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【問題解説】センター試験平成30年度本試験ⅡB 第5問-2

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今年も一ヶ月を切って、飲み会が増えてきた分更新が滞ってきたけど、頑張ってこう。

ということで、前回の続き。 

問題

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解説 

高校の範囲で習う確率はラプラスの古典的定義で以下の通りだ。

事象$A$の要素の個数を$n(A)$、起こりうる全ての場合の数を$N$とすると、Aが起きる確率$P(A)$は

$P(A)=\dfrac{n(A)}{N}$

と定義される

 ポイントは、全体である分母の中から、対象となる分子の場合の数を数え上げることで確率が求まるということ。つまり、イチブトゼンブの関係になっているということだ。後はそれをいかに効率よく数えるかでしかない。

 

(2)全体が何で、考えるべき事象が何かを抑えておこう。

 

全体:$a$枚のカードから$3$枚のカードを同時に取り出して、横一列に並べた場合の数

考えるべき事象:左から小さい順に並んでいる場合の数(事象Aの場合の数)

 

この全体は、順列${}_{n}P_{k}$の定義そのものだから

 ${}_{a}P_{3}$

 

考えるべき事象は、この中から左から並べたときに小さい順になっているものだ。 ${}_{a}P_{3}$をゼンブと考えたときに、その一部として小さい順になっているものが何通りあるかを考えればいい。

 

全体の中から適するものを選ぶときに、分母の一つ一つを眺めながら分子で数え上げるための条件を満たしているのか判定していく作業をしていくのは日が暮れるので、効率化した数え方を考えてみる。

 

一般に、手段としては大きく2つある。分母と分子を絶対的な関係で別々に考えるか、相対的に絡めて考えるかだ。前者は結果的にイチブトゼンブにちゃんとなっているか見失わないようにしないといけない。

具体的に言うと、分子の条件に沿って場合の数を一から改めて考える方法と、分母の場合の数をヒントにグループ化して代表を数える方法となる。

 

前者は単純で、左から小さい順に並んでいる場合の数を、場合の数の問題として捉えて数えてみる。一番左に入る数は$2(a-1)$以上だと並べようがなくなるのでそれを省いて・・と考えていくことになる。

 

ここでは後者のアプローチで考えてみたい。分母は、$P(A)=\dfrac{n(A)}{N}$で与えられる。ここから分子に昇格できるようなやつを考えるわけだが、効率化の為に関係性のルールをみつける必要がある。分子は大小関係のルールだから、分母でもそれを考えてみる。

 

一番左から小さい順に並ぶときが分子だけど、分母は一番小さいものが真ん中に来ることもあれば、右にくることもある。ということは、例えば{3,1,2}が分母の1パターンとして存在するが、これは分子では数える対象ではなく、{1,2,3}のときだけが対象となる。つまり、{1,2,3}の順列が分母には含まれるが、分子に上がれるのはそのうちひとつだけとなる。

ということは、分子は、3つの数字の組み合わせが全てということになる。これは定量的に表すと、

 ${}_{a}C_{3}$

ということだ。

 

よって求める確率は、

$\dfrac{ {}_{a}C_{3}}{ {}_{a}P_{3}}=\cdots =\dfrac{1}{6}$

と求まる()。

 

で次は、これを180回やったときに事象Aが起きる回数Yの平均と分散を求める問題。1回だったら今求めた値$\frac{1}{6}$なわけで、これを180回繰り返している。

 

正直に計算して平均と分散を求めるのも大した話ではないけど、この分野では確率分布が登場するが、早々にそれがわかったほうが便利なことが多い。確率分布は苦手という声をたまに聞くが、これはツールキットなわけで当てはまる分布がわかるとその分布に備わるツールが利用可能となって簡単に値が求まるようになる。

 

で、その確率分布は何種類かあって、それぞれに特徴があるわけだけど、どんなときにどれが当てはまるのかはそれぞれ抑えておきたい。

今回の例でいうと二項分布があてはまるわけだが、二項分布が使えると判断できるリトマス紙的なものはコイン投げだ。話をコイン投げにすり替えることができれば、二項分布が使えることになる。

 

今回はカードの施行だけど、事象Aが$\frac{1}{6}$で起きて、それを繰り返している。コイン投げの場合と比較すると、確率が$\frac{1}{6}$と$\frac{1}{2}$で違うだけだから、二項分布が使えるじゃんとなる。

 

となると、二項分布という名のツールキットが使えるわけで、

平均(回数×確率):$180 \times \dfrac{1}{6}=30$

分散(回数×確率(1−確率)):$180 \times \dfrac{1}{6}\times \dfrac{5}{6}=25$

と求まる(下のド・モアブル=ラプラスの定理も含めて、この辺の詳細はそのうち公式集で乞うご期待)(コサシス)。

 

最後に正規分布を考える。問題にもあるとおり、一般に二項分布は施行回数が十分多いと正規分布と捉えることができる(ド・モアブル=ラプラスの定理)。

 

問題文に従って素直にZを計算すると、

$σ=\sqrt{25}=5$なので

$Z=\dfrac{ Y-m }{ σ }=\dfrac{ Y-30 }{ 5 }$

となる。ゆえに

$18 \leqq Y \leqq 36$

$\Leftrightarrow -12 \leqq Y-30 \leqq 6$

$\Leftrightarrow -\dfrac{12}{5} \leqq Z \leqq \dfrac{6}{5}$

$\Leftrightarrow -2.40 \leqq Z \leqq 1.20$(ソタツテ

 

ここまできたら後は手の運動。

$P(-2.40 \leqq Z \leqq 1.20)= P(0 \leqq Z \leqq 2.40)+P(0 \leqq Z \leqq 1.20)$ 

$=0.4918+0.3849 =0.8767$

ということで約$0.88$(トナ)となる。

 

最後の小数計算が一番嫌だな。

 

ということで、今回はここまで。

 

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