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【問題解説】センター試験平成31年度本試験ⅠA 第1問-3

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今年の冬は暖かいなと思ってたら, 先週末から突然の雪. 油断大敵. 半径1メートルくらいを覆うようなパーソナルエアコンをだれか発明してくれないかな.  

 

ということで, 前回の続き. 

問題

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解説

必要十分性を判定する問題. 日本語でいうところの必要だとか十分の語感とかけ離れることも多々あるので, ここは定義に忠実に判断していきたいところ. 

 

じゃ定義って何よって人へ. 

命題$p$、$q$に対し

$p \Rightarrow q$

が真であるとき

$p$を$q$であるための十分条件

$q$を$p$であるための必要条件

という

 それはわかってるけど, いつもどっちがどっちかわからなくなるよーという声が聞こえてきそうだ. 覚え方はいくつかあると思うけど, 両方覚えるからどっちがどっちかわからなくなる. リトマス試験紙と同じだ. 片方だけしっかり覚えて, もう片方は毎度ひっくり返して考える. 

 

一旦必要条件のことは忘れて

$p$を$q$であるための十分条件

だけ気合入れて覚えてみよう.  

 

で, この定義に沿って日本語感覚で判断しようとすると、罠にかかる. 

例えば, 

$p: $ 可愛いあの娘に告白される

$q: $ 可愛いあの娘と付き合える

という命題で考えてみる(命題としていいのかどうかはさておき). まず, $p \Rightarrow q$が成立することは納得しておきたい. で, そのことを前提にそれぞれ考えると, 

可愛いあの娘に告白されることは, 付き合える為の十分条件

であり

可愛いあの娘と付き合えることは, 告白される為の必要条件

となる. これは感覚的には逆?とも捉えかねない. 

 

このことをしっかり判断できるようになるためには国語力がものをいう, なんてことを言うつもりはない。国語力で挑むということは, 必要・十分の定義を日本語の定義で(しかも感覚的に理解している定義で)考えることなわけで, 曖昧さを含みがちだ(=バイアスが入る).数学的に考える(判断する)術があるのであれば, それに越したことはない。

 

ここで日本語を離れて集合で考えてみる. 集合論は数学の出発点的なところにあって、論理を考えるのに適しているというか, 先人の智慧的に相性がいいものだ. 

一般に

2つの集合$A$, $B$に対し

$A \subseteq B$

を満たすとき

$x \in A \Rightarrow x \in B$

が成り立つ.ということで, 包含関係が確認できれば, 必要十分性が自動的に導かれる. 

 

上の例で, 可愛いあの娘と付き合えるきっかけは告白以外にも色々なことがあるはずで, 集合的目線で見ると, たしかに付き合えることのほうが大きいことがわかり, そのことから必要重十分性が確認できる(ちなみに告白されたけど付き合わないストーリーは考えていない. その為の可愛いという形容詞である).

 

一般に必要十分を議論するときにはこういった集合的アプローチ或いは素直な計算で判断するべきで, 日本語解釈は避けたいところだ.

 

で, センターの問題に戻ろう. $p$, $q$, $r$が何かは前回の記事を参照してほしい. 

 

www.mathbanker.info

 

 

命題$p$と$q$の関係から考える.前問のときにはしなかった部分の定量化をすることで, 問題を考えやすくしてみよう.

 

つまり, 命題$p$における$ m $と$n$をそれぞれ

$ m = 2k +1 $

$ n = 2l +1 $

とおいて考える(ここで,  $ k, l $は整数).

 

このとき$3mn$は,

$3mn=3 \times (2k+1) \times (2l+1)=2 \times \triangle +3$

 という形になる($\triangle$の部分はあえて計算しない. 定数以外の数は2を掛けられる運命であることに気づいてほしい).ということで, 奇数確定.

逆向きを考えると, 積の形をしたものが奇数といっているのだから, 因数が偶数であるはずがない. 因数に偶数があれば, 全体が偶数になってしまう. 故に

$q \Rightarrow p$

も真.よって必要十分条件となる.

 

次に$p$と$r$.

これまた先ほどと同様に計算してみると,

$m+5n=2k+1 +5 \times (2l+1)=2 \triangle + 6=2(\triangle +3)$

で偶数となることから

$p \Rightarrow r$

は真.

では逆向きを考えてみる.

定量化を試みたいところだが, 悩ましいところだ. 和の形が偶数といっているわけだが,

どう表現すべきだろうか.

悩みごとを抱えたとき, 偉大な哲学者デカルト分割せよと唱えた. 困難は分割するのである.

で, どう分割するかというと和が偶数といっているわけで, この和を分割するしかない. 和を分割するとは足す数と足される数に分けるしか単純には結びつかないので, $ m $と$5n$にわけてみる.

わけてどうするの?といわれそうだが, 偶数奇数を考えているので, それぞれが偶数・奇数となる場合を場合分けして考えるしか手はなさそうだ. 

足して偶数ということは, 偶数+偶数か奇数+奇数しかない. 偶数+奇数は奇数になっていしまう.

で、いま$ m $も$5n$も両方同時に奇数になってもいいし, 偶数になってもいい. その条件で$q$を考えると, $3mn$は

$3 \times$ 奇数 $\times$ 奇数

或いは 

$3 \times$ 偶数 $\times$ 偶数

 となる.後者は明らかに計算結果も偶数になるので偽となる.

ゆえに

$p \Rightarrow r$

だけが成り立つので、$p$は$r$であるための十分条件とわかった.

 

最後に$\overline{p}$と$r$.

前問から$\overline{p}$は $ m $か$n$のどちらか, 或いは両方が偶数ということだった.  ここで $ m $か$n$一方だけが偶数の場合, 5があることなんてどうでもよくて(どんな数に5をかけても偶奇は変わらない), 偶数+奇数(or 奇数+偶数)=奇数となる(ちなみに両方偶数なら, $r$は偶数+偶数=偶数となる).よって, 偶数とは限らないので, $\overline{p} \Rightarrow r$は偽.

 

逆向きはどうだろうか.

 

先ほどと同様に偶奇でわけて考えてみる. 奇数+奇数となる場合, $\overline{p}$は満たさない.  

よって必要条件でも十分条件でもない.

 

答:セ 0  ② 

 

冒頭,  集合を語った割に集合をあまり全面に出して解かなかったな.でも集合で論理を考えるのは重要なアプローチだし, まいっか.

 

今回はここまで。

 

 

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