今回から2019年版センター解説開始。
今年の傾向とか云々は巷の専門家のサイトをみてほしい(あまりそういう観点の分析はしていない)。ここでは出題されたものについて、時に冗長と言われながらも、考えていることを吐露しながら淡々と解いていきたい。
ということで早速。
問題
解説
(1)最初の問題は因数分解。素直に考えてもいいけど、センター試験のような時間が限られている問題では秒で解けるものは秒で解いて先に進みたいところだ。
等号がある式をみたときに、ボクらは無意識に左から右に読む。今回のような右辺に求めるものがあるときは特にそれが顕著だ。
でも冷静に考えれば等号で結ばれた式は、当然左辺と右辺が同じであることを意味しているわけで、右辺から左辺の方向に読むこともできる。この問題が「因数分解」と判断するのは、左辺から右辺に式を読むからであって、右辺から見れば「展開」を示すものになる。つまり、展開して左辺になるようなア、イが問われているという解釈だ。
どちらがいいかはもちろん、より早く求まる方に決まっている。そして今回の場合、ア$a$を2乗したものが$9a^{2}$、イを2乗したものが$1$になるわけだから、展開の方向で考えると$-6$に触れることなく答がそれぞれ、$3$と$1$と求まる(ア、イ)。
次に
$A=\sqrt{(3a-1)^{2}} +|a+2|$
を計算する問題。根号や絶対値記号を外すことを考える問題だ(求める形に根号も絶対値記号も存在していない)。
この辺の、符号を考えながら記号を外す行為に苦手意識がある人へ。
よく沢山問題演習をして、苦手意識を克服しようなんて聞くが、ボクはあまり効果的な手法だとは思わない。
パクチーが苦手な人がパクチーを沢山食べても、好物になる気はしない。口に合わないものはどうしても好物にはなりえないと思うが、一つ可能性を見出すとすればボクが食べていたパクチーはまずいパクチーで、本当は美味しいパクチーが存在するとか、美味しい食べ方が存在するなどそういう場合だ。
このことは食べ物以外にもあてはまる。つまり、記号を外す問題が苦手なあなたが理解している記号の外し方は間違っている、もしくはそもそもやり方を知らないのならば、克服できる可能性がある。どちらのケースにせよ、定義を正しく理解し、記号が外れるメカニズムがわかれば、外せるようになるわけで、仕組みを理解して、テストケースで確認できれば、物量作戦を講じる必要はなくなる。
ということで。根号と絶対値のおさらいから解説するのが素敵な先生なのだろうが、ボクは一介のサラリーマンなので、簡便にサラリと進みたい。
$x\geqq 0$として
根号:$\sqrt{x^{2}}=x$
絶対値:$|x|=x, |-x|=x$
である。
意味とか、定性的なところは他に譲る。
定量的なものに解釈を与えることは、理解の促進に繋がる部分も多分にあるが、バイアスになり得るし、そもそも定量的な定義だけで問題は解ける。という言い訳をさせていただいて、他の問題で機会があったら、改めてこの辺は説明したい。
$A=\sqrt{(3a-1)^{2}} +|a+2|$
において、根号と絶対値を外すためには、上述したところの$x(\geqq 0)$が何かを確認する必要がある。
安直に$x$の正体がそのまま、$3a-1$や$a+2$とするわけにはいかない。だって、$3a-1$や$a+2$はどこにも正の数と定義されていないからだ。定義されていないということは、逆に言うと、正にも負にもなり得るということなわけで、正になるときにはそのまま外せばいいし、負になるときはマイナス記号を補って外せばいい。
順番に考えていこう。
まずは、
$\sqrt{(3a-1)^{2}}$
部分。$3a-1$が正なら、そのまま外れる。ということは、
$3a-1 \geqq 0 \Leftrightarrow a \geqq \frac{1}{3}$
のとき
$\sqrt{(3a-1)^{2}}=3a-1$
となる。$3a-1$が負なら
$a \leqq \frac{1}{3}$
のとき、マイナス符号を補って外せるので
$\sqrt{(3a-1)^{2}}=-(3a-1)$
となる。
次に
$|a+2|$
部分。これも根号外しと同様に、
$a+2 \geqq 0 \Leftrightarrow a \geqq -2$
のとき
$|a+2|=a+2$
だし、$a \gleqq -2$のとき
$|a+2|=-(a+2)$
となる。
これで各範囲でどう外せるかがわかったので、問題文に沿って見ていこう。
$a> \frac{1}{3}$のとき、$3a-1$は正、$a+2$も正なので
$A=3a-1 + a+2=4a+1$
となる(ウ、エ)。
$-2\leqq a \leqq \frac{1}{3}$のとき、$3a-1$は負、$a+2$は正なので
$A=-(3a-1) + a+2=-2a+3$
となる(オカ、キ)。
$a<-2$のときは、解く必要がなく
$A=-4a-1$
となる。
で、最後の問題。
$A=2a+13$となるような$a$を求める。$A$は根号と絶対値を用いた表現と、範囲をわけて整式で表した表現があるが、前者を用いるような猟奇的な選択はしない。
$a> \frac{1}{3}$のとき
$4a+1=2a+13$
$a=6$
$6$は確かに不等式$a> \frac{1}{3}$を満たしているのでOK。これがクになる。
次に$-2\leqq a \leqq \frac{1}{3}$のとき
$-2a+3=2a+13$
$a=\frac{-5}{2}$
これは$-2\leqq a \leqq \frac{1}{3}$を満たさないのでダメ。
最後に$a<-2$のとき
$-4a-1=2a+13$
$a=\frac{-7}{3}$
これは$a<-2$を満たすのでOK。これがケコ、サになる。
これで第1問終了。今年も淡々と行くぜ。
今回はここまで。
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