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理科大入試で学ぶ数学講座 2019理1-4

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久々の理科大問題解説。

 

昨年までのセンター解説に比べて問題数が少ないからのんびり行けるかなと思ったら、のんびりしすぎた感があるので、少し頑張らなきゃ。といいつつ、今回更新タイミングが遅くなりました(毎週月曜更新の信念)。

 

ゴメンナサイ。

 

ご参考まで、これまでの記事。

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問題

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解説

$f(x)$は3つの関数

① $(x-4)^2$

② $x-2$

③ $-x^2+6x+4$

を用いて、

$f(x)=\min \left\{ \max \left\{ ①, ②\right\}, ③ \right\}$

という形をしている。

 

今回考えるのは、問題(1)-(b)実数全体を動くときの$f(x)$の最大値だ。

考えていこう。

 

一つの問題設定上で、複数の設問があるとき、そこには誘導があると考えてみる。すでに解いた問題たちが、これから解く問題のヒントになっているということだ。

 

そんな目ですでに解いた問題をみてみると、

(a)では、

$1 \leqq x \leqq 3 , x=6 \Leftrightarrow f(x)=(x-4)^2$

$3 \leqq x \leqq 6 , x=-1 \Leftrightarrow f(x)=x-2$

という事実を得ている。

 

もう少し丁寧に言うと、(a)では実数全体のうち

A: $1 \leqq x \leqq 3 , x=6$

B:  $3 \leqq x \leqq 6 , x=-1$

の範囲において、関数が①、②で表現できることがわかっている。

 

で、今回考えるのは、$x$が実数全体を動くときの$f(x)$の最大値だ。

$1 \leqq x \leqq 3 , x=6$や$3 \leqq x \leqq 6 , x=-1$の範囲であれば、最大値を求めることは簡単だ。でも、問題は実数全体なので、これではカバーできていない範囲が存在する。

具体的に区間で表すと、

$x<1$

$6<x$

の範囲だ(これをCとする)。この範囲において、$f(x)$がどんな値を取るのかまで考慮できないと、実数全体での考察ができない。

 

でもそれって、$f(x)$は$x$の値によって①から③のいずれかにしかならないわけで、範囲A、Bはそれぞれ必要十分条件として①、②と繋がっていることから、Cは③と繋がるほかない。

 

つまり、

A $\Leftrightarrow f(x)=(x-4)^2$

B $\Leftrightarrow f(x)=x-2$

C $\Leftrightarrow f(x)=-x^{2}+6x+4$

となり、これらA、B、Cで実数全体をカバーできる。

 

あとは、この中で最大値を考えればいいわけだけど、分割されたそれぞれの範囲における最大値を求めて、それら最大値達の中で最大値を求めればいい。King of Kings みたいなものだ。

 

ちなみに、$x=3$とか$x=6$は一見2通りの関数で表現できるからややこしいなと思うかもしれないけど、この点において値がおなじになるので、2通りの関数で表現できると考えれば、どちらか一方で考慮しておけば問題ないことがわかる。

 

で、Aから考えてみる。Aの範囲においては、$f(x)$は

$f(x)=(x-4)^2$

として二次関数で表現される。Aは頂点$(4,0)$を含まないことと、下に凸な放物線であることから頂点から遠ざかれば遠ざかるほど値は大きくなることから、Aの範囲で$x=4$から最も遠い$x=1$のとき最大値$f(1)=9$を得る。

 

次にB。Bの範囲において、$f(x)$は

$f(x)=x-2$

というただの右肩上がりのただの直線。ゆえに$x$が大きければ大きいほど値は大きくなるので、

$x=6$のとき最大値$f(6)=4$

を得る。この時点で、Aにおける最大値9の勝ち。

 

最後にC。Cの範囲において、$f(x)$は

$f(x)=-x^{2}+6x+4$

これもただの二次関数で、頂点は

$f(x)=-(x-3)^{2}+13$

となることから$(3,13)$で、この点(の$x$の値)はCに含まれない。

上に凸な放物線なので、頂点に近い点($x=3$に近い値)が最大値を与える$x$となる。

Cの範囲において、$x=3$に最も近いのは$x=1$。

このとき、最大値$f(1)=9$を得る。これはAのときと同値。

 

ゆえに、$f(x)$の最大値は$9$であり、そのときの$x$の値は$1$となる。

 

今回の問題は、誘導をちゃんとヒントとして活かし、実数全体を検討できる範囲に分割してそれらを比較することで正当を得る、という流れだった。

 

デカルトの言う通り「困難は分割せよ」だし、B’zが叫ぶとおり「すべてなにかのイチブ」なわけで、今回は前者の姿勢だったけど、分割したり、くっつけて考えることは問題解決を図るための常套手段だ。

 

ということで、今回はここまで。