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理科大入試で学ぶ数学講座 2019理3-2

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もうすぐドコモからGalaxy S21がでるのが待ち遠しい。GalaxyはそんなにSimpleじゃないね。

問題

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解説

(2)

前回微分した式が$x \geqq 2$で負となることを示す問題。

 

今でもそうなのかわからないけど、少なくともスティーブ・ジョブズが生きていた頃は「シンプルさ」とはApple社における重要なキーワードだった。そのことは、ベストセラーにもなった本「Think Simple」に詳しい。

ジョブズは、製品についても企業組織そのものについても、余分なものを減らすことばかり考えていました。このようなカルチャーが、新しい製品を区別するための『i』や、ラップトップ製品に用いる『Mac』を生んだのです。

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

 

日本の偉人、稲盛 和夫(京セラ・KDDI創業者)も

バカな奴は単純なことを複雑に考える。
普通の奴は複雑なことを複雑に考える。
賢い奴は複雑なことを単純に考える。

 と「シンプル」について言及している。

 

物事をシンプルに考えることは、問題解決を図る方法としてはとても有効で、それは数学においても有効な戦略だ。

 

ということで今回の問題。$x \geqq 2$において

x4+x2+2

$$f'(x)=\dfrac{-x^4+x^2+2x}{(1+x+x^3)^2}<0$$

 を考えるわけだけど、この一見ごちゃごちゃした不等式をシンプルに考えてみる。シンプルに考えるためには、余分なものを減らす必要がある。何が余分か判断するためには、何が必要かを理解しなきゃいけない。

 

 

この問題においては”必要”とは、符号を負たらしめるものだ。符号の決定要素に関係ないものを除外できるなら、それがシンプルにするという作業になる。

 

そんな目線でこの不等式をみると、分母の2乗の式は常に正だから符号の決定要素になりえない余分なものだと解釈できる。つまり、証明すべき不等式は、

$$-x^4+x^2+2x<0$$

と置き換わる。更に両辺を$x$で割っても$x \geqq 2$により符号は変わらないし、最高次の係数が正のほうが考えやすいから、その辺の操作を行うとこの不等式は、

$$x^3-x-2>0$$

を証明すればよいということがわかる。随分とシンプルになった。つまりこの三次関数が$x \geqq 2$において、常に正であることを証明すれば、問題が解けたことになる。

 

ここまでくるとただの三次関数だから、増減表書いてグラフを描いて、$x \geqq 2$においてどうなっているかを観察すれば証明は完了する。

 

今回は、ここの部分もシンプルに考えてみよう。わざわざ三次関数全体を考えて、局所的な$x \geqq 2$における状況を確認せずとも、$x \geqq 2$で正になっているためにはどうなっているべきか、必要なことのみにフォーカスしてみる。

 

混乱を避けるために、

$$g(x)=f'(x)$$

とおくことにする。この$g(x)$は$x \geqq 2$においてどうなっているだろう。

 

$$g'(x)=3x^2 -1$$

となることから、$x \geqq 2$においては$g'(x)>0$となることから$g(x)$はこの範囲で単調増加となる。

かつ、

$$g(2)=8-2-2=4>0$$

となることから、$x=2$において$g(x)>0$となっている。

 

$x \geqq 2$で単調増加ということは、この範囲における最小値は$x=2$のとき。そしてこの最小値が$g(2)>0$となることから、

$$x^3-x-2>0$$

は成立する。逆にたどって、

$$f'(x)=\dfrac{-x^4+x^2+2x}{(1+x+x^3)^2}<0$$

が成立する、ということで証明は完了。

 

物事をシンプルに考えるとは、物事を構成する必要なものだけになるように不要なものを排除するということだ。ときに、「シンプルに考えること」は「本質を見抜こうとすること」と言い換えられるが、まさにそんな作業だ。

 

数学外ででてくる問題解決の姿勢は、こうやって数学にも活用できるし、逆もまた然りなのだ。

 

ということで、今回はここまで。