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直感と確率について(モンティ・ホールの問題に続いて、三竿のタンスの問題)

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数学において、「確率」という分野はいささか異彩を放っているように思う。
僕の院生時代の専攻分野だったので贔屓目に見ていることもあるのだろうが、代表的な分野である解析や代数、幾何と一線を画している(気がしている)。

 

コインを投げたときの表の出る確率は1/2というときに、この値は只の数字の比である以上に、現実に実験を行うと近づく値である。順列・組み合わせの議論において、2つのコインを区別しないとき、といった仮定における数えあげはあり得ることだけど、確率においてはこのような仮定は意味を成さない。


確率の世界では、全てが異なる。みんな違って、みんないい、というアレだ。2つのコインを区別しないときに、(表、裏)となる確率を1/3としたところで、この数字は現実には立脚しない。


考えて見れば当然で、世の中には2つと同じコインは存在しない。どんなに酷似していたとしても、"同じもの"というのは存在しない。究極そのものが存在する位置が違うのだから、別物だ。

 

そんな現実に忠実な確率は、ボクらの感覚がときに現実離れしていることを教えてくれる。中でも条件付き確率は、その現実との違和感を鮮明にすることが多い(以前紹介した、モンティ・ホールの問題もそのうちの一つ)。


以下は、三竿のタンスの問題と呼ばれるものだ。
「3つのタンスはどれも2つの引き出しがある。第1のタンスの引き出しには金貨が1枚ずつ、第2のタンスには金貨と銀貨が1枚ずつ、第3のタンスには銀貨が1枚ずつ入っている。
今、無作為に1つのタンスを選び、一つの引き出しをあけたら金貨が入っていた。このタンスのもう1つの引き出しに金貨が入っている確率を求めよ」

 

直感で挑むと誤りを導きかねない。是非、すべてのものを区別するというスタンスで考えて欲しい。

金貨が1枚出ているので、銀貨のみのタンスを考える必要がなくなる為、1/2というのは間違いである。

 

これは金貨が全部で3枚ある中で、これらを区別していない考え方である。現実にこの施行を行ったときにこの値に近づくことはない。

 

金貨の3枚をすべて区別して考える必要がある。問題文がそのように思えても、世の中に同じ金貨が3枚あることはありえない。この3枚を区別するためにG1、G2、G3とする。G1、G2が同じタンスにあるとするとき、最初にひいた金貨がこのタンスである場合、もう1枚は金貨、G3が入っているタンスの場合はもう1枚は銀貨となる。よって、もう1枚が金貨である確率は、2/3となる。

 

ボクラの直感はときに騙される。そいや、新型コロナのPCR検査の確率は70%なんだっけ(意味深)。