろうか。</p>
<p> </p>
<p>数学の試験勉強の目的の一つにパターンを知る、パターン適用の判断の根拠を知る、ということがある。こんな解き方があるのね、ってことだけでは意味がなくて、どんなときにこのパターンが使えるのかということまで抑えて勉強なわけだ。</p>
<p> </p>
<p>ここで陥っていけないものは、一つの問題ごとにパターンを得てしまうことだ。パターンを得るとは、一般化することに他ならないが、一般化とは複数の事象から共通部分を発見することであって、一つのことからは一般化をすることは不可能だ。</p>
<p> </p>
<p>また、パターンと聞くとチャート式に載っているような解法との対応を考える人も少なくないと思うけど(それも多分にあてはまるけど)、それに加えてオーダーメイドの自分なりの思考回路の場合分けを整理することが大切だと思っている。</p>
<p> </p>
<p>解法例とかが似たような問題を集めてきて、何が似ていて、何が似ていないかということを明確にしてみる。なにが「似ている」ということを形成しているのか、ということをよくよく考察し、その判断の根拠を探ってみる。そうすることで、まだ見ぬ同種の問題に対応する術を身に着けることができる。</p>
<p> </p>
<p>これが意味するのは、試験勉強という行為すらも一般化して、問題解決をするためのアプローチ獲得の訓練と捉えれば、受験勉強は学歴社会が生み出した無益な作業という無益な考え方から決別することができるということだ。</p>
<p> </p>
<p>共通テストに挑むということにおいては、時間配分の話とかもあるけど、今回は試験性格とそれに対する対応の話まで。</p>
<p> </p>
<p>#そろそろ更新頻度上げなきゃな・・・。テーマ募集中!下のコメント欄でもTwitterのDMでもなんでも。</p>
mathbanker
三角関数不要論?数学の恩恵を受けることは簡単だけど、自分で数学を利用して利益を得ることは難しい
hatenablog://entry/13574176438097200987
2022-05-30T11:46:49+09:00
2022-05-30T17:04:47+09:00 定期的に出てくるこの話。ニュースとしては、過去にどこぞの県知事が大人になったた使わない話をした時以来だろうか。今回は、「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」ととある議員が発言したことが波紋を広げている。 news.yahoo.co.jp 以前のどこぞの県知事のときは、ニュース自体には触れず、こんなときこそ定義を確認しようぜという内容で記事を書いた。ブログ移行前の記事だったので、焼き直し版がこちら: www.mathbanker.info で、今回は内容に触れてみたい。 改めて振り返ると・多くの庶民にとって金融経済(金融リテラシー)が重要であること・三角関数(を代表とする高等数学)は、特…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220530/20220530093529.jpg" width="1200" height="799" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>定期的に出てくるこの話。<br />ニュースとしては、過去にどこぞの県知事が大人になったた使わない話をした時以来だろうか。今回は、<br />「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」<br />ととある議員が発言したことが波紋を広げている。</p>
<p> </p>
<p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fnews.yahoo.co.jp%2Farticles%2Fb0e31bc4ddf0b816d7954895727090de55d3393e" title="「三角関数よりも金融教育を」藤巻健太衆議院議員の発言に「金融の理解に必要」と批判殺到(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://news.yahoo.co.jp/articles/b0e31bc4ddf0b816d7954895727090de55d3393e">news.yahoo.co.jp</a></cite></p>
<p> </p>
<p>以前のどこぞの県知事のときは、ニュース自体には触れず、こんなときこそ定義を確認しようぜという内容で記事を書いた。<br />ブログ移行前の記事だったので、焼き直し版がこちら:</p>
<p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.mathbanker.info%2Fentry%2F2020%2F04%2F27%2F235225" title="三角関数と円のカンケイ - 数学が好きなサラリーマンのブログ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.mathbanker.info/entry/2020/04/27/235225">www.mathbanker.info</a></cite></p>
<p> </p>
<p>で、今回は内容に触れてみたい。</p>
<p>改めて振り返ると<br />・多くの庶民にとって金融経済(金融リテラシー)が重要であること<br />・三角関数(を代表とする高等数学)は、特定の人が専門的に学べばよいこと<br />と発言している。</p>
<p> </p>
<p>「サイン、コサイン、タンジェントなんて大人になって一度も使っていないから、不要だ!」<br />という発言とは異なっていて、将来その知識を活かしたい特定の人だけが学べばいいはずだ、といういわば「学びすぎ」なところへの批判となっている。かつ、この「学びすぎ」が「金融リテラシーの低迷」に起因しているために、現状教育課程の学習の時間配分に異を唱えている。</p>
<p> </p>
<p>世の中には、この今回の発言を数学の否定のように捉えている向きもあるが、それは間違いだ。ただ、学ぶ優先度が金融経済に劣り、現状のような高度な分野まで多くの学生に学習を強いること否定しているのであって、数学自体を批判しているわけじゃない。</p>
<p> </p>
<p>で、ボクの感想。<br />どこかの学校や学習塾がそこの方針として打ち出すのであれば特色があっていい方針だと思うけど、国全体の方針としては相応しくない。<br />学校教育は個人の成長を促す役割の他に、国家戦略としてどんな人材を求めるか、ということがある。基本的には、将来どんな職業を選択しても自由なんだけれども、GDPが高くなるような方向に教育できれば、国民の豊かな生活と国の税収拡大に寄与する。</p>
<p> </p>
<p>金融リテラシーには、投資の観点と資金管理の観点がある。<br />多くの国民に必要なのは、後者なはずだ。年収がたかが知れている一般人が一攫千金求めて投資する、ということでなく、貯金するくらいなら投資しようぜくらいの話だと思うが、その貯金額が個人別ではほとんどない人がとても多い世の中だ。なけなしのお金をちょっと投資するよりも、副業でバイトした方が圧倒的に儲かる。その点で、投資するより、いかに効率よく働くかの方が庶民には重要だ。</p>
<p> </p>
<p>一方で、資金管理は一般庶民にとってとても重要なテーマだ。安易に借金をしない、保証人にならない、リボ払いをしない、といったことをその仕組みから理解して、なんとかお金を巻き上げようとする人たちから防御する術を体得することは、少ない資産の利用の最適化の観点からは必須だと思う。冷静なときに、どんな行動が何につながり、入口でなにをやってはいけないか、ということを学習しておくべきだ。</p>
<p> </p>
<p>しかし、このことが数学を学ぶことより重要なことだろうか。できるだけ多くの国民が無駄に破産しないようにすることは確かに大切だけれども、国の発展の道具にはならない。一方で、数学教育を施すことは科学技術への超シードマネーのように捉えることができる。科学技術への投資を重要なものと位置づけているのならば、後に役に立たないと嘆く人が大量にでてきたとしてもそれを上回る果実があれば問題ない。嘆いて借金漬けになってしまう人の救済として、その次段階として金融リテラシーが入ってくるのではないだろうか。そしてそれは勿論数学を犠牲にするのではなく、別の科目で代替を探るべきだ。</p>
<p> </p>
<p>数学の恩恵を受けることは簡単だけど、自分で数学を利用して利益を得ることは難しい。だからといって、不要論を持ち出しては、将来世代の恩恵を削るリスクにならないだろうか。</p>
mathbanker
大学受験勉強とゲーム
hatenablog://entry/13574176438084216879
2022-04-19T01:01:05+09:00
2022-04-19T01:01:05+09:00 数学が好きだけど、それと同じくらいゲームが好きで、そんなボクが、例えば来年大学受験するぞ!というときにどういう姿勢で勉強するべきかというテーマをゲームの観点から語ってみたい。 よく受験はゲームだなんていうけど、その通りだと思う。世の中にはその解釈に同感する人は結構多いように感じるけど、でもその「ゲームのようだ」ということがどんなことか理解している人は実は少ないんじゃないだろうか。 ただ単に、簡単に問題を解いて、その解くときに得られる快楽を愉しんでいる様をみて「ゲームをしているようだ」と解釈している人が結構いると思っている。そんな人も確かにいるんだろうけど、ぼく自身がゲームのように大学受験をクリ…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220419/20220419005931.jpg" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>数学が好きだけど、それと同じくらいゲームが好きで、そんなボクが、例えば来年大学受験するぞ!というときにどういう姿勢で勉強するべきかというテーマをゲームの観点から語ってみたい。</p>
<p> </p>
<p>よく受験はゲームだなんていうけど、その通りだと思う。世の中にはその解釈に同感する人は結構多いように感じるけど、でもその「ゲームのようだ」ということがどんなことか理解している人は実は少ないんじゃないだろうか。</p>
<p> </p>
<p>ただ単に、簡単に問題を解いて、その解くときに得られる快楽を愉しんでいる様をみて「ゲームをしているようだ」と解釈している人が結構いると思っている。そんな人も確かにいるんだろうけど、ぼく自身がゲームのように大学受験をクリアしたという経験は、それとは異なる。</p>
<p> </p>
<p>ここではちゃんとゲームに例えて考えてみよう。題材はボクが大好きなフォートナイト(FORTNITE)だ。</p>
<p> </p>
<p>知らない人のために簡単に説明すると、100人から開始して、一つの島を舞台に最後の一人になること(ビクトリーロイヤル:通称ビクロイ)を目指すゲームだ。その過程で様々な武器でライバルたちと闘うわけだけど、フォートナイトの特徴として、「建築」という要素がある。戦うときに、だだの銃撃戦になるのではなく、壁や階段、屋根などを瞬時に立てて、テクニカルに防御をしながら、優位なポジションをとっていく。</p>
<p> </p>
<p>そんなフォートナイトを今日から始めるビギナーが感性だけでビクロイ連発なんてことは難しい(厳密にいうとマッチングシステムのおかげで最初の敵はとても弱いので数回は取れる可能性があるけど)。</p>
<p> </p>
<p>そこで腕を磨くにはいくつかの道がある。いまどきだと最も手っ取り早いのが、Youtubeをみて知識を習得し、それを実践で練習することだ。動画をみないと自分で様々な技術に気付くのは難しいし、でも動画を見ただけでは実戦ですぐに同じことはできないので、おなじ技術が使えるように特訓する。</p>
<p> </p>
<p>しばらく練習して基本的なアクションがわかってくると、どんなシチュエーションでどんなことをやるべきかということを実戦の中で考えるようになってくる。時にはすぐには打開できない固定的なシチュエーションみたいなものにでくわして、youtubeでほかの人のプレイをみることでほかの人が同じ境遇でどういうアクションを取っているのかを知る。そのアクションが一筋縄では使えるようにならないものだったら、使えるようにひたすらその動きを練習する。</p>
<p> </p>
<p>そんなことを繰り返しながら、少しずつ上達して、そのうちにビクロイできる回数がじわじわと増えていく。</p>
<p> </p>
<p>どんなゲームである程度やりこむ要素のあるものは、こんな具合に上手になるまでの過程があって、ゲームにはまる人というのは、そのゲームに対し、自分なりの上達の過程を持っているのだと思っている。</p>
<p> </p>
<p>この”ゲーム”の中に、大学受験というものがそのままあてはまる。そういう意味では実は例えでもなんでもなく、大学受験はゲームなのだ。</p>
<p> </p>
<p>そう考えると、一つ変なことに気付く。</p>
<p>例えばフォートナイトがうまくなりたい!という人がいて、巷にフォートナイト学校があったとする。</p>
<p>その学校では3か年プログラムでフォートナイトが上手になる方法を指南してくれる。ルール説明や世界観、キャラクター操作方法などから入って、1年の終わりから2年のはじめくらいで「建築」を学ぶ。定期的に試験があって、完璧に習得していなくても、ある程度の状態で次の過程に進む。</p>
<p>ポイントは、1クラス30人くらいいて、目の前で先生が画面でプレイをして、生徒たちが各々の画面で同じ動きを記録することだ。実際にその動きができない生徒がいても、とりあえず次の授業では次に進む。次の動きは、前回学んだことを用いた動きになっている。先生がやって見せるその動きをまた生徒たちは録画する。</p>
<p> </p>
<p>こんな学校で学ぶ生徒とその前に話したYoutubeと実戦を繰り返す人はどっちが上達が早いだろうか。前者は、ともすれば途中挫折したところから興味が失せてしまって、学校に入ったこと自体を後悔しているかもしれない。</p>
<p> </p>
<p>これはけして学校というシステムが大学受験に向いていないという指摘をしているわけではない。どれだけ身についたか、どれくらい自分で考えて実践しできるようになったか、ということが重要なわけで、学校というシステムはひたすらに受け身だとそういった点が機能しないということだ。</p>
<p> </p>
<p>解きたい問題がどういったレベルのもので、いまどれくらい解けて、なにがわからないのか。解けるようにするためには、なにがあればいいのか。どういうプロセスでそれが可能なのか。</p>
<p>という姿勢はゲームも大学受験も同じだ。</p>
<p> </p>
<p>子供のころにゲームにのめりこむことは、自分にあった上達プロセスを知るという意味でもとてもいいことなのかもしれない。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理2-(2)
hatenablog://entry/13574176438070223979
2022-03-14T23:50:03+09:00
2022-03-14T23:50:03+09:00 とんでもなく間があいてしまいました。まーそんな季節です。 問題 解説 (2)(a) 共有点の個数を求める問題。 知ってるよという人にとってはとても基本的なパターン問題なわけだけど、感覚と直感でどのパターンが当てはまるのかの精度を高める訓練はこのブログでは行っていない。 じゃどう考えるかというと、問われている 共有点 をどう解釈するかというところが出発点だ。 間違っても、頭の中で キョーユーテン と捉えて、思考の停止に陥るとか、なんとなく判別式という態度をとってはいけない。 $C_1$と$C_2$が点を共有しているところが幾つあるのかということを考えるわけだけど、そこには緩く表現すると ・絵をか…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>とんでもなく間があいてしまいました。まーそんな季節です。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211221/20211221084514.png" alt="f:id:mathbanker:20211221084514p:plain" width="598" height="719" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<h4>解説</h4>
<p>(2)<br />(a) 共有点の個数を求める問題。</p>
<p>知ってるよという人にとってはとても基本的なパターン問題なわけだけど、感覚と直感でどのパターンが当てはまるのかの精度を高める訓練はこのブログでは行っていない。</p>
<p> </p>
<p>じゃどう考えるかというと、問われている</p>
<p><strong>共有点</strong></p>
<p>をどう解釈するかというところが出発点だ。</p>
<p> </p>
<p>間違っても、頭の中で</p>
<p><strong>キョーユーテン</strong></p>
<p>と捉えて、思考の停止に陥るとか、なんとなく判別式という態度をとってはいけない。</p>
<p> </p>
<p>$C_1$と$C_2$が点を共有しているところが幾つあるのかということを考えるわけだけど、そこには緩く表現すると</p>
<p>・絵をかいてみるアプローチ</p>
<p>・計算してみるアプローチ</p>
<p>がある。絵をかいてみるアプローチとは、グラフを書くとか図を描くとかで解答の糸口を見つけるもの、計算してみるアプローチとは式の計算(因数分解とか展開とか方程式を解くなど)で解答の糸口を見つけるものだ。</p>
<p> </p>
