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【問題解説】センター試験平成30年度本試験ⅡB 第1問-3

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少しずつ涼しくなり始めた今日この頃。秋の夜長に数学を、ということで今日は問題解説。

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②の不等式を「考える」問題だ。まず率直に思うのが、「考える」って何よってことだ。

 

この問題の結びのパートをみてみると、$x$の範囲を求めている($c$に値は代入してるけど)。ということはつまり、②の不等式を解けということなのだとわかる。じゃそう書けよと思うのだが、そこは大人の事情があるのだろう。

 

最初に②の式に対し、対数をとれと支持されている。素直に従えばいいのだが、ここではこの対数について少し触れておきたい。 


対数を$log_{a}b$とあらわすとき、これは$a^{♠}=b$となるような値♠を意味している。で、この♠は一般には指数と呼ばれるのだが、それを$log_{a}b$と表現すると対数と呼ばれる。要は指数部分に専用の表現を用意して、対数と名付けているわけだ

 

なんでそんな事するんだと言われそうだが、毎度♠のような記号を使うよりはより情報を積んでいる$log_{a}b$の形のほうが数学的な価値があるし、ある数の右肩の数だけに着目して計算しているんだよということで指数とは別に対数として名が与えられている。

 

で、対数($log$)というパッケージを導入することで、ある数の右肩で行われていた計算ルールが適用される数の体系が誕生し、この対数が編み出す特徴によって数の世界が拡張されることになる

 

意味がわからないよと聞こえてきそうだが、必要に応じて構築されたものは、特有の特徴を備えることがたいていセットになっていて、そこに着目すると必要性とか関係ないところでその特徴によって特有の世界が生み出されることはままあることだ。

 

例えば、文字とは誰かにメッセージを声ではない手段で送りたいと思った昔の人が発明したのだと思うが、それを用いて小説や物語というものが編み出され文化を構築している。当初のメッセージを飛び越えて、新しい価値観を作っているわけだ。 そういったことがこの対数の導入でも起きている

 

・・・と、問題を解かずに随分と語ってしまった。

 

②に対数を取ることに戻ると、$a^{♠}=b$の形が対数のルーツなわけだから、真数と呼ばれる$b$は負の値だとどう頑張っても満たすスペードは存在しない。そういうことで、②の両辺は正である必要がある。問題文で言ってるくらいだから正だろうよということは容易に想像できるところだが、律儀に考えてみるとそもそも②の式にも$\log_{3}x$という対数がすでに使われていて、ゆえに$x>0$であることはわかる。

 

 ゆえに右辺は分母も分子も正の数なわけで、全体で正。ということで、それより大きい左辺は勿論正。よって、②は両辺正の式であることがわかる。これで堂々と対数がとれる。

 

②の両辺に対数をとると、

$\log_{3}x^{ \log_{3}x } \geqq \log_{3} \left( \dfrac{x}{c} \right)^{ 3 }$

 

 ここで以下の対数の性質を用いると

 

$\log_{a}b^c=c\log_{a}b$

$\log_{a}\dfrac{b}{c}=\log_{a}b-\log_{a}c$ 

$\log_{a}a=1$

 

$\log_{3}x \log_{3}x \geqq 3\log_{3} \left( \dfrac{x}{c} \right)$

$\Leftrightarrow \log_{3}x \log_{3}x\geqq 3 \left( \log_{3}x - \log_{3}c \right)$

 

そして言われるがまま、$t=\log_{3}x $とおくと

$\Leftrightarrow t^{2}\geqq 3 \left( t - \log_{3}c \right)$

 $\Leftrightarrow t^{2}-3\left( t - \log_{3}c \right) \geqq 0$

  $\Leftrightarrow t^{2}-3t + 3\log_{3}c \geqq 0$

となり、タは3と判明した。

 

次に$c={}^3 \sqrt{9}$とするらしい。③によりと教えてくれているので、ここは従ってみると($c$に代入すると)

  $t^{2}-3t + 3log_{3}{}^3\sqrt{9} \geqq 0$

ここで、$n$乗根は指数を分数で表したものなので、

$c={}^3\sqrt{9}=9^{\dfrac{1}{3}}$

とかける。このことから

$\Leftrightarrow t^{2}-3t + 3\log_{3}9^{\dfrac{1}{3}} \geqq 0$

$\Leftrightarrow t^{2}-3t + \dfrac{1}{3} \cdot 3\log_{3}3^{2} \geqq 0$

$\Leftrightarrow t^{2}-3t +2 log_{3}3 \geqq 0$

$\Leftrightarrow t^{2}-3t +2  \geqq 0$

これでただの$t$の二次関数になった。 

$(t-1)(t-2) \geqq 0$

となるので

$t \leqq 1, t \geqq 2$

とわかる(チ、ツ)。

 

最後は$x$の範囲だから$t=log_{3}x $を戻して

$\log_{3}x \leqq 1, \log_{3}x \geqq 2$

となる。

 

ここでどうやって$x$の範囲に持ち込むんだ?と思った人。定量的な式の変形で悩んだら定性的に見れないか考えてみることだ(要は計算に行き詰まったら式の意味を考えてみるということ)。

 

ここで今一度対数って何だったっけ?と思い出してみると

$x \leqq 3, x \geqq 9$

とわかる。問題文が注意してくれてる通り、真数条件($x>0$)を加味して

$0 \leqq x \leqq 3, x \geqq 9$

と求まる(テ、ト、ナ)。

 

これにてこのページは終了


 

センターってほんと誘導がものすごく親切な印象

点線にそって解いてく学習雑誌の付録のような問題たちだな。

 

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