コロナが猛威をふるう昨今、3密の回避が叫ばれているが、
今回はこれを題材に論理を復習してみよう。
はじめに3密のおさらいからしておくと、
1. 密閉空間
2. 密集場所
3. 密接場面
がクラスター発生の防止策になるというものだった。
さて。この3つの条件。それぞれ間をつなぐのは
・かつ
・または
のどっちだろう。直感的に判断する人もいるだろうけど、ここはまず厚労省のポスターをみてみる。
3つの条件が重なるところがリスクが高いなんて表現で曖昧だ。それぞれクラスター発生要因となり得るか考えてみる。ここで注意したいのが、クラスターの発生を考えるわけだから、クラスターと判断する程度の人数がいることが前提だ。とすると、3つとも、単独でクラスター発生の要因となりえることは想像に難くない。つまり、「または」と捉えるのが妥当ということだ。
ではもう少し突っ込んで、それぞれの条件は命題となり得るだろうか。ここで命題になるとは、客観的に真偽の判定ができることだ。これを満たせているか考えてみる。
1. 密閉空間:換気の悪い空間
2. 密集場所:多数が集まる場所
3. 密接場面:間近で会話や発生をする場面
ということなので、
・換気が「悪い」
・「多数」が集まる
・「間近で」発生
とそれぞれ判断が曖昧なものが含まれている。厳密な世界ではこの時点でアウトだけど、日本人特有のコンセンサスで判断できなくもないので、ここはすべて判断できるとする(つまり命題)。
1〜3が命題として扱えるので、それっぽく
$p=$:密閉空間にいる
$q=$:密集場所にいる
$r=$:密接場面にいる
$s=$:クラスターが発生する確率があがる
と文字でおいてみる。すると3密でクラスターは、
$p \lor q \lor r \Rightarrow s$
と表現できる。この表現の裏を考えると
$\lnot ( p \lor q \lor r ) \Rightarrow \lnot s$
となり、これが3密の回避の表現となる。
しかし、一般にある命題とその裏命題の真偽は一致しない。一致するためには、もとの命題の逆が真であればいいわけで、それは3密が原因になるだけでなく、それのみがクラスターの発生原因であることを意味している。そのときに
$\lnot ( p \lor q \lor r ) \Rightarrow \lnot s$
$\Leftrightarrow$
$\lnot p \land \lnot q \land \lnot r \Rightarrow \lnot s$
が成立するし、もっと言えば
$\lnot p \land \lnot q \land \lnot r \Leftrightarrow \lnot s$
ということだ。
・・・ということで、なにか発見があるわけでないけど、論理の確認まで。