<p>で絵を描く方から考えてみると、共有点を絵に描くということはつまりグラフを描くということなわけで、グラフの交わるところが交点であり、共有点となる。文字変数$a$と$b$が値を変えうるわけだけど、それぞれの値がどう変わったらグラフがどう変化し、それに伴って共有点がどうなるかということがわかればいい。</p>
<p> </p>
<p>二つのグラフが離れている、接している、重なっているというそれぞれの段階において共有点の個数は変化する。では、その離れている、接している、重なっているという状態を数式でどう表現するんだっけということがわかれば答えはでそうだ。</p>
<p> </p>
<p>ここで計算する方のアプローチを考えてみよう。</p>
<p>つまり二つの関数とそれらの共有点が代数学的にどのような表現で言い換えられるだろうか。それはあまり複雑な話はなくて、ひとつの点(共有点)$(x,y)$で二つの方程式が成り立つということなわけで、それはつまり</p>
<p>$$ax^2 +1= -a(x-2)^2 +b$$</p>
<p>が幾つ解をもつかということに落ち着く。</p>
<p> </p>
<p>これは、二次方程式が幾つ解をもつかということなわけだから、判別式の大小で一気に計算ができそうだ。絵を描くアプローチも本質的には同じことをしているわけだから、考えていた離れている、接している、重なっているという状態が判別式とリンクしそうだなとわかる。</p>
<p> </p>
<p>ということで実際に計算をしてみよう。</p>
<p>$$ax^2 +1= -a(x-2)^2 +b$$</p>
<p>$$2ax^2 -4ax +4a -b +1 =0$$</p>
<p>この二次式の判別式は</p>
<p>$$\dfrac{D}{4}=2a(-2a+b-1)$$</p>
<p>ここで、$a>0$なので</p>
<p>$b>2a+1$のとき2個</p>
<p>$b=2a+1$のとき1個</p>
<p>$b<2a+1$のとき0個</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>実際この問題は簡単だけど、そんなときこそどういう思考回路で答えにたどり着くのかという、一歩ひいたところで仕組みに目を向けてみる練習の材料にしたい。</p>
<p> </p>
<p>ということで今回はここまで。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理2-(1)-2
hatenablog://entry/13574176438058670822
2022-02-14T13:57:29+09:00
2022-02-14T13:57:29+09:00 今回は亀的速度の問題解説編。 問題 解説 (1)前回は$l_1$と$l_2$を求めていて、それぞれ $l_1: y=2ax−a+1$ $l_2: y=-\dfrac{1}{2a} x -\dfrac{1}{16a^3}+1$ だった。今回は、それらを用いて(b)と(c)を考えていこう。 (b)まずはこの$C_1$がどんな場所なのか視覚的に確認してみる。 なんでそんなことするのかって、当たり前な人には超当たり前なことだけど、でも解けない人はなにも書かずに考え込んでしまうわけで、解くためにわりに重要な最初の岐路だったりする。そして、そんな当たり前な人の中にだって、なんで図を描いてみるのかと正面から…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回は亀的速度の問題解説編。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211221/20211221084514.png" alt="f:id:mathbanker:20211221084514p:plain" width="598" height="719" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p><br /><br /></p>
<h4>解説</h4>
<p>(1)前回は$l_1$と$l_2$を求めていて、それぞれ</p>
<p>$l_1: y=2ax−a+1$</p>
<p>$l_2: y=-\dfrac{1}{2a} x -\dfrac{1}{16a^3}+1$</p>
<p>だった。今回は、それらを用いて(b)と(c)を考えていこう。</p>
<p> </p>
<p>(b)まずはこの$C_1$がどんな場所なのか視覚的に確認してみる。</p>
<p> </p>
<p>なんでそんなことするのかって、当たり前な人には超当たり前なことだけど、でも解けない人はなにも書かずに考え込んでしまうわけで、解くためにわりに重要な最初の岐路だったりする。そして、そんな当たり前な人の中にだって、なんで図を描いてみるのかと正面から問われると、解けるための習慣でこれといえるような回答をもっていない人も一定いるんじゃないだろうか(別にいいけど)。</p>
<p> </p>
<p>この問題は我々に面積を問うているわけだけど、そもそも面積というのは単純な定義を参照すると、指定された領域に一辺1の正方形がいくつ入るかというものだ。それを要領よく数える術として、様々な公式が存在していると解釈できる。</p>
<p> </p>
<p>とはいえ、どんなに面積を求める公式に種類があっても、莫大なパターンの形を網羅できているわけではない。それゆえに、それら公式を用いることができるように眼前の形を分解、或いは統合することを考えることになる。要は知っている形を使ってパズルを考えるようなことだ。</p>
<p> </p>
<p>そういう認識があれば、いきなり数式というよりどういうピースで構成されているかを確認するために図を描くことは肝要だということがわかる。パズルを数式のみで配置決定できる人がいたとしたら、そもそもこのレベルで躓くような人物じゃない。</p>
<p> </p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220214/20220214105530.png" alt="f:id:mathbanker:20220214105530p:plain" width="386" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>ということで、図を描くとこんな感じだ。</p>
<p> </p>
<p>散々パズルの話をしておいてあれだけど、二次関数の面積を考えるためのツールは接点の$x$座標を用いた公式と、そこから発展した比のテクニックが多い。つまり裏を返せば、接線の交点の$x$座標(この問題の場合、$t$)を用いるものはあまりメジャーじゃない(多分)。</p>
<p> </p>
<p>円以外で丸みを帯びた部分を含む面積は積分を考えるのが常套手段だから、ここは素直に積分で面積を求めることを考えよう。</p>
<p> </p>
<p>$$ S_1 = \int_{t}^{1} (ax^2+1) - (2ax−a+1) dx $$ </p>
<p>$$ = \int_{t}^{1} (ax^2-2ax+a) dx $$</p>
<p>$$ = a\int_{t}^{1} (x-1)^2 dx $$</p>
<p> </p>
<p>ここで注意したいのは、この因数分解はたまたまなんかじゃないということだ。二次関数と接点が1とわかっている直線の引き算だから、当然こう表現されるし、ここから立式することもありだ。</p>
<p> </p>
<p>$$ = a \left[ \dfrac{(x-1)^3}{3} \right]_{t}^{1}$$</p>
<p>$$\therefore \dfrac{S_1}{a}= \dfrac{(1-t)^3}{3} $$</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>(c)続いて、$a^2$を$t$を用いて表現する問題。そもそも$t$ってなんだったっけと振り返ると、2直線の交点なわけだから、連立して得られる解の$x$に等しい。</p>
<p> </p>
<p>ここでまじめに計算してもいいんだけど、すべての二次関数は相似だということ思い出そう。思い出すというか、二次関数をみたら頭の片隅にいつもある感じだ。</p>
<p> </p>
<p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.mathbanker.info%2Fentry%2F2020%2F05%2F18%2F235818" title="すべての二次関数は相似である - 数学が好きなサラリーマンのブログ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.mathbanker.info/entry/2020/05/18/235818">www.mathbanker.info</a></cite></p>
<p> </p>
<p>ここでは、$y=x^2$とその任意の二つの接線(接点の$x$座標はそれぞれ$p$、$q$)</p>
<p>$$y=2px-p^2$$</p>
<p>$$y=2qx-q^2$$</p>
<p>を考えると、容易に$x$を求めることができて、</p>
<p>$$x=\dfrac{p+q}{2}$$</p>
<p>となる。すべての二次関数は相似なわけだから、この位置関係は常に成立し、交点の$x$座標は平均値であることがわかる。</p>
<p> </p>
<p>ゆえにこの問題にもこれを当てはめると、</p>
<p>$$t=\dfrac{ -\frac{1}{4a^2} +1}{2}$$</p>
<p>となる。ゆえに</p>
<p>$$a^2=\dfrac{1}{4-8t}$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>最後に$ \dfrac{S_2}{a}$を考える。この問題、マーク式ならば、有名な面積比を用いて計算ができるけど、記述式の問題で教科書に載ってない(多分)ものをつかうのは憚られるから、まじめに計算していこう。</p>
<p> </p>
<p>$l_2$と二次関数の接点を$p$とおくと、$S_1$と同様に</p>
<p>$$\int_{p}^{t}a(x-p)^2 dx $$</p>
<p>と書けるからこれを計算して、</p>
<p>$$=a\dfrac{(t-p)^3}{3}$$</p>
<p>ここで</p>
<p>$P= -\frac{1}{4a^2}=2t-1$</p>
<p>であることから</p>
<p>$$=a\dfrac{(1-t)^3}{3}$$</p>
<p>と書ける。</p>
<p> </p>
<p>ゆえに</p>
<p>$$C_2=a\dfrac{(1-t)^3}{3}+a\dfrac{(1-t)^3}{3}=2a\dfrac{(1-t)^3}{3}$$</p>
<p>$$\therefore \dfrac{C_2}{a}=2\dfrac{(1-t)^3}{3}$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>今回はここまで。</p>
mathbanker
一般化するということ。宇宙人と異端者の選択について。
hatenablog://entry/13574176438053705012
2022-01-31T22:01:57+09:00
2022-03-24T00:43:52+09:00 今回は「一般化」について。 「一般化」って数学における抽象化という作業が手に入れた概念である他に、日常的にも物事を俯瞰したり、大きな視点で考えるときによく使われるツールだ。どことなく「一般化」して考える姿をみせたりすると、賢そうに思われたりもして、なかなかに利便性が高い。 でも、この両者(数学的使い方と一般的使い方)の間には、定義にこそ差は少なくても、一般用法には違いがあって、その差というのが結構真逆だ。 例えば数学において、 $2,4,6, \cdots$ という具体的な数は一般化してみると $2n$ , $n \in \mathbb{N}$ と捉えることができる。注意したいのは、一般化とい…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220117/20220117173543.jpg" alt="f:id:mathbanker:20220117173543j:plain" width="1200" height="783" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回は「一般化」について。</p>
<p> </p>
<p>「一般化」って数学における抽象化という作業が手に入れた概念である他に、日常的にも物事を俯瞰したり、大きな視点で考えるときによく使われるツールだ。どことなく「一般化」して考える姿をみせたりすると、賢そうに思われたりもして、なかなかに利便性が高い。</p>
<p> </p>
<p>でも、この両者(数学的使い方と一般的使い方)の間には、定義にこそ差は少なくても、一般用法には違いがあって、その差というのが結構真逆だ。</p>
<p> </p>
<p>例えば数学において、</p>
<p>$2,4,6, \cdots$</p>
<p>という具体的な数は一般化してみると</p>
<p>$2n$ , $n \in \mathbb{N}$</p>
<p>と捉えることができる。注意したいのは、一般化という態度は必ずこうなるというものではなくて、解釈の数だけ一般化した形は異なるということだ。今この例では偶数として捉えたというだけで、</p>
<p>$y=\dfrac{3}{4} (x-2)(x-4)- (x-2)(x-6)+\dfrac{1}{4} (x-6)(x-4)$</p>
<p>という二次関数から得られる値という解釈もある。</p>
<p> </p>
<p>しかし、解釈の仕方は種々あっても、一度一般化されたものは間違いなくその具体化されたものを含むし、同一の性質のものはすべて残らずに代表している。ここが、ボクらが普段「一般化」という言葉を用いるときのギャップになる。</p>
<p> </p>
<p>「一般的に、男性より女性の方が仕事中に抱えるストレスが高くなる。」</p>
<p>ということがあったとしよう(真実はさておき、本当に会社で健康に関するコンサルタントからこんな指摘があった)。この場合、特定のストレスが溜まっている男性や、まったくストレスを感じていない女性を目の前に連れてきてもあまり意味がない。それは、「一般的に」という範疇でその傾向があるだけで、個別具体的なケースでは許容しているからだ。</p>
<p> </p>
<p>つまり、数学における「一般化」はすべての具体性に通じる共通項である一方で、世の中で使われる「一般化」はただの傾向に過ぎない。</p>
<p> </p>
<p>一般化した対象を深堀したり研究する姿勢は数学においてはきれいにその具体的事象を引き連れて意味をなすけど、日常的な「一般化」はそこに汲み取れなかったものまで存在を忘れないように気を配る必要がある。</p>
<p> </p>
<p>ボクら数学が好きな者たちに与えられた選択は、日常生活における会話でさえも数学的な一般化の概念を持ち出し、宇宙人のようなまなざしを受ける覚悟を持つか、日常生活では数学のような厳密さを放り出し取りこぼされた異端者たちに心の中で合掌をするかといったところだ。</p>
<p> </p>
<p>仮に前者を採択することができたなら、日本語の言葉が作る空間のなかに新しい数学の何か芽生えを発見できるような気がしないでもないのでとても楽しそうだが、ボクにはその選択は難しい。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
自分に期待されていることに向き合うし、向き合わない。
hatenablog://entry/13574176438053885767
2022-01-19T20:23:57+09:00
2022-01-19T20:23:57+09:00 とてもとても今更ながら2022年始動しました。あけましておめでとうございます。 今年もだらだらこのブログをやってくつもりだけど、今年こそは少なくとももう一個なにか別のコンテンツにチャレンジしたいと思っている。 ・・・なんて意味があるかわからない新年の抱負はさておき、そんなことを考えているときにふと思ったことがあった。 このブログ、ボクはなんとなくだらだら続けているけれど、見てくれている人は何を期待しているのだろうと。 ということで、普段あまり見てないページアクセスランキングをのぞいてみた。 で、一番だったのはこの記事。 www.mathbanker.info ちなみに2位はこれ。 www.ma…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20220119/20220119202216.jpg" alt="f:id:mathbanker:20220119202216j:plain" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p> </p>
<p>とてもとても今更ながら2022年始動しました。あけましておめでとうございます。</p>
<p> </p>
<p>今年もだらだらこのブログをやってくつもりだけど、今年こそは少なくとももう一個なにか別のコンテンツにチャレンジしたいと思っている。</p>
<p> </p>
<p>・・・なんて意味があるかわからない新年の抱負はさておき、そんなことを考えているときにふと思ったことがあった。</p>
<p> </p>
<p>このブログ、ボクはなんとなくだらだら続けているけれど、見てくれている人は何を期待しているのだろうと。</p>
<p> </p>
<p>ということで、普段あまり見てないページアクセスランキングをのぞいてみた。</p>
<p>で、一番だったのはこの記事。</p>
<p> </p>
<p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.mathbanker.info%2Fentry%2F2017%2F11%2F12%2F190417" title="【問題解説】最短経路の確率問題の罠 - 数学が好きなサラリーマンのブログ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.mathbanker.info/entry/2017/11/12/190417">www.mathbanker.info</a></cite></p>
