数学が好きなサラリーマンのブログ

数学が好きなサラリーマンのブログです。数学ネタから大学受験数学、ビジネスやライフスタイルまで数学が好きなサラリーマンの頭の中を大公開しています。

【問題解説】センター試験平成30年度本試験ⅡB 第3問

f:id:mathbanker:20180925144149j:plain

 基本平日毎日更新してるけど、先週金曜日は諸事情あってトバしてしまった。楽しみにしてる人いたら、ゴメンナサイ

 

センター問題解説編は今回から数列へ。

 

問題

f:id:mathbanker:20181105105212j:plain

 

まず、教科書的なことから。

等差数列

初項$a_{1}$、公差を$d$とすると

一般項:$a_{n}=a_{1}+(n-1)d$

$n$項目までの和:$S_{n}=\dfrac{n(a_{1}+a_{n})}{2}$

 

等比数列

初項$a_{1}$、公比を$r$とすると$(r \not= 1)$

一般項:$a_{n}=a_{1}r^{(n-1)}$

$n$項目までの和:$T_{n}=\dfrac{a_{1}(1-r^{n})}{1-r}$

 

(1)

 等差数列において4番目の項8項目までの和が与えられていて、この数列の正体と和を求めよというのが最初の問だ。

この与えられた条件定義・公式に当てはめて連立としてもいいんだけど、等差数列ってなんだっけ?というところを少し掘り下げながら解いていきたい(といってもそんなに深くないけど)。

 

一般項

$a_{n}=a_{1}+(n-1)d$

のかたちは、各項の間隔$d$を初項から求める第$n$項まで足し上げていることを表現している。

$a_{2}=a_{1} +d$

$a_{3}=a_{1} +d+d$

・・・

$a_{n}=a_{1} +d+ \cdots +d$  (←$d$が$n-1$個)

ということを端的に書くと

$a_{n}=a_{1}+(n-1)d$

 となる。

 

つまり、$d$という間隔を表す値調整すれば狙った項を描くことができる。このとき基準になっている値が$a_{1}$だ。

 

で、ここでひとつ考えてみる。基準て$a_{1}$である必要あるんだっけと。例えば$a_{3}$を基準に、$a_{1}$や$a_{5}$を考えてみよう。

 

$a_{1}=a_{3}-d-d$

ってことだし、

$a_{5}=a_{3}+d+d$

ってことだ。

こうみると、どんな項でも基準になることがわかる

 

等差数列というくらいだから、等差(公差)がキーなのであって、基準は$a_{1}$に置かれがちだけどどこでもいいということだ。

ということは、初項と公差がわかれば一般項が求まるというのは狭くて、どこかの項と公差がわかれば求まるというのが正しい。

 

で問題に戻ると$a_{4}=30$というのは、一般項を求めるのに初項を与えられていることと等しい。だから、

$a_{4}=a_{1}+(4-1)d=a_{1}+3d$

と代入して基準の$a_{1}$への調整を図る意味は極めて薄い

 

ポイントは、任意の項と公差で一般項がわかるとき、和はどう考えられるかという点だ。だって、和の公式は初項と末項ありきでの形なのだ。この初項が任意の項のとき、どうなるのだろうか。

 

これを考えるには、そもそも公式の形がどうやって導出されたかを抑えておく必要がある。

この公式は、ガウス少年の逸話が有名だが、足し集めたい数を昇順降順の2通りで並べて各項の和を計算していく一定数になるので、その数の総数÷2という計算で求まる。

 

$S_{n}=a_{1}+a_{2}+a_{3}+\cdots +a_{n-2}+a_{n-1}+a_{n}$

$S_{n}=a_{n}+a_{n-1}+a_{n-2}+\cdots +a_{3}+a_{2}+a_{1}$

こうやって並べ順を替えて、位置が等しいところを足すと

$a_{1}+a{n}$

の値は、その次の

$a_{2}+a{n-1}$

と比べると、$a_{1}$は$d$を足すことで$a_{2}$になり、$a{n}$は$d$を引くことで$a{n-1}$となる。ということで

$a_{2}+a{n-1}=(a_{1}+d)+(a{n}-d)=a_{1}+a{n}$

となる。各項でこうなるので、結局初項+末項が$n$個できることになって、そもそも2つの$S_{n}$の和からできているので、

$S_{n}=\dfrac{n(a_{1}+a_{n})}{2}$

 となることがわかる。

 