<p> </p>
<p>ちなみに2位はこれ。</p>
<p> </p>
<p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.mathbanker.info%2Fentry%2F2019%2F10%2F21%2F203022" title="漸化式を解くときの特性方程式の解法を感覚的に理解してみる(特に数列部分を同じ文字におくとこあたり)。 - 数学が好きなサラリーマンのブログ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.mathbanker.info/entry/2019/10/21/203022">www.mathbanker.info</a></cite></p>
<p> </p>
<p>なるほど。大学受験のテクニックとか考え方を説明した記事が人気らしい。</p>
<p> </p>
<p>これは悩ましい。。</p>
<p> </p>
<p>いろんなジャンルの記事を書いたつもりだったけど、数学的に気になったことを調べた時にたどり着いたサイトとして機能しているのならば、いっそこのブログを一つの数学参考書としてリデザインするのもありなのかな、と思う一方で、サラリーマン的要素がなくなるなというのが正直なとこだ。</p>
<p>いや、サラリーマン的要素なんて誰も求めていないのかもしれないけど、社会人としての問題解決のためのツールとして、もしくは社会人としての問題解決のツールを数学の問題を解くツールとして広めていく、というところも大切にしたいところだ。</p>
<p> </p>
<p>でも、このデザインで走り続けて長いわけだし、そろそろコンセプトとともにがらっと変えてみるのもありかな。</p>
<p> </p>
<p>色々とチャレンジしてみるので、今年も時々のぞいていただけると嬉しい限りだ。</p>
<p>本年もよろしくお願いいたします。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理2-(1)
hatenablog://entry/13574176438044725970
2021-12-21T13:14:23+09:00
2021-12-21T13:14:23+09:00 久々に亀的速度の問題解説編。 問題 解説 (1)(a) この問題が難しいと思っている人は少ないんじゃないかと思いつつ、だからこそ、ボクらは解ける問題が何故解けるのかということについてちょっとだけ触れてみる。 まず直線$l_1$から求めていこう。 この問題がさくっと解けるのは、 「接線の求め方」を知っているから というのがわかりやすい理由だと思う。 なにをそんな当然なことを、と思われるかもしれないけど、ボクらには 知っていること と 知らないこと がある。普段のコミュニケーションでは時々知らないことを知っているふりをしたり、知っていることを知らないふりしたりすることがあるが、問題解決においてはそ…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>久々に亀的速度の問題解説編。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211221/20211221084514.png" alt="f:id:mathbanker:20211221084514p:plain" width="598" height="719" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p><br /><br /></p>
<h4>解説</h4>
<p>(1)(a) この問題が難しいと思っている人は少ないんじゃないかと思いつつ、だからこそ、ボクらは解ける問題が何故解けるのかということについてちょっとだけ触れてみる。</p>
<p> </p>
<p>まず直線$l_1$から求めていこう。</p>
<p>この問題がさくっと解けるのは、</p>
<p>「接線の求め方」を知っているから</p>
<p>というのがわかりやすい理由だと思う。</p>
<p>なにをそんな当然なことを、と思われるかもしれないけど、ボクらには</p>
<p>知っていること</p>
<p>と</p>
<p>知らないこと</p>
<p>がある。普段のコミュニケーションでは時々知らないことを知っているふりをしたり、知っていることを知らないふりしたりすることがあるが、問題解決においてはその態度は害悪でしかないにも関わらず、自分とのコミュニケーションという解釈なのかやってしまうことがある。問題を解くときには自分に正直にその分類を受け入れて考えてみる。</p>
<p> </p>
<p>ここで注意しなきゃいけないのは、知らないから解けないというロジックの一助をしたいわけじゃない。知っていることと知らないことを確認できたなら、知っていることで問題解決の道筋をデザインすることができるわけで、そのための道具を明確にしておくということだ。</p>
<p> </p>
<p>接線を求めるには、接線=直線なわけだから傾きと通る点(切片はその代表的なものの一つ)が必要なわけで、</p>
<p>傾き→微分係数</p>
<p>通る点→接点</p>
<p>で与えられる。</p>
<p> </p>
<p>ここで微分係数?接点?となるのなら、教科書をやり直せばいいだけの話だ。</p>
<p> </p>
<p>この問題で</p>
<p>傾き→$2a \times 1$</p>
<p>通る点→$(1,a+1)$</p>
<p>となるから、求める接線は</p>
<p>$$y=2a(x-1)+a+1$$</p>
<p>これを計算して</p>
<p>$$y=2ax-a+1$$</p>
<p>と求まる。</p>
<p> </p>
<p>次に直線$l_2$を求めよう。</p>
<p>先ほどと同じ要領で考えてみると、傾きには二つの解釈があり、通る点(接点)は与えられていないということがわかる。</p>
<p> </p>
<p>数学において等式を立式することはよくあることだが、読んで字のごとく等しい符号=(イコール)を使って左右をつなぐ。つまり、イコールの左におかれたものと右に置かれたものが同じだということを意味してるわけだけど、この左右にあるものが本当に全く同じものなのだとしたら多分あまり価値がない。</p>
<p>例えば、</p>
<p>1=1</p>
<p>みたいな等式がありがたいシチュエーションってあまりないんじゃないかと。左右に置かれるものが一見違うんだけど、実は同じだよというときに等式という表現が価値を持ち始めると考えている。</p>
<p>そして、その「一見違うけど同じもの」こそが”解釈”であって二つの解釈があれば一つの等式を組み立てることができる。</p>
<p> </p>
<p>じゃ、そもそもなんで等式なんて作るの?ってところを考えてみたい。換言すれば、等式を作っていいことあるの?ということだ。</p>
<p>ボクが感じる等式を作る一番のメリットは、文字の消去だ。解答には使えない、勝手にこちら側で置いた変数一つにつき一つ等式があれば、なかったことにできる。</p>
<p> </p>
<p>そういう目線で改めて問題を考えると、傾きには二つの解釈があり、通る点(接点)は与えられていないということは、</p>
<p>傾き→等式が作れる</p>
<p>通る点→わからないから文字で置いてみる</p>
<p>とすることで置いてみた文字が等式で削除できるから求めることができそうだという見立てがつく。</p>
<p> </p>
<p>実際に計算していこう。</p>
<p>まず通る点を$(s,as^2+1)$とおいてみる。接線の傾きは、微分係数と$l_1$と直交するという条件から2通り考えることができて、それらは同じ傾きを表すから</p>
<p>$$2as=-\dfrac{1}{2a}$$</p>
<p>$s$は勝手に持ち出した文字だからこれを消去する形で</p>
<p>$$s=-\dfrac{1}{4a^2}$$</p>
<p>書ける。</p>
<p> </p>
<p>これで通る点は</p>
<p>$$\left( -\dfrac{1}{4a^2}, \dfrac{1}{16a^3}+1 \right)$$ </p>
<p>となることがわかる。これで通る点がわかったから、傾きと通る点から直線を表現することができて、</p>
<p>$$y=-\dfrac{1}{2a} \left( x+\dfrac{1}{4a^2} \right) +\dfrac{1}{16a^3}+1 $$</p>
<p>となり、これを計算して</p>
<p>$$y=-\dfrac{1}{2a} x -\dfrac{1}{16a^3}+1 $$</p>
<p>と求まる。</p>
<p> </p>
<p>今回はここまで。</p>
mathbanker
2=√2の謎を解く。
hatenablog://entry/13574176438030949966
2021-12-06T20:16:12+09:00
2022-06-01T15:52:08+09:00 季節の風物詩じゃないけど、定期的に話題になる数学的コンテンツがある。 例えば、小学校教育における掛け算の順序問題がそうだ。ボク個人としてとてもくだらないテーマだと思うけど、 1人3個リンゴを配るとして、6人に配るときりんごは全部でいくつ必要か みたいな問題で、 $$3 \times 6$$ と計算するか $$6 \times 3$$ と計算するかで意味が異なるというものだ。単位と個数で記載位置が決まっているらしいのだが、”単位”というものの解釈がそもそも変わりうるので教える側の都合としか思えない。 掛け算の順序問題はあまり語ることがないから掘り下げないけど、ほかの風物詩ネタとしては次のような問…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211206/20211206190334.jpg" alt="f:id:mathbanker:20211206190334j:plain" width="1200" height="794" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>季節の風物詩じゃないけど、定期的に話題になる数学的コンテンツがある。</p>
<p> </p>
<p>例えば、小学校教育における掛け算の順序問題がそうだ。ボク個人としてとてもくだらないテーマだと思うけど、</p>
<p>1人3個リンゴを配るとして、6人に配るときりんごは全部でいくつ必要か</p>
<p>みたいな問題で、</p>
<p>$$3 \times 6$$</p>
<p>と計算するか</p>
<p>$$6 \times 3$$</p>
<p>と計算するかで意味が異なるというものだ。単位と個数で記載位置が決まっているらしいのだが、”単位”というものの解釈がそもそも変わりうるので教える側の都合としか思えない。</p>
<p> </p>
<p>掛け算の順序問題はあまり語ることがないから掘り下げないけど、ほかの風物詩ネタとしては次のような問題がある。</p>
<p> </p>
<p>下の図を見てほしい(手書きで申し訳ない)。</p>
<p>1辺の長さが1の正方形において、対角線の長さは$\sqrt{2}$となる。</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211206/20211206184827.png" alt="f:id:mathbanker:20211206184827p:plain" width="313" height="315" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>一方、赤い線の長さに注目すると、</p>
<p>$$\dfrac{1}{4} \times 8 = 2$$</p>
<p>となる。</p>
<p>これを対角線と区切った階段の長さの比較という観点でみてみる。図的には4分割から分割数を増やしていくと、段数が増えてだんだん対角線に近づいていく。</p>
<p> </p>
<p>このとき、どんなに分割しても階段の長さは一定で常に2になる。数式で書くと$n$分割したときは</p>
<p>$$\dfrac{1}{n} \times 2n = 2$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>階段はどんどん数直線に近づいていき、その値は常に2なわけだから、結果として</p>
<p>$$\sqrt{2}=2$$</p>
<p>となることが示された気分になる。</p>
<p> </p>
<p>事実は、</p>
<p>$$\sqrt{2} \neq 2$$</p>
<p>なわけだからどこが間違っているのだろうか。</p>
<p> </p>
<p>これ系の話として、対角線でなく90度の扇形の弧の長さを用いても同じ議論ができる。</p>
<p> </p>
<p>この矛盾の説明として時々聞くのが、階段の隙間の話だ。</p>
<p>簡単にいうとどんなに細かく分割してもぴったり重なることはなくて、ちょっと隙間ができる。だから同じにならないんだよ、みたいなやつだ。</p>
<p> </p>
<p>Twitterでこれ系の問題が話題になるたびにこの説明で鼻を高くしている(ように感じる)輩が現れる。でも、この人は極限をわかっていないんじゃないか、と毎度感じている。</p>
<p> </p>
<p>似たようなものとして、円の面積の公式の話がある。$S$を円の面積$r$を円の半径として、おなじみ</p>
<p>$$S=\pi r^2$$</p>
<p>と表現できる。</p>
<p>これは半径$r$の円を細かい扇形に切り分けて</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211206/20211206194450.png" alt="f:id:mathbanker:20211206194450p:plain" width="245" height="203" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>これを上下交互にならべて長方形もどきを作る。<br /><br /></p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211206/20211206194544.png" alt="f:id:mathbanker:20211206194544p:plain" width="216" height="147" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>この扇形を細かくしていくと長方形もどきがどんどん長方形らしくなっていく。長方形の面積は</p>
<p>縦 × 横</p>
<p>なので、この場合</p>
<p>半径 × 円周の半分</p>
<p>となる。これを数式で表すと</p>
<p>$$S=\pi r^2$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>この円の説明では、隙間というか分割を大きくしたところで実は長方形でないことを理由に</p>
<p>$$S=\pi r^2$$</p>
<p>って嘘だよねとはならない。</p>
<p> </p>
<p>階段の話と円の話で何が違うのだろうか。階段を細かくしていく行為と、扇形を細かくしていく行為は何が違うのだろうか。</p>
<p> </p>
<p>このことをちゃんと精密に語ろうとすると測度論が登場してしまうけど、ここでは感覚的な話をしているので感覚的なままで進めたい。</p>
<p> </p>
<p>極限の計算は高校生までは”だんだん近づく”という日本語のままで扱われて、その”だんだん”具合は議論にならない。でも本当のところは近づき方は関数によって違いがあって、例えば</p>
<p>二次関数$y=x^2$</p>
<p>と</p>
<p>対数関数$y=\log x$</p>
<p>は両方とも$x \rightarrow \infty$で$\infty$に発散するけど、無限大に駆け上がっていくスピードは2次関数の方が早かったりする(この事実自体は大学受験数学とかで取り扱うかな)。</p>
<p> </p>
<p>ここで抑えておきたいのは、”近づいていく”ということだ。千里の道も一歩から、でゆっくりでも歩き出せば寿命がなければいつかはどこにでも辿り着くことができる。逆にずっと同じ場所で足踏みをしていれば、どんなに年月が経とうが千里の道は僅かも進まない。</p>
<p> </p>
<p>最初の問題における階段の長さは、ここでいう足踏みをしている。図で書いたときにはたしかに対角線に近づいていくけれど、その”長さ”を問われると2という足踏みをずっと続けている。だから”長さ”という観点では、一向に近づいていない。</p>
<p>近づいているのは見た目であって、それが極限で対角線と一致したときは別の手続きで手に入れた$\sqrt{2}$という長さのものになる。そう、見た目と長さは別問題であって、ちゃんと近づくという態度が肝要だ。</p>
<p> </p>
<p>円の面積を振り返ると、扇形を細かくすればするほど、長方形もどきの面積は長方形に近づいていく。ちゃんと近づいているからこそ、結論として長方形と同じ式で値を得ることができるわけだ。</p>
<p> </p>
<p>千里の道も一歩から。</p>
<p>近づこうとしてないのに、突然理想を手に入れることはできない</p>
<p>ということは、まるで何かを示唆しているようだ。</p>
<p> </p>
mathbanker
面倒な問題と難しい問題
hatenablog://entry/13574176438035612999
2021-11-23T11:54:58+09:00
2021-11-23T11:54:58+09:00 最近旧友から、大学受験生の子供が数学で解けない問題があって悩んでいるから教えてやってくれないかという相談を受けた。 もちろん快諾して、その解けないという問題をみせてもらったのだが、それは塾のオリジナル問題で絶対値を含む関数が囲む図形に関する問題だった。 そこそこに計算量が多い問題で、難しいというよりも面倒くさい問題といった印象だったけど、高校生だとそこの違いもあやふやにざっくり難しいと判定してしまうのだろう。 ここにその問題を掲載できないのが悩ましいところだけど(式を忘れてしまった)、出てきた関数のうちひとつは $$y=|ax+b|+|cx-d|$$ といった形をしていて、絶対値の中の場合分け…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211123/20211123022732.jpg" alt="f:id:mathbanker:20211123022732j:plain" width="1200" height="674" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>最近旧友から、大学受験生の子供が数学で解けない問題があって悩んでいるから教えてやってくれないかという相談を受けた。</p>
<p>もちろん快諾して、その解けないという問題をみせてもらったのだが、それは塾のオリジナル問題で絶対値を含む関数が囲む図形に関する問題だった。</p>
<p> </p>
<p>そこそこに計算量が多い問題で、難しいというよりも面倒くさい問題といった印象だったけど、高校生だとそこの違いもあやふやにざっくり難しいと判定してしまうのだろう。</p>
<p> </p>
<p>ここにその問題を掲載できないのが悩ましいところだけど(式を忘れてしまった)、出てきた関数のうちひとつは</p>
<p>$$y=|ax+b|+|cx-d|$$</p>
<p>といった形をしていて、絶対値の中の場合分けを考えると、面倒くさくてたまらない。</p>
<p> </p>
<p>こんなときまず思うのは、何とか楽できないかなということ。数学の問題に限ったことじゃないけど、難しい問題や複雑な問題にでくわしたときに、つい頭の中で難しいとか面倒だとかいう感想を延々とループさせて、実際にちゃんと解決手段を考えていないということはありがちな話だ。</p>
<p> </p>
<p>楽をするということはどういうことだろうか。</p>
<p>計算を簡単にする方法を考えてみる、というのがすぐに思いつくことかもしれないが、それが実ることはそんなに多いことじゃない。</p>
<p> </p>
<p>楽をする手段としては、問題が解けるシナリオを整理する、ということもある。計算が面倒な問題は、当たり前の話だけど、計算をしなければ、或いは代わりに誰かが計算をしてくれれば面倒ではなくなるはずだ。つまり、面倒な計算を省略して外観をみたときに、全体としてどんな場合分けが発生して、どんな流れで答えが求まるのだろうか、途中どういう状況になるだろうかということを考えてみる。</p>
<p> </p>
<p>問題を少しだけ俯瞰的に見てみると、同じような計算をするところや、計算をしなくてもいいところ、マーク式の問題ならばそもそも考えなくても済むところなどが見えてくることがある。</p>
<p> </p>
<p>場当たり的に立ち向かっていって、目の前に出てくる数字をひたすら計算してやっつけて解答を得るなんて態度は、計算力はつくかもしれないが、無駄が多くて、その分答えにたどり着くまでの道のりが長く辛く思えて、結局投げ出してしまうなんてことになりかねない。</p>
<p> </p>
<p>これって実生活におけるいろんな問題にもあてはまる。面倒な問題、難しい問題にでくわしたときに、まず難しいのか面倒なのかどっちなんだろうと考えてみる。面倒な問題ならば、頑張れば解決できるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>面倒と難しいを区別する。</p>
<p>難しいものを放棄せよということでは決してないけど、面倒なものとカテゴライズされたものからは逃げないようにしたいものだ。</p>
<p> </p>
mathbanker
選択的夫婦別姓を斜に構えて考える。
hatenablog://entry/13574176438030958373
2021-11-09T22:25:27+09:00
2021-11-09T22:26:11+09:00 いま巷では選択的夫婦別姓が話題だ。 賛成か反対で色々議論はあるみたいだ。よくみる賛否意見数のグラフでは6:4くらいで拮抗している感じのものをみるけど、テレビコメンテーターは賛成派が多いんじゃないか(感覚だけど)。 街頭インタビューでも賛成派のコメントが多くて、よくある意見が 別姓で助かる人がいる一方で「選択的」なんだから嫌な人は同性にすればいいし、そういう意味では誰にも害がない というものだ。 今回はどっちであるべきかなんて議論はさておき、物事を考えるとき(数学の解答につまってしまったときとか)の一助としてアプローチしてみたい。 上記に挙げたような「選択的」なんだから賛成でしょみたいな意見は、…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211108/20211108212114.jpg" alt="f:id:mathbanker:20211108212114j:plain" width="1200" height="635" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>いま巷では選択的夫婦別姓が話題だ。</p>
<p> </p>
<p>賛成か反対で色々議論はあるみたいだ。よくみる賛否意見数のグラフでは6:4くらいで拮抗している感じのものをみるけど、テレビコメンテーターは賛成派が多いんじゃないか(感覚だけど)。</p>
<p> </p>
<p>街頭インタビューでも賛成派のコメントが多くて、よくある意見が</p>
<p>別姓で助かる人がいる一方で「選択的」なんだから嫌な人は同性にすればいいし、そういう意味では誰にも害がない</p>
<p>というものだ。</p>
<p> </p>
<p>今回はどっちであるべきかなんて議論はさておき、物事を考えるとき(数学の解答につまってしまったときとか)の一助としてアプローチしてみたい。</p>
<p> </p>
<p>上記に挙げたような「選択的」なんだから賛成でしょみたいな意見は、わかりやすいし背景知識を知らなければ知らないほど誰でも思い浮かぶ回答だ。</p>
<p> </p>
<p>ここでは、そこをあえてあまのじゃくに攻めてみたい。選択的夫婦別姓に反対してる人なんて古い価値観の人だとか、意味が分からないとかで思考放棄せずに、そのポジションの意味を考えてみる。</p>
<p> </p>
<p>背理法的なスタンスだけれども、少し異なる。ポイントは相対的議論であってどちらかが正解ではない、ということ。一方の論理が最後まで通貫出来れば採択すべき答えが得られるとは限らないということだ。問題解決のための手段の比較であって、最短経路を求めるための一般化のすべを知らないわけだから、想定しうる選択肢の吟味をせざる得ない。</p>
<p> </p>
<p>選択的夫婦別姓に反対とは、夫婦は同姓であるべきということだ。この意見を主張するためには、</p>
<p>「別姓を選択できること」にデメリットがあって、それが「同姓でなければならないこと」のデメリットに勝るか、劣っていても「同姓でなければならないこと」のメリットがデメリットの差を看過できる程度に大きい必要がある。</p>
<p> </p>
<p>ここで注意したいことは、これはメリットやデメリットが測定可能であることを前提としていることだ。そもそも現制度を辞めたときにどういったことが起こるか想定することがいかなるシミュレーションを行っても不可能である、なんてときには慎重論というか、選択的夫婦別姓のメリットを個別導入を模索するのが安全だ。</p>
<p> </p>
<p>では、それぞれのメリットとデメリットは何かを考えてみる。ぼくらは何と何を天秤にかけているのだろうか。</p>
<p> </p>
<p>天秤の一方にしかモノを載せていないのに重さの判定をすることは、当然だけどそもそも比較をしていないことと同じだ。しかし、物事を二項対立の中で考えるとき、一方の論理が単純で受け入れやすいものであれば、ぼくらはついそちら側を推してしまう。</p>
<p> </p>
<p>結婚で苗字を変えたくない人は変えなくてよいこと</p>
<p>と</p>
<p>結婚したら苗字を統一すること</p>
<p>の対立軸を考えるときに、「結婚で苗字を変えたくない人は変えなくてよいこと」のメリットが簡単に思いつくぼくらは「結婚したら苗字を統一すること」のメリットやデメリットをちゃんと理解できているのだろうか。</p>
<p> </p>
<p>戸籍制度とは何か。</p>
<p>家制度とは何だったのか。今、文化として何が根付いていて、何を守るべきだろうか。</p>
<p> </p>
<p>ワイドショーやネットニュースで選択的夫婦別姓が話題に上がると否定派の意見として紹介されるけど、この辺に明るい人や調べてみようと思った人はどれだけいるのだろう。</p>
<p> </p>
<p>一見わかりやすいものの中に罠がある。複雑さの中にはまやかしや綻びが混じる。</p>
<p> </p>
<p>単純なことは複雑に、複雑なことは単純に考える的なことが、野村克也さんやユニ・チャームの創業者をはじめ、著名人の言葉にでてくるけど、まさにこれだ。</p>
<p> </p>
<p>「考える」ことを考える。選択的夫婦別姓自体の是非とは別に、いい題材だなと思った今日この頃。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(3)③
hatenablog://entry/13574176438026214925
2021-10-25T20:59:36+09:00
2021-10-25T20:59:36+09:00 やっぱり隔週更新な今回です。 問題 解説 前回の続き。前回の考察をもとに解いていこう。 まずは、 二つの異なる共有点で接している ということを$C_1$を求めたときと同様に数式で表現してみる。共有点のうち、$x$座標が正となるほうの点を$C$として$(T, 4T^2)$とおいておく。 共有点で接している とは、円の中心$(0, a)$とこの点を結ぶ直線が共有点における接線と直交するということだったから、それを$C_1$のときと同じくベクトルで表現する。 $$\left( T-0, 4T^2-a \right)=\left( T, 4T^2-a \right)$$ と $$\left( 1, 8…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>やっぱり隔週更新な今回です。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211004/20211004231326.png" alt="f:id:mathbanker:20211004231326p:plain" width="596" height="651" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<h4>解説</h4>
<p>前回の続き。前回の考察をもとに解いていこう。</p>
<p> </p>
<p>まずは、</p>
<p>二つの異なる共有点で接している</p>
<p>ということを$C_1$を求めたときと同様に数式で表現してみる。共有点のうち、$x$座標が正となるほうの点を$C$として$(T, 4T^2)$とおいておく。</p>
<p> </p>
<p>共有点で接している</p>
<p>とは、円の中心$(0, a)$とこの点を結ぶ直線が共有点における接線と直交するということだったから、それを$C_1$のときと同じくベクトルで表現する。</p>
<p> </p>
<p>$$\left( T-0, 4T^2-a \right)=\left( T, 4T^2-a \right)$$</p>
<p>と</p>
<p>$$\left( 1, 8T \right)$$</p>
<p>の内積計算をすると0になるわけで実際に計算すると、</p>
<p>$$ T+8T\left( 4T^2 -a \right) =0 $$</p>
<p>となる。ここで、$ T\neq 0 $であるから</p>
<p>$$ 1+8\left( 4T^2 -a \right) =0 $$</p>
<p>とすることができる。</p>
<p>ここで、</p>
<p>$T=$○○</p>
<p>の形にしても式が汚くなるだけだからここで止めておこう。</p>
<p> </p>
<p>さて、ここから前回の考察のとおりに相似を考えてみる。</p>
<p>円の中心と共有点を結ぶ線分を含む直角三角形を下の図の通りに抜き出してみる。</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211025/20211025201621.png" alt="f:id:mathbanker:20211025201621p:plain" width="241" height="122" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>ここで、図で示したところが$\dfrac{\pi}{4}$になるということが、$C_1$と$C_2$が相似になるということを意味している。<br /><br /></p>
<p>ここからやるべきことは2つある。</p>
<p>・(自分で設定した)文字$T$の消去</p>
<p>・角度が$\dfrac{\pi}{4}$であることを用いた条件式の立式</p>
<p>の2つだ。</p>
<p>そして今この問題固有のものとして使える武器は、さっき計算した</p>
<p>$$ 1+8\left( 4T^2 -a \right) =0 $$</p>
<p>の式だ。これは$T$と$a$の式だから、これを使うと$T$を消去して$a$で表現できることがわかる。でも、さっき述べた通り</p>
<p>$T=$○○</p>
<p>の形にするのは汚いからできれば避けたいところだ。しかし、接点の$y$座標ならばほぼ同じ形が式の中にあるので、そこは簡単に$a$で表現することができる。</p>
<p>つまり共有点は、</p>
<p>$$\left( T, a- \dfrac{1}{8} \right)$$</p>
<p>とあらわすことができる。</p>
<p> </p>
<p>共有点の$x$座標の値$T$には片目をつむって</p>
<p>・角度が$\dfrac{\pi}{4}$であることを用いた条件式の立式</p>
<p>を先に考えよう。</p>
<p>これってつまりは直角二等辺三角形の条件式化なわけで、昔からお馴染みの</p>
<p>$$1:1:\sqrt{2}$$</p>
<p>となっていることを使えば式を作ることができそうだ。</p>
<p> </p>
<p>斜辺の長さが$r$となっていることから、そのほかの辺の長さは</p>
<p>$$\dfrac{r}{\sqrt{2}}$$</p>
<p>となる。</p>
<p>これとは別の方法で同じ辺を表現できれば、等式を表現することができる。</p>
<p>$x$座標の値は触れたくないから、$y$座標に注目してみよう。</p>
<p> </p>
<p>いま円の中心の$y$座標は$a$で、共有点の$y$座標は$a-\dfrac{1}{8} $となっている。</p>
<p>ここからわかることは、今考えている直角二等辺三角形の等しい二つの辺の長さは、</p>
<p>$$ \dfrac{1}{8} $$</p>
<p>になるということだ。</p>
<p> </p>
<p>ゆえに</p>
<p>$$ \dfrac{r}{\sqrt{2}}=\dfrac{1}{8}$$</p>
<p>となる。ここから</p>
<p>$$r=\dfrac{\sqrt{2}}{8}$$</p>
<p>となるし、ここで恐れていた$x$座標に対しても三角比を使って</p>
<p>$$T=\dfrac{1}{8}$$</p>
<p>と求めることができる。</p>
<p>この結果を</p>
<p>$$ 1+8\left( 4T^2 -a \right) =0 $$</p>
<p>に代入すれば、</p>
<p>$$1+8\left( \dfrac{1}{16} -a \right) =0 $$</p>
<p>$$a=\dfrac{3}{16}$$</p>
<p>と求まる。</p>
<p> </p>
<p>これらのことから、相似比は</p>
<p>直角二等辺三角形の斜辺でない辺の長さ=共有点の$x$座標</p>
<p>を比べることで、</p>
<p>$$\dfrac{1}{2}:\dfrac{1}{8}=4:1$$</p>
<p>となるから、面積比$C_1:C_2$は</p>
<p>$$16:1$$</p>
<p>となる。ゆえに$C_1$の面積を$16$で割ればいいわけだから、</p>
<p>$C_2$の面積は</p>
<p>$$\left( \dfrac{5}{12}-\dfrac{\pi}{8} \right) \times \dfrac{1}{16}=\dfrac{5}{192}-\dfrac{\pi}{128}$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>今回はここまで。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(3)②
hatenablog://entry/13574176438019073958
2021-10-11T20:49:24+09:00
2021-10-11T20:49:24+09:00 隔週更新になってきた昨今。無理やりにでも更新するぜー。おー。 問題 解説 前回の続き。 前回は$y=x^2$で考えてたけど、今回は$y=4x^2$で似たようなことをしましょう的問題。ちゃんと問題文を読むと、「相似」という言葉があるのに気づくし、気になるに違いない。 昔、「すべての二次関数は相似だよ」って記事を書いたことがあったけど、この問題ででてくるのは二次関数と円なわけで、両方とも係数が何だろうが全部相似だ(つまり位置と大きさが違うだけ)。なのに、問題文において 「・・が相似であるとき」 という表現がでてきている。これは、 「・・が相似でないときがある」 と同じだ。つまり相似なもの二つに囲ま…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>隔週更新になってきた昨今。無理やりにでも更新するぜー。おー。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20211004/20211004231326.png" alt="f:id:mathbanker:20211004231326p:plain" width="596" height="651" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<h4>解説</h4>