ということは、表現をかえると$a_{1}$を基準にするから、和の形では初項+末項基準になる。任意の項基準に取れば、それを後ろから数えた項との和を取れば同様の計算をすることができる

つまり、任意の項を$a_{\alpha}$とおくと、後ろから$\alpha$番目の$a_{n-\alpha+1}$との和を基準にすればいい(+1を足すのは、$\alpha=1$を代入すると初項と末項にならなければいけないことからわかるハズ)。

すると

$S_{n}=\dfrac{n(a_{\alpha}+a_{n-\alpha+1})}{2}$

とも書けることがわかる。

 

今回は$a_{4}$がわかっているので、これを基準に考えると

$S_{n}=\dfrac{n(a_{4}+a_{n-4+1})}{2}=\dfrac{n(a_{4}+a_{n-3})}{2}$

となる。

 

で、$S_{8}=288$とわかっているので、

$S_{8}=\dfrac{8(a_{4}+a_{8-3})}{2}=4(a_{4}+a_{5})$

で$a_{5}=a_{4}+d$なので

$=4(a_{4}+a_{4}+d)=4(2a_{4}+d)=4(60+d)=288$

これを解いて

$d=12$(ウエ

初項は$a_{4}$から3つ分戻ればいいので、

$a_{1}=a_{4}-d-d-d=30-3\times 12=-6$(アイ

とわかる。

ゆえに(初項がわかったので素直にそれを基準に戻して[戻さなくてもいいけど])

$S_{n}=\dfrac{n(a_{1}+a_{n})}{2}=\dfrac{n(-6+(-6+12(n-1)))}{2}$

$=6n^{2}-12n$ (カキ

 

(2)

次は等比数列だ。等差数列と比べて、足し算が掛け算になっただけで、考え方に変わりはない

2番目の項の値が与えられているので、これを基準と考える($a_{2}=36$)。

 

任意の項基準にしたとき、等比数列の和はどうなるかを考えてみる。

初項を基準にしたときに

$T_{n}=\dfrac{a_{1}(1-r^{n})}{1-r}$

と与えられている。

 

ここで基準を入れ替えると、

$a_{1}=\dfrac{1}{r}a_{2}$

であることから

$T_{n}=\dfrac{\dfrac{1}{r}a_{2}(1-r^{n})}{1-r}$

$=\dfrac{a_{2}(1-r^{n})}{r(1-r)}$

とかける。

 

$a_{2}=36$、$T_{3}=156$なので 

$T_{3}=\dfrac{36(1-r^{3})}{r(1-r)}=156$

$\Leftrightarrow \dfrac{3(1-r^{3})}{r(1-r)}=13$

$\Leftrightarrow 3(1-r^{3})=13r(1-r)$ 

$\Leftrightarrow 3(1-r)(1+r+r^{2})=13r(1-r)$ 

両辺を$1-r$で割って($r \not= 1$)

$\Leftrightarrow 3+3r+3r^{2}=13r$

$\Leftrightarrow 3r^{2}-10r+3=0$

$\Leftrightarrow (3r-1)(r-3)=0$

$r>1$なので

$r=3$(

と求まる。

初項は、$a_{2}=36$だったので、一つ戻って

$a_{1}=a_{2} \div r = 36 \div 3 =12$(クケ

となる。

よって(初項がでたので素直にこれを基準にして)、

$T_{n}=\dfrac{12(1-3^{n})}{(1-3)}=-6(1-3^{n})=6(3^{n}-1)$

と求まる()。

 

今回はここまで。

 

センター試験過去問研究 数学?・A/?・B (2019年版センター赤本シリーズ)

センター試験過去問研究 数学?・A/?・B (2019年版センター赤本シリーズ)