<p>前回の続き。</p>
<p>前回は$y=x^2$で考えてたけど、今回は$y=4x^2$で似たようなことをしましょう的問題。ちゃんと問題文を読むと、「相似」という言葉があるのに気づくし、気になるに違いない。</p>
<p> </p>
<p>昔、「すべての二次関数は相似だよ」って記事を書いたことがあったけど、この問題ででてくるのは二次関数と円なわけで、両方とも係数が何だろうが全部相似だ(つまり位置と大きさが違うだけ)。なのに、問題文において</p>
<p>「・・が相似であるとき」</p>
<p>という表現がでてきている。これは、</p>
<p>「・・が相似でないときがある」</p>
<p>と同じだ。つまり相似なもの二つに囲まれた領域は、形が変わりうるもので、それがたまたま相似になる、ということだ。</p>
<p> </p>
<p>$C_1$から$C_2$への変化はなんだったか確認すると、二次関数の係数が4になっているのと、円の中心が変数$a$になっていることだ。接している条件は同じなので、伴って半径も変数化している。</p>
<p> </p>
<p>ということは、$a$の値によって$C_2$の形は変わり、たまたま同じ形になるところ(=相似)を求めよ、と解釈できる。</p>
<p> </p>
<p>では、もう一歩踏み込んで、</p>
<p><strong>$a$の値によって$C_2$の形は変わり</strong></p>
<p>とはどういうことかを考えてみよう。だって、</p>
<p><strong>形が変わる</strong></p>
<p>という表現はあいまいだからだ。数学をやってるんだから、数式で表現できない(もしくは、難しい)日本語表現はもっと分解してみる。つまり、</p>
<p><strong>$a$の値によって○○が変わり、結果として$C_2$の形は変わる</strong></p>
<p>という○○の正体を突き止めるわけだ。</p>
<p> </p>
<p>ボクらは中学時代に相似を習って、そこに対する新しい知識は高校数学ではあまり更新されない。つまり、相似について判断できる根拠は線分の比と角度以外にあまり思いつかない。</p>
<p> </p>
<p>この問題において、$a$の値が動くことによって線分の比がどう変わるかはあまりよくわからないけど、例えば$a$の値が大きくなると$a$と接点を結ぶ線と$y$軸の間の角度はどんどん小さくなることはすぐにわかる。ということは、</p>
<p><strong>この角度が同じになるとき相似になるはずだよね</strong></p>
<p>と思えるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>で、前回の問題解説からここの角度は$\dfrac{\pi}{4}$であることがわかっている(直角二等辺三角形を半分に切っただけ)。つまり、角度が$\dfrac{\pi}{4}$であれば相似になっているということだ。</p>
<p> </p>
<p>これくらいで問題を解く武器はそろってきた気がするから、次回実際に計算をしていこう。</p>
<p> </p>
<p>今回はここまで。</p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
猿とかホテルとか無限とか。その魅惑の根源について。
hatenablog://entry/13574176438016494993
2021-09-27T23:12:10+09:00
2021-09-27T23:12:10+09:00 猿に無限にタイプさせれば、出力された文字列がシェイクスピアの作品と一致する確率は1となる。 これは、無限と確率の関係のいい例として無限の猿定理とよばれていて、可能性あるものは無限に繰り返すと必ず起きることを意味している。 実際にはキーボートのキーの数だけ選択肢があって、そこから正しいキーを連続して選択できれば達成できるわけで、実際にやってみることは不可能でも、思考実験で僕らは容易く理解できるはずだ。一兆回とか百兆回みたいな有限回だと難しくても、無限回なら期待した文字列が出現するまで止めないわけだから確率は1なのは自明だ。 そもそもこれって定理っていうんだっけ?という素朴なツッコミはおいといて、…
<p> </p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210927/20210927223613.jpg" alt="f:id:mathbanker:20210927223613j:plain" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<blockquote>
<p><br />猿に無限にタイプさせれば、出力された文字列がシェイクスピアの作品と一致する確率は1となる。</p>
</blockquote>
<p>これは、無限と確率の関係のいい例として無限の猿定理とよばれていて、可能性あるものは無限に繰り返すと必ず起きることを意味している。</p>
<p> </p>
<p>実際にはキーボートのキーの数だけ選択肢があって、そこから正しいキーを連続して選択できれば達成できるわけで、実際にやってみることは不可能でも、思考実験で僕らは容易く理解できるはずだ。一兆回とか百兆回みたいな有限回だと難しくても、無限回なら期待した文字列が出現するまで止めないわけだから確率は1なのは自明だ。</p>
<p> </p>
<p>そもそもこれって定理っていうんだっけ?という素朴なツッコミはおいといて、理解できる壮大な無限のイメージの例だけど、この無限というものが我々の感覚を飛び越えたものを見せることもしばしばあって、それが悩ましいし、楽しい事象につながる。</p>
<p> </p>
<p>$$\lim_{x \rightarrow \infty} \dfrac{1}{x}=0 $$</p>
<p>が、辿り着かないけど目指している値、届かぬ一歩先をイコールで結ぶから、</p>
<p>$$ 0.3333333 \cdots \times 3=0.99999 \cdots=1$$</p>
<p>なんてあの頃の少年が疑問を持つような関係を作り出すわけだ。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>この</p>
<p><strong>目指している</strong></p>
<p>ということが肝要で、一時期話題になった</p>
<blockquote>
<p>半径1中心角が直角の扇形の円周を、階段状の直線の極限と見なせば</p>
<p>π=2</p>
<p>が示せてしまう(もちろん誤り)</p>
</blockquote>
<p>というのも、</p>
<p><strong>階段状の直線が円周を目指していない</strong></p>
<p>というところで一般感覚を鈍らせている。</p>
<p> </p>
<p>次の無限ホテルの話も有名だ。</p>
<blockquote>
<p>あるホテルには無限の部屋があるが、いますべて満室だ。そこに一人新しい客がやってきた。この客を泊めるにはどうすればいいだろうか。</p>
</blockquote>
<p>答え</p>
<p><strong>すべての宿泊客に隣室に移動してもらう</strong>。そうするとはじまりの部屋は空室になるから、そこに泊まることができる。なんとなくずるい気がするが、これも無限のなせる業だ。</p>
<p> </p>
<p>こんなだらだらと何が言いたいかっていうと、無限というか極限あたりって苦手意識持っている人多いと思うけど、その苦手意識の原因は</p>
<p><strong>一般感覚とのずれとか扱いにくさ</strong></p>
<p>にあって、それって見方を変えれば無限のおもしろさにつながってるんじゃないかと。</p>
<p> </p>
<p>もっと一般的に言えば、難しいことって、その難しさ自体が魅力の構成要素の根幹なんてこと、あるんじゃないかと思った次第だ。以上。</p>
<p> </p>
<div class="freezed">
<div class="hatena-asin-detail"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150504423/mathbanker-22/" class="hatena-asin-detail-image-link" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41ul-IuqfhL._SL500_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="「無限」に魅入られた天才数学者たち (〈数理を愉しむ〉シリーズ)" title="「無限」に魅入られた天才数学者たち (〈数理を愉しむ〉シリーズ)" /></a>
<div class="hatena-asin-detail-info">
<p class="hatena-asin-detail-title"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150504423/mathbanker-22/" target="_blank" rel="noopener">「無限」に魅入られた天才数学者たち (〈数理を愉しむ〉シリーズ)</a></p>
<ul class="hatena-asin-detail-meta">
<li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span><a href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%DF%A1%BC%A5%EB%A1%A6D%A1%A6%20%A5%A2%A5%AF%A5%BC%A5%EB" class="keyword">アミール・D・ アクゼル</a></li>
<li>早川書房</li>
</ul>
<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150504423/mathbanker-22/" class="asin-detail-buy" target="_blank" rel="noopener">Amazon</a></div>
</div>
</div>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
誰かに何かを教える前に。
hatenablog://entry/26006613805595211
2021-09-13T20:02:09+09:00
2021-09-13T20:02:09+09:00 昔からずっとやっていて、今の自分の能力がその辺の人の平均よりも高いレベルになっている物事を初心者に教えるとき、自分のスキルを要素分解していって構成する基礎的な部分を丁寧に教える、ということを多くの人がやっている(と思っている)。 例えば、野球は素振りの練習から始まったり、フォートナイトは縦積みの特訓からやってみたり、数学は式の展開とか因数分解の演習から特訓が始まる。 けしてそれは間違っているわけじゃないし、教育者でもないボクがそこに一石投じるのもどうかと思うけど、ボクはいつでも基礎の習得の一歩手前に意識していることがある。 それは モチベーションはありますか ということだ。 ボク自身がなにか新…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210906/20210906235022.jpg" alt="f:id:mathbanker:20210906235022j:plain" width="1200" height="798" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>昔からずっとやっていて、今の自分の能力がその辺の人の平均よりも高いレベルになっている物事を初心者に教えるとき、自分のスキルを要素分解していって構成する基礎的な部分を丁寧に教える、ということを多くの人がやっている(と思っている)。</p>
<p> </p>
<p>例えば、野球は素振りの練習から始まったり、フォートナイトは縦積みの特訓からやってみたり、数学は式の展開とか因数分解の演習から特訓が始まる。</p>
<p> </p>
<p>けしてそれは間違っているわけじゃないし、教育者でもないボクがそこに一石投じるのもどうかと思うけど、ボクはいつでも基礎の習得の一歩手前に意識していることがある。</p>
<p>それは</p>
<p>モチベーションはありますか</p>
<p>ということだ。</p>
<p> </p>
<p>ボク自身がなにか新しいことを頑張るとき、そのモチベーションは下手なりに楽しかった「新しいことがもつ醍醐味」を経験することにある。ベストは成功体験を得ること。</p>
<p> </p>
<p>野球は(あまりやったことないけど多分)試合をやったときの経験</p>
<p>みんな大好きフォートナイトはバトルロイヤルをやってみた経験</p>
<p>はまる人ははまる数学は自分には難しいレベルの問題(高校生ならば受験問題とか)が解けた経験</p>
<p>これらのような経験によって、上達したいという気持ちが芽生える。それがモチベーションとなって、(やることの意味が理解できていれば)一見つまらない反復練習も頑張ることができる。</p>
<p> </p>
<p>だから</p>
<p>A「数学が苦手です。教えてください。」</p>
<p>B「じゃ、まずはこの式の展開をひたすら頑張ってみよう!」</p>
<p>ってのは、Aの苦手意識に加えて、つまらない印象を強く持たせるだけなんじゃないかということで、その前に「解けると楽しい!」とか「鮮やかな解答に感動!」とか、感情的な経験を持たせることが重要ではないか。</p>
<p> </p>
<p>・・ということを今更ながら仕事を通じてしみじみ感じたこの頃。いや、仕事のときはモチベ管理なんて言ってられない時もあるけど、余裕があれば結構大切なことだよね。自分でググるようになるし。うん。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(3)
hatenablog://entry/26006613800574306
2021-08-30T19:29:37+09:00
2021-10-04T23:12:25+09:00 ようやくカードの問題が終わって、新しい問題。 今回のテーマは 「ちゃんと楽すること考えてますか」 だ。さ、いってみよー。 問題 解説 なにはともあれまず問題文の設定どおりに描いてみる。3次元とかだと描くこと自体難儀だったりするけど、2次元なら大抵の場合余裕のはずだ。 とりあえず毎度おなじみDesmosで描いてみた。 www.desmos.com さて、まず円の方程式を考えてみる。円の方程式に必要な情報は、中心と半径だ。中心はすでに与えられているから、半径さえわかれば立式することができる。 この半径を求めるために問題文が与えている条件は、 二次関数と円が異なる2つの点A、Bで接している というこ…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>ようやくカードの問題が終わって、新しい問題。</p>
<p>今回のテーマは</p>
<p>「ちゃんと楽すること考えてますか」</p>
<p>だ。さ、いってみよー。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210824/20210824091942.png" alt="f:id:mathbanker:20210824091942p:plain" width="601" height="326" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<h4>解説</h4>
<p> なにはともあれまず問題文の設定どおりに描いてみる。3次元とかだと描くこと自体難儀だったりするけど、2次元なら大抵の場合余裕のはずだ。</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210824/20210824094241.png" alt="f:id:mathbanker:20210824094241p:plain" width="265" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>とりあえず毎度おなじみDesmosで描いてみた。</p>
<p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.desmos.com%2Fcalculator%3Flang%3Dja" title="Desmos | グラフ計算機" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.desmos.com/calculator?lang=ja">www.desmos.com</a></cite></p>
<p> </p>
<p>さて、まず円の方程式を考えてみる。円の方程式に必要な情報は、中心と半径だ。中心はすでに与えられているから、半径さえわかれば立式することができる。</p>
<p> </p>
<p>この半径を求めるために問題文が与えている条件は、</p>
<p>二次関数と円が異なる2つの点A、Bで接している</p>
<p>ということ。この問題においては、この部分について親切にも</p>
<p>共通接線をもつ</p>
<p>という説明までつけてくれている。</p>
<p> </p>
<p>ということで素直に円の接線と二次関数の接線を求めて、それが同じだよと連立してみれば答えが求まることは想像がつくところだ。</p>
<p> </p>
<p>これをやればまー問題を解くことはできるかなと保険を得つつ、もうちょっと簡単な別解ないかなと考えてみる。</p>
<p> </p>
<p>「二次関数」と「接する」ということはあまり特別なことはないんだけど、</p>
<p>「円」と「接する」だったら円の中心から接点に線を引くと接線と直交するという中学校からおなじみの性質があることを思い出す。これを使ってみよう。</p>
<p> </p>
<p>ここでふと立ち止まる。</p>
<p> 円の中心から接点に線を引くと接線と直交する</p>
<p> って、どうやって数式に翻訳するのよ、と。さっきの接線が重なるという表現ならば、二つの接線を求めて、実は同じ式なんだよね、ってことで計算ができる。しかし、この日本語表現はどう数式で表現できるんだろう。</p>
<p> </p>
<p>ボクらは今座標面上で問題を考えている。そこで使える武器はもちろん「座表面上で有効な武器」になるわけだけど、その中でも見落としがちなものがベクトルとか複素数あたりだ。こういったところも含めて、脳内辞書検索で「直交」という言葉を探してみる。</p>
<p> </p>
<p>すると、</p>
<p>直交するベクトルは、内積が0</p>
<p>がヒットする(それ以外もあるけどね)。これを使ってみよう。</p>
<p> </p>
<p>ここで抑えておきたいのが、直線とベクトルの関係だ。ここをわかっていないと座標系でベクトルを絡めることが難しい。</p>
<blockquote>
<p>$$y=ax+b$$</p>
<p>という直線があるとき、ベクトル$\left( 1,a \right)$はこの直線と平行</p>
</blockquote>
<p>となる。いわれてみれば当然で、傾きってなんだっけと思い返すと、$x$軸方向に1進んだときに$y$軸方向にどれだけ動きますかというものだったからだ。</p>
<p> </p>
<p> ということは。今、円の中心をCとすると、$\overrightarrow{CB}$と接線は直交することから、傾きベクトルとも直交するわけで、まずはそれぞれを求めてみよう。</p>
<p> </p>
<p>接点を$(t,t^2)$とおくと、</p>
<p>$$\overrightarrow{CB}=\left( t-0,\ t^2-\dfrac{3}{4} \right)= \left( t,\ t^2-\dfrac{3}{4} \right)$$</p>
<p> となり、接線の傾きは微分係数(微分して$t$を代入)だから</p>
<p>$$(1, 2t)$$</p>
<p>となる。これらの内積が0なわけだから、</p>
<p>$$t+2t \left( t^2 - \dfrac{3}{4} \right) =0$$</p>
<p> $$\Leftrightarrow t(2t+1)(2t-1)=0$$</p>
<p>となり</p>
<p>$$t=0, \ \dfrac{1}{2}, \ -\dfrac{1}{2}$$</p>
<p>と求まる。</p>
<p> </p>
<p>これで接点がわかったわけだけど、ボクらが欲しかったものは円の半径だ。でも、いま円の中心もわかっているわけで、半径なんて距離公式を使っても中学数学的な初等幾何を使っても</p>
<p>$$\frac{1}{\sqrt{2}}$$</p>
<p>と求めることができる。これで円の方程式は</p>
<p>$$x^2+\left( y - \dfrac{3}{4} \right)^2=\frac{1}{2}$$</p>
<p>と求まった。</p>
<p> </p>
<p>続いて$C_1$の面積を計算しよう。</p>
<p>この面積を求めるためには円の弧の部分の関数から二次関数を引いたものを積分計算して・・・なんてことはやってはいけない。積分計算は泥臭く計算するのは最終手段だ。すべての積分は計算可能なわけではないし、計算できたとしても煩雑な式の場合は計算ミスの可能性がとても高くなる。</p>
<p> </p>
<p>ボクらは小学生のころから面積計算をし続けている。いままでやってきたいろんな手法を捨てて、一番面倒な積分計算にすべてをゆだねるのは愚かな行為だ。できるだけ初等幾何とかそれに準じたところの計算でできるように組み合わせを考えて、積分計算が楽になることを考えることが重要だ。</p>
<p>どうやったら楽になるかな</p>
<p>という姿勢は数学に限らず、限られた人生を生きてるボクらにとっていろんなところでとってもとっても重要なのだ。</p>
<p> </p>
<p>まず、計算してもいいよレベルの積分計算になるところを考えてみる。</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210830/20210830185856.png" alt="f:id:mathbanker:20210830185856p:plain" width="263" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>この図において、二次関数と線分ABに囲われたところならば積分計算が楽になりそうだ。そこをベースに$C_1$を考えると、扇形から直角二等辺三角形を除いた部分が余計だとわかる。でも扇形も直角二等辺三角形も簡単な図形だから問題なさそうだ。<br /><br /></p>
<p>まず扇形から求めると、半径が$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$で中心角が直角だから</p>
<p>$$ \left( \dfrac{1}{\sqrt{2}} \right)^2 \pi \times \dfrac{1}{4}=\dfrac{\pi}{8} $$</p>
<p> </p>
<p> 直角二等辺三角形は</p>
<p>$$ \left( \dfrac{1}{\sqrt{2}} \right)^2 \times \dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{4}$$</p>
<p> </p>
<p>ゆえに余計な部分の面積は</p>
<p>$$\dfrac{\pi}{8} - \dfrac{1}{4}$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>では積分計算をしよう。線分ABと二次関数に囲われた面積は</p>
<p>$$\int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{1}{4}-x^2 \right) dx=2\int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{1}{4}-x^2 \right) dx$$</p>
<p>$$=2\left[ \frac{x}{4}-\frac{x^3}{3} \right]_{0}^{\frac{1}{2}}=\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{12}$$</p>
<p>$$=\dfrac{1}{6}$$</p>
<p> と求まる。ゆえに、$C_1$の面積は</p>
<p>$$ \dfrac{1}{6} - \left( \dfrac{\pi}{8} - \dfrac{1}{4} \right)=\dfrac{5}{12} - \dfrac{\pi}{8}$$</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p> 今回はここまで。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(2)-(d)
hatenablog://entry/26006613798038752
2021-08-16T20:20:28+09:00
2021-08-16T20:20:28+09:00 今回も、だらだらやってるこのシリーズ。 知ってないと解けない公式があるわけじゃないから、手持ちの武器を使ってどうやって攻略できるか考えていこう。 なんかそれってフォートナイトと似てるな、うん。 問題 解説 カードピックアップシリーズ最終編。 前回の問題に 差の最大値が13以上 という条件が追加されたかたちになっている。 ということは、前回の値120を超えない値が答えのはずだ。だからなんだよ、と思うかもしれないけど、答えがでた、と思ったときに120以上の値になってたら計算ミスしてるなと気づくことができる。 作戦的には前回の流れを汲んで、16枚のカードに7枚の「取り出す」カードと9枚の「取り出さな…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回も、だらだらやってるこのシリーズ。</p>
<p>知ってないと解けない公式があるわけじゃないから、手持ちの武器を使ってどうやって攻略できるか考えていこう。</p>
<p>なんかそれってフォートナイトと似てるな、うん。</p>
<h4>問題</h4>
<h4><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210816/20210816185716.png" alt="f:id:mathbanker:20210816185716p:plain" width="583" height="185" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /><br />解説</h4>
<p> カードピックアップシリーズ最終編。</p>
<p> </p>
<p>前回の問題に</p>
<p>差の最大値が13以上</p>
<p>という条件が追加されたかたちになっている。</p>
<p> </p>
<p> ということは、前回の値120を超えない値が答えのはずだ。だからなんだよ、と思うかもしれないけど、答えがでた、と思ったときに120以上の値になってたら計算ミスしてるなと気づくことができる。</p>
<p> </p>
<p>作戦的には前回の流れを汲んで、16枚のカードに7枚の「取り出す」カードと9枚の「取り出さない」カードをあてがっていくことはベースにしたい。</p>
<p> </p>
<p>で、差が13以上を考える。左から右へ1から16が並んでいるとすると、最大差だから一番左の「取り出す」カードと一番右にある「取り出す」カードそれぞれがあてがわれた数字の差が13以上ということだ。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>うまい計算方法が思いつかないなと思う場合には、考える立ち位置を変えてみる。どういうことかというと、「じゃない方を考えてみる」ということだ。場合の数の解法なんて結局のところ</p>
<p>もれなく、ダブりなく数える</p>
<p>ということを、効率化の程度はあれど実践しているに過ぎない。今回の問題はMAX120ってわかっているし、問われている側と問われていない側(=「じゃない方」)のうち簡単にわかる方を計算すれば、答えは出てくるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>今回の問題におけるじゃない方は</p>
<p>数字の差が最大でも12以下</p>
<p>ということになる。そもそもこの問題設定において、どこまでこの値は小さくなることができるのだろうか。</p>
<p> </p>
<p>もともとの条件で、どの数の差も2以上、となっていることに注意して、一番小さいパターンを書き出してみる。</p>
<p>1 3 5 7 9 11 13</p>
<p>このとき、1と13の差が12となるので、最大差は12を下回ることはありえない。つまり、今回の問題におけるじゃない方は</p>
<p>数字の差が最大でも12以下</p>
<p> から</p>
<p>数字の差が最大でも12</p>
<p>と書き換えることができる。</p>
<p>13以上 VS ジャスト12</p>
<p>なわけだから、じゃない方を考えるほうが簡単そうだ、と容易に想像がつく。</p>
<p> </p>
<p>では、差が 12となるパターンをもれなく、ダブりなく考えていこう。</p>
<p>1 3 5 7 9 11 13</p>
<p>のパターンから考えてみる。このどの箇所の間隔を広げてみても結局は両端の値が広がることになるわけで、最大が12を超えてしまう。つまり、最初から最後まで2ずつ増えた7つの数の組み合わせのみが12になるわけで、このような組み合わせがほかに何パターンあるかを考えればいい。</p>
<p> </p>
<p>例えば、スタートの値を2にしてみると、</p>
<p>2 4 6 8 10 12 14</p>
<p>となる。数の並びの最大は16なわけだから、スタートの値をずらした形は他に</p>
<p>3 5 7 9 11 13 15</p>
<p>4 6 8 10 12 14 16</p>
<p>しかないことは書き出してみるまでもなく、最大値に着目したらわかるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>ということで、「じゃない方」の数は、たった4通りしかないことがわかった。全部で120通りのうち、今回の条件が適合しない場合の数は4通りということだ。ゆえに求めるべき場合の数は、</p>
<p>120-4=116</p>
<p>だと容易に計算することができる。</p>
<p> </p>
<p>問われている方がすぐに解法がわからないとき、「じゃない方」を攻略してみる。二元論的な検討をしているときにはいつだって考えるべきスタンスと思う。</p>
<p>合言葉は、</p>
<p>いつでも頭にじゃない方</p>
<p>だ。これは数学に限った話じゃないよ。</p>
<p> </p>
<p>ということで今回はここまで。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(2)-(c)
hatenablog://entry/26006613795842813
2021-08-10T18:16:08+09:00
2021-08-10T18:16:08+09:00 今回は、だらだらやってるこのシリーズ。どうやったら解けるかなという問題解決の姿勢は、社会人でも通じるよ。 問題 解説 前回の続きは枚数が増えただけのこの問題。少し着眼点を変えて考えてみたい。 すべての人が菅政権を支持している といえば、どう思うだろう。そんなことないよ!と思う人もいるはずだ。反対意見をいうからには、その根拠を添えたい。なにが根拠だろう。 簡単なところでいえば、自分自身が反対している、という根拠だ。”すべての人”という牙城はこれで簡単に崩れ落ちる。 これはつまり、 すべての人が菅政権を支持している の否定が真だという主張に他ならない。では、一足飛びに反例を挙げるのではなく、まずこ…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回は、だらだらやってるこのシリーズ。どうやったら解けるかなという問題解決の姿勢は、社会人でも通じるよ。</p>
<h4>問題</h4>
<h4><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210810/20210810165636.png" alt="f:id:mathbanker:20210810165636p:plain" width="531" height="128" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /><br /><br />解説</h4>
<p> </p>
<p> 前回の続きは枚数が増えただけのこの問題。少し着眼点を変えて考えてみたい。</p>
<p> </p>
<p>すべての人が菅政権を支持している</p>
<p>といえば、どう思うだろう。そんなことないよ!と思う人もいるはずだ。反対意見をいうからには、その根拠を添えたい。なにが根拠だろう。<br /><br /></p>
<p>簡単なところでいえば、自分自身が反対している、という根拠だ。”すべての人”という牙城はこれで簡単に崩れ落ちる。</p>
<p> </p>
<p>これはつまり、</p>
<p>すべての人が菅政権を支持している</p>
<p> の否定が真だという主張に他ならない。では、一足飛びに反例を挙げるのではなく、まずこの元の主張の否定命題を考えてみよう。</p>
<p> </p>
<p>(すべての人が菅政権を支持している) でない</p>
<p>ということだけど、これは</p>
<p>すべての人が菅政権を支持していない</p>
<p>とはならない。元の命題とその否定命題は、合わせると常に正しい命題(恒真命題)にならないといけないが、「私だけが反対している」という状況はどちらの命題も真にならない(から合わせても真にならない)。</p>
<p>正しい否定命題は、</p>
<p>菅政権を支持しない人もいる</p>
<p>ということになる。</p>
<p> </p>
<p>これは、全称と存在といわれたりするけど、</p>
<p>全称 すべての~、どの・・・も~</p>
<p>存在 ~が存在</p>
<p>は互いに否定命題の関係になる。</p>
<p> </p>
<p>さて、問題文を読んでみる。条件の中で、「どの2枚についても~」と書いてある。これは全称命題だ。ということは、この存在命題が否定になる。</p>
<p>全称と存在、どちらか一方をみたときはもう片方を補完してみる。一方がわかれば、もう片方がわかるわけだから、簡単な命題、解答までのストーリーがみえる命題を起点に考えることができる。たいていの場合、一方が強敵ならば、もう片方は雑魚敵だ(強敵と超強敵のパターンもあるけど)。あえて強い敵に挑む必要はない。</p>
<p> </p>
<p>どの2枚についても差が2以上</p>
<p>の否定は、</p>
<p>差が1となる組み合わせが存在</p>
<p>となる(0はありえない)。</p>
<p> </p>
<p>このケースにおいて、前回解説したようにどちらにおいても解く方法はあるけど、直感的には差が1となるケースを考えるほうが簡単そうにみえるはずだ(2以上は、2以外も考える必要があるから面倒かもしれない)。</p>
<p> </p>
<p>いま、取り出した7枚において、昇順(小さい数から大きい数へ)に並べて考えてみる。ここで、ふと気づく。差が1って、たくさんパターンがあるんじゃね、ってことだ。7枚もあるから、選んだ7枚の組み合わせごとに隣り合う数のパターンは$2^6$あって、そこに当てはまる数を考えていくと結構涙目になる場合分けになってしまう。</p>
<p> </p>
<p>ここで、ちょっと立ち止まって考えてみる。</p>
<p>前の問題と今回の問題は、数が増えただけの関係だけど、誘導とかヒントになっていないだろうか。計算があまりに面倒だという場合、少しこの辺を疑ってみる。</p>
<p> </p>
<p>数が増えただけで、今回の問題が難しくなっているということは、「数が増えたこと」が難しさに寄与していたということだけど、数が増えても難しくない解法があるということだろうか。簡単に言えば、全称命題として考えるほうが簡単なのではないか、と疑って前回の問題を実験材料に考えてみるということだ(つまり前回の①)。</p>
<p> </p>
<p>16枚のカードに対し、7枚の「選ぶ」と書かれたカードと9枚の「選ばない」と書かれたカードを呼応させる。</p>
<p> </p>
<p>この16枚の「選ぶ」「選ばない」カードの並べ方において、「選ぶ」が連続しないようにすればいいわけだから、選ばないの隙間10か所から7か所を選択すればいい。</p>
<p> </p>
<p>ということで、</p>
<p>$$\_{10}C_{7}=\ _{10}C_{3}=120$$</p>
<p>と求まる。</p>
<p> </p>
<p>ちゃんと考えよう、というのは簡単だけど、どう考えればいいのか、ってのが肝だよね。</p>
mathbanker
数学という美術と贋作について
hatenablog://entry/26006613793030735
2021-08-02T20:12:20+09:00
2021-08-02T20:12:20+09:00 今更ながら、映画「鑑定士と顔のない依頼人」をみた。 「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品で、ずっと見たいと思っていて漸く見れた。 壮年の一流鑑定師が主人公。本物と贋作を見分ける確かな目の持ち主で、曰く “There is always something authentic concealed in every forgery.“ いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む らしい。贋作を作る中で、意識的にも無意識的にも自分らしさを含めてしまう。 この言葉がこの映画全体で示されていた。愛が芸術ならば、本物と贋作が存在し、その贋作に本物が潜む、と。…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210802/20210802193659.jpg" alt="f:id:mathbanker:20210802193659j:plain" width="1200" height="900" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今更ながら、映画「鑑定士と顔のない依頼人」をみた。</p>
<p><span style="color: #505050; font-family: 'Noto Sans JP', sans-serif; font-size: 15px; font-style: normal; font-variant-ligatures: normal; font-variant-caps: normal; font-weight: 400; letter-spacing: 1px; orphans: 2; text-align: justify; text-indent: 0px; text-transform: none; white-space: normal; widows: 2; word-spacing: 0px; -webkit-text-stroke-width: 0px; background-color: #ffffff; text-decoration-thickness: initial; text-decoration-style: initial; text-decoration-color: initial; display: inline !important; float: none;">「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品で、ずっと見たいと思っていて漸く見れた。</span></p>
<p> </p>
<p>壮年の一流鑑定師が主人公。本物と贋作を見分ける確かな目の持ち主で、曰く</p>
<blockquote>
<p>“There is always something authentic concealed in every forgery.“</p>
<p>いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む</p>
</blockquote>
<p>らしい。贋作を作る中で、意識的にも無意識的にも自分らしさを含めてしまう。</p>
<p> </p>
<p>この言葉がこの映画全体で示されていた。愛が芸術ならば、本物と贋作が存在し、その贋作に本物が潜む、と。</p>
<p> </p>
<p>あらすじは別サイトを参照してもらいたいが、あまりにいい映画でみんなどんな感想を持っているだろうと調べたら、たくさんの人が誤解?しているように思えた。この映画をバッドエンディングだと捉えている。</p>
<p> </p>
<p>オチをいうとネタバレで申し訳ないが、これは主人公の単なる失恋、だまされた恋の話ではないはずだ。それだと、愛という芸術の中に、贋作が存在する、というところまでだ。彼のメッセージは、その贋作の中にも本物が潜む、ということだ。つまり、そんな恋であっても、その中に本物の部分はあって、そこに浸る最後が描かれている</p>
<p>(と解釈した)。</p>
<p> </p>
<p>そんな最高な映画をみて、ふと思ったことがある。</p>
<p>数学もよく芸術と例えられる。そうすると、数学にも本物と贋作があるということか。そしてその中に本物が潜んでいる。</p>
<p> </p>
<p>数学における贋作とはなんだろう。それは自らの手による発見的証明ではなく、すべて誰かの模倣で書き連ねた証明のこと?すると、本物とは?芸術における本物がオリジナリティを意味するならば、数学におけるそれはなんだろう。んー。</p>
<p> </p>
<p>映画で心打たれた表現なだけに、そして、映画いうように愛が美術ならば当てはまるものならば、数学とて、と思っただけに解釈が難しい。。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<div class="freezed">
<div class="hatena-asin-detail"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00OSZ9YBO/mathbanker-22/" class="hatena-asin-detail-image-link" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51wciWYhnLL._SL500_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)" title="鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)" /></a>
<div class="hatena-asin-detail-info">
<p class="hatena-asin-detail-title"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00OSZ9YBO/mathbanker-22/" target="_blank" rel="noopener">鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)</a></p>
<ul class="hatena-asin-detail-meta">
<li>ジェフリー・ラッシュ</li>
</ul>
<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00OSZ9YBO/mathbanker-22/" class="asin-detail-buy" target="_blank" rel="noopener">Amazon</a></div>
</div>
</div>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
塾から繋がる社会と、希望的観測
hatenablog://entry/26006613791055353
2021-07-27T12:02:15+09:00
2021-07-27T12:02:15+09:00 大学受験のころ、少しの間集団塾と個別塾でアルバイトをしたことがあった。ボク自身は予備校には通ったけど、塾には行っていなかった。だから、典型的な塾は、生徒としてはなく先生側の立ち位置からだけ経験している。 ボクが勤めていた塾は、基本的には学習サポートをするような立場のところで、受験生もそれなりにいたけど、やっていることは学校の授業をもう一度ていねいに、というものだった。 最終的に理解につながっているのだから意味はあるんだろうけど、お金がもったいないなと思っていたし、正直今でも思っている。学校や自主勉強で可能なことに対し、それなりの金額がかかっている。とはいえ、勉強できない子供がいて、家に帰ってき…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210727/20210727110621.jpg" alt="f:id:mathbanker:20210727110621j:plain" width="1200" height="858" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>大学受験のころ、少しの間集団塾と個別塾でアルバイトをしたことがあった。ボク自身は予備校には通ったけど、塾には行っていなかった。だから、典型的な塾は、生徒としてはなく先生側の立ち位置からだけ経験している。</p>
<p> </p>
<p>ボクが勤めていた塾は、基本的には学習サポートをするような立場のところで、受験生もそれなりにいたけど、やっていることは学校の授業をもう一度ていねいに、というものだった。</p>
<p> </p>
<p>最終的に理解につながっているのだから意味はあるんだろうけど、お金がもったいないなと思っていたし、正直今でも思っている。学校や自主勉強で可能なことに対し、それなりの金額がかかっている。とはいえ、勉強できない子供がいて、家に帰ってきてもそれを取り返すように勉強する意思もなく、でも親がそこに時間を割くわけにもいかないので、塾に依頼するという構図なんだろうから、仕方がない側面があることは多分に理解はしているつもりだ。それでもなお、もったいない。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>ここでボクがいいたいことは</p>
<p>お金がもったいない=塾に行くな、塾を廃止せよ</p>
<p>という主張ではない。</p>
<p>学校の成績に貢献+α</p>
<p>のαとしてプロジェクトマネジメントを教えるのはどうか、という提案だ。</p>
<p> </p>
<p>多くの社会人がプロジェクトワークを本腰入れて学び始めるのは社会人になってからだと思われる。しかし、”プロジェクト”と冠することができるようなものには、有効に作用するわけだから、社会人になる前から使い始めてもいいわけだし、そんな人が社会人になったときは知らない人より即戦力になるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>学生には、定期的テストや受験がある。塾でただ、学校で教わったことを丁寧に説明してもアウトプットが不足すれば忘れていくし、漫然と問題集を渡してひたすら演習と答え合わせをしても限界がある。</p>
<p> </p>
<p>何を目指して、そのためにやるべきことは何か、課題はなにかということを設定し、定期的にメンテナンスする枠組みを構築する。そこにはもちろんWBSの作成もあるし、課題管理やリスク管理もある(プロジェクト管理の細かいは話は別途本などを読んでほしい)。これは、学校や塾でたまにみかける学習計画とは異なる。塾講師を巻き込んだ、一人一人のプロジェクト管理だ。PMは塾側が担当し、サブとして生徒自身も加わって計画や進捗、手法を理解する。</p>
<p> </p>
<p>勉強の成績に関することだから、このタスクが完了したら、これだけ成績があがるという明白なものはない。実績と傾向から予測し、計画を立て、修正していく。そんな過程の中で、データ分析のアプローチがとれるならおもしろい。いまやいろんなスポーツでデータは駆使されているわけで、勉強というカテゴリでも利用余地があってしかるべきだ。</p>
<p> </p>
<p>こうすることで、プロジェクト管理の効果による目的達成のほかに、プロジェクト管理自体も覚えていくことができる。まさに一石二鳥だ。</p>
<p> </p>
<p>なかには、取り入れているような塾もあるんだろうけど、ボクが勤めていたような塾なんかもこういう生徒の枠を作ってみるのもいいのではないだろうか。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<div class="freezed">
<div class="hatena-asin-detail"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07JM11S69/mathbanker-22/" class="hatena-asin-detail-image-link" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/513l1rCMcTL._SL500_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="プロジェクト実行ガイド大全" title="プロジェクト実行ガイド大全" /></a>
<div class="hatena-asin-detail-info">
<p class="hatena-asin-detail-title"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07JM11S69/mathbanker-22/" target="_blank" rel="noopener">プロジェクト実行ガイド大全</a></p>
<ul class="hatena-asin-detail-meta">
<li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span><a href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BE%EC%20%B5%FE%BB%D2" class="keyword">大場 京子</a></li>
<li>日経BP</li>
</ul>
<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07JM11S69/mathbanker-22/" class="asin-detail-buy" target="_blank" rel="noopener">Amazon</a></div>
</div>
</div>
<div class="freezed">
<div class="hatena-asin-detail"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00U577URO/mathbanker-22/" class="hatena-asin-detail-image-link" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51eIZMt8cCL._SL500_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="図解 これ以上やさしく書けない プロジェクトマネジメントのトリセツ (Panda Publishing)" title="図解 これ以上やさしく書けない プロジェクトマネジメントのトリセツ (Panda Publishing)" /></a>
<div class="hatena-asin-detail-info">
<p class="hatena-asin-detail-title"><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00U577URO/mathbanker-22/" target="_blank" rel="noopener">図解 これ以上やさしく書けない プロジェクトマネジメントのトリセツ (Panda Publishing)</a></p>
<ul class="hatena-asin-detail-meta">
<li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span><a href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%BE%C2%BC%B9%EE%B8%CA" class="keyword">西村克己</a></li>
<li>パンダ・パブリッシング</li>
</ul>
<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00U577URO/mathbanker-22/" class="asin-detail-buy" target="_blank" rel="noopener">Amazon</a></div>
</div>
</div>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
【愚問】6÷2(2+1)
hatenablog://entry/26006613788485851
2021-07-19T20:09:25+09:00
2021-07-19T20:09:25+09:00 今回は、ちょっと前に巷で流行ったせいで、ときどき聞かれることがある 6÷2(2+1) の解釈について。 流派的には2つあって、 ① 1 ② 9 要は(2+1)部分を分子として計算するか、分母として計算するかというもの。 それぞれの流派に言い分はあって、 ①は(2+1)を文字的に捉えれば分母でしょ ってことだし、 ②は(2+1)の前の省略された演算子は✕だから分子でしょ となる。 ボクも初見でそういったテーマを与えられずにこの問題を解いてと言われたら、省略された✕はこの問題において省略されるべきではないという違和感の意思表明として✕を書き添えたあと、9と求めるだろう。 これって問題作った側がただ…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210719/20210719193420.jpg" alt="f:id:mathbanker:20210719193420j:plain" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回は、ちょっと前に巷で流行ったせいで、ときどき聞かれることがある</p>
<p>6÷2(2+1)</p>
<p>の解釈について。</p>
<p> </p>
<p>流派的には2つあって、</p>
<p>① 1</p>
<p>② 9</p>
<p>要は(2+1)部分を分子として計算するか、分母として計算するかというもの。</p>
<p> </p>
<p>それぞれの流派に言い分はあって、</p>
<p>①は(2+1)を文字的に捉えれば分母でしょ</p>
<p>ってことだし、</p>
<p>②は(2+1)の前の省略された演算子は✕だから分子でしょ</p>
<p>となる。</p>
<p> </p>
<p>ボクも初見でそういったテーマを与えられずにこの問題を解いてと言われたら、省略された✕はこの問題において省略されるべきではないという違和感の意思表明として✕を書き添えたあと、9と求めるだろう。</p>
<p> </p>
<p>これって問題作った側がただひたすらに悪い。これって、算数的難問とかでなくて、ただの解釈・定義の問題だから、そこの姿勢を問うと言うのは数学ではないはずだ。もっと数学的なとこを問うのであれば、そこに対する解釈はできる限り親切であるべきだ。</p>
<p> </p>
<p>省略って、「書かなくてもわかる」が前提にある。どの程度から、書かなくてもいい範疇になるとかというと、使われる世界によって異なるようだ。</p>
<p> </p>
<p>ボクらの扱う日本語においては、共通理解(コンセンサス)が前提となるけど、これは一番曖昧で、簡単に言うと話者の予想だ。これで伝わるよね、って相手の理解を予想して省略を用いている。</p>
<p> </p>
<p>これが英語では、繰り返しの表現とか発音しない箇所とかルールがある。なんとなく省略する、ということはないようだ(ネイティブじゃないから伝聞推定)。</p>
<p> </p>
<p>で、今回の算数表現。ボクらは演算を省略するルールをどう理解しているだろうか。掛け算は省略可能とはわかっているけど、どんなときでも省略できるわけじゃない。</p>
<p>たとえば</p>
<p>2 ✕ 3</p>
<p>を</p>
<p>23</p>
<p>と書いてしまっては意味が変わってしまう。なぜ省略してはいけないかと正面から聞かれることはないと思うけど、そのココロは解釈がブレることを避けることにあるはずだ。</p>
<p> </p>
<p>そういう姿勢で、</p>
<p>6÷2(2+1)</p>
<p>を再考すると、解釈がブレる=出題者が省略するべきでなかった、ということに尽きる。</p>
<p> </p>
<p>というわけで、話題にはなったけど、出題者がルーズなだけだよね。「Tuesday Birthday Problem」とかみたいに中身(数学的事実)が面白い問題が話題になってほしい。</p>
mathbanker
理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(2)-(b)
hatenablog://entry/26006613785976329
2021-07-12T19:03:48+09:00
2021-07-12T19:03:48+09:00 今回は、間が空いてしまっていたこのシリーズ。今回は、理科大というか、共通試験とかにでてきそうな問題。 問題 解説 モノを数えるときとか、確率を計算するときとか顕著だけど、そんな分野を制限せずに、何だったら数学さえも飛び越えて、常に考えたいのが どうやったら楽をすることができるか ということ。 努力をすることが金科玉条みたな考え方は、日本文化のいいところでもあり、とても悪いところでもある。いい面はさておき、どこが悪いとこかというと、 盲目的になにかに時間を費やす行為 を努力と呼んでしまうことが多々あることだ。限られた時間を有効に使うためには、楽をする方法について考えてみることは有益だ。 いま、こ…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20180925/20180925144149.jpg" alt="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" title="f:id:mathbanker:20180925144149j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回は、間が空いてしまっていたこのシリーズ。今回は、理科大というか、共通試験とかにでてきそうな問題。</p>
<h4>問題</h4>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210712/20210712163610.png" alt="f:id:mathbanker:20210712163610p:plain" width="539" height="134" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<h4><br />解説</h4>
<p>モノを数えるときとか、確率を計算するときとか顕著だけど、そんな分野を制限せずに、何だったら数学さえも飛び越えて、常に考えたいのが</p>
<p><strong>どうやったら楽をすることができるか</strong></p>
<p>ということ。</p>
<p> </p>
<p>努力をすることが金科玉条みたな考え方は、日本文化のいいところでもあり、とても悪いところでもある。いい面はさておき、どこが悪いとこかというと、</p>
<p><strong>盲目的になにかに時間を費やす行為</strong></p>
<p>を努力と呼んでしまうことが多々あることだ。限られた時間を有効に使うためには、楽をする方法について考えてみることは有益だ。</p>
<p> </p>
<p>いま、この問題では7枚のカードから3枚を取り出すことを考える。他に条件がなければ、</p>
<p>$$\ _{7}C_{3}=35$$</p>
<p>となることは容易にわかる。</p>
<p> </p>
<p>ここから</p>
<p>「どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上」</p>
<p>を考える。</p>
<p> </p>
<p>当然、条件があるだけ35通りより小さくなるわけで、この35通りのうち条件を満たすものと満たさないものに分かれる。勿論求めるものは条件を満たすものなわけだけど、条件を満たさない方(俗に言う、補集合)がわかっても35から引けばいいわけだから、結果どっちがわかってもいいということになる。</p>
<p> </p>
<p>全体が二分されるとき、求めるほうが一方だとしても、求めやすい方からアプローチすれば答えが求まるなんてシンプルな作戦はシンプルゆえに色んなところで役に立つ。</p>
<p> </p>
<p>この問題で、</p>
<p>「どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上」</p>
<p> のカウンターパートは、</p>
<p>「3枚のうち、カードに書かれた数の差が1のものが存在」</p>
<p>となる。この辺がぱっと言えない人は命題と論証あたりが弱点なのかと。重要だからしっかり抑えておこう。</p>
<p> </p>
<p>あとは、どっちが答えを求めるのに楽なのかを考えてみる。両方の選択肢で解法がわかるならベストだけど、選択肢が増えた分、解ける可能性が高まる。答えまでのストーリーが見えるほうを採択しよう。</p>
<p> </p>
<p>今回は、両方のアプローチで解いてみたい。</p>
<p> </p>
<p>① 「どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上」</p>
<p>補集合を考えるというのもある意味そうなんだけど、二元論的アプローチってパラダイム・シフトをするための重要なキーではないだろうか。</p>
<p>どうやって解くの?問題解決法が全くわからない</p>
<p>と思ったときは、<strong>相対的に考えてひっくり返せるところはないか</strong>、と考察してみる。7枚のカードから3枚選ぶわけだけど、これって3枚ピックアップするところでカードが動いていて、選ぶ3枚と選ばない4枚にわけている。</p>
<p> </p>
<p>仮にカードが7枚地面に張り付いているところを考える。カードが動かなくて、行為が動くことを考えてみるということだ。</p>
<p>どういうことかというと、並んだ7枚とは別に、7枚のカードを用意する。3枚には選ぶ、4枚には選ばないと書いてある。これを数字の書いてある7枚のカードに一枚ずつ添えていくことを考えてみる。</p>
<p>$$(1,2,3,4,5,6,7)$$</p>
<p>に対し</p>
<p>$$( 選ぶ, 選ばない, 選ばない, 選ばない, 選ぶ, 選ぶ, 選ばない)$$</p>
<p>とこの順で対応させたとする。これは、1と5と6を選んだと解釈できる。この状況下で条件を考えてみよう。</p>
<p>どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上</p>
<p>というのは、 </p>
<p>$$( 選ぶ, 選ばない, 選ばない, 選ばない, 選ぶ, 選ぶ, 選ばない)$$</p>
<p>の並べ方において、「選ぶ」と「選ぶ」の間に「選ばない」が存在しているということに他ならない。つまり</p>
<p>○「選ばない」○「選ばない」○「選ばない」○「選ばない」○</p>
<p>この○印のところに「選ぶ」が来る必要がある。これは、</p>
<p>$$\ _{5}C_{3}=10$$</p>
<p>から10通りとわかる。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>②「3枚のうち、カードに書かれた数の差が1のものが存在」</p>
<p>書かれた数の差が1って、つまりは隣り合わせの数ということ。1から7までの数で隣り合わせの数のパターンは6通り。2つ隣り合わせの他に、あと1枚あるけどこれは残ってる数字どれでもいいから、6通りそれぞれに5パターンある。ゆえに、</p>
<p>$$6 \times 5 =30$$</p>
<p>この中に3連続となる場合も含まれていて、例えば$123$だったとすると、$12$がペアで自由な数字が$3$という解釈と、$23$がペアで自由な数字が$1$という解釈があって、ダブっている。効率的に数えているときも、泥臭く数えているときも、”数える”ときにまもるべき鉄則、漏れなくダブりなく、は忘れてはいけない(ビジネス的に言えば、MECE)。</p>
<p>このダブリがいくつあるかというと、123から数えて567までの5個存在する。ゆえに、この条件は</p>
<p>$$30-5=25$$</p>
<p>通り存在することがわかった。これは補集合だから、求めるべき答えは、</p>
<p>$$35-25=10$$</p>
<p>となる。当然だけど、①の解と一致した。</p>
<p> </p>
<p>数学に限らず、二元論的アプローチ、相対的に考えてカウンターパートから捉えてみることって、難しい局面を打破するために一つとても有益なツールになる。結構、問題解決って観点で、数学と数学以外のこと繋がること結構多いんだよね。</p>
<p> </p>
<p>今回はここまで。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker
感覚を裏切る確率の話。
hatenablog://entry/26006613781263446
2021-07-06T00:04:04+09:00
2021-07-06T00:04:04+09:00 今回は、「Boy or Girl paradox」について。 内容は、こんな問題だ。 子供がふたりいる。一人は火曜日に生まれた男の子だ。 二人とも男の子である確率は? 直感的に考えると、男か女か $$ \dfrac{1}{2} $$ というのは違うと気が付いても、曜日なんて関係ないじゃん的にコイントスと同じ考え方で、 (男,男) (男,女) (女,男) (女,女) として、このうち一人が男だとわかっているので、二人とも男である確率は $$ \dfrac{1}{3} $$ と答えたくなってしまう。 ボクらが確率を考えるときに最も気を付けるべきは、 すべてのものは区別する という態度だ。値を正しく…
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mathbanker/20210629/20210629155802.jpg" alt="f:id:mathbanker:20210629155802j:plain" width="1200" height="800" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>今回は、「Boy or Girl paradox」について。</p>
<p> </p>
<p>内容は、こんな問題だ。</p>
<blockquote>
<p>子供がふたりいる。一人は火曜日に生まれた男の子だ。 二人とも男の子である確率は?</p>
</blockquote>
<p> </p>
<p>直感的に考えると、男か女か</p>
<p>$$ \dfrac{1}{2} $$</p>
<p>というのは違うと気が付いても、曜日なんて関係ないじゃん的にコイントスと同じ考え方で、</p>
<p>(男,男)</p>
<p>(男,女)</p>
<p>(女,男)</p>
<p>(女,女)</p>
<p>として、このうち一人が男だとわかっているので、二人とも男である確率は</p>
<p>$$ \dfrac{1}{3} $$</p>
<p>と答えたくなってしまう。</p>
<p> </p>
<p>ボクらが確率を考えるときに最も気を付けるべきは、</p>
<p>すべてのものは区別する</p>
<p>という態度だ。値を正しく求める、という上では重要な姿勢になる。</p>
<p> </p>
<p>曜日という概念が出てきている以上、曜日別に区別するほかない。</p>
<p>つまり、二人の人間を性別だけで区別するのではなく、生まれた曜日も用いて区別して計算してみる。</p>
<p>具体的には、以下のように書き出してみる。</p>
<p>(男,月曜,男,月曜)</p>
<p>(男,月曜,男,火曜)</p>
<p>・・・</p>
<p>これって、</p>
<p>(男 OR 女,曜日,男 OR 女,曜日)</p>
<p>の組み合わせだけ存在することになるので、</p>
<p>$$ 2 \times 7 \times 2 \times 7 = 196 $$</p>
<p>通りある。</p>
<p> </p>
<p>ここから、一人が火曜日生まれの男だとわかっているので、</p>
<p>( 男,火曜日,男 OR 女,曜日)</p>
<p>(男 OR 女 ,曜日,男,火曜日)</p>
<p> のパターンだけを考える。それぞれ14通りずつあるけど、</p>
<p>( 男,火曜日,男,火曜日)</p>
<p>は両方でカウントされてしまうから、全部で27通りになる。</p>
<p> </p>
<p>このうち、</p>
<p>( 男,火曜日,男,曜日)</p>
<p>( 男,曜日,男,火曜日)</p>
<p>のパターン数が二人とも男となる場合となって分子にくるから、</p>
<p>それぞれ7通りずつあって、先ほどと同様</p>
<p>( 男,火曜日,男,火曜日)</p>
<p> は両方でカウントされてしまうから、全部で13通りとなる。</p>
<p> </p>
<p>よって答えは、</p>
<p>$$\frac{13}{27}$$</p>
<p> </p>
<p>これって、曜日の情報が入ることによって、</p>
<p>$$ \dfrac{1}{3} \Rightarrow \frac{13}{27}$$</p>
<p>となる(確率が高くなる)ことを意味している。</p>
<p> </p>
<p>問題を見たときは、曜日なんか関係なくね、と思ったけれど、</p>
<p>確率という真実の値は、間違いなく曜日の情報で上昇している。</p>
<p> </p>
<p>少し一般化して考えてみると、情報が増えると確率は増すのは明らかで、それが感覚的に自明なものでなくても構わない、ということだ。第三者にわかりにくい形でメッセージが伝えられるということは、まるで暗号のようではないか。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
mathbanker