数学が好きなサラリーマンのブログ

数学が好きなサラリーマンのブログです。数学ネタから大学受験数学、ビジネスやライフスタイルまで数学が好きなサラリーマンの頭の中を大公開しています。

【問題解説】センター試験平成29年度本試験 IA 第4問

第4問。整数問題。整数問題は難しいなんて言いますが、それは受験レベルの話ではありません。

f:id:mathbanker:20180108192408j:plainf:id:mathbanker:20180108192413j:plain

まずはじめに(1)4で割り切れる3桁の数を求める問題から。

まぁ、実際筆算で割り算を考えると10の位に9が立って、$1a$を割り切ればいいので$a$は$2$、$6$です。と一瞬で答はわかるのですが、もう少しだけ汎用性がある解き方を考えておきます

一般に整数問題と呼ばれるジャンルは、難しいと評価を受けるためのくくりでは当然ありません。整数ならではの特徴を用いて解く問題たちだから整数問題と名付けられているわけです。

整数ならではの特徴とは何かと問われたならば、色々あるのでしょうが大きなところで2つあります。

一つ目は、詳細には大学の代数学で学ぶものですが、2つの整数を足し算・引き算・掛け算しても整数のままでいられるけれど、割り算については整数になるとは限らないということです。

ご存知の通り、割り算は割り切れたり、割り切れなかったりします。割り切れるときはその数を用いて因数分解できるから約数という概念が現れます。一方、割り切れないときには割り切れない分だけ余りという数が姿を見せます

二つ目は、離散量であるということです。離散量とはとびとびの値ということですが、無限に整数は存在するものの、連続してシームレスに値が並んでいるわけではありません。なので例えば、$1.5<x<2.1$となる$x$が実数の場合、その数は無数に存在しますが、$x$が整数となった瞬間値は2だけとなります。

つまり

  • 割り算の存在(そこから派生して約数と余りの存在)
  • 離散量であること

整数問題を解くときの大きな武器になってきます。

本問では思いっきり割り算の話が出てきてるのでまずは前者を使うのかなと想像がつきます。

4で割り切れるということは、4を因数に持つ積の形でかくことができ、あまりは0となります。

ちなみにこの余りって普通は割る数未満の数です。一意性を保つためにそうなってます。

例えば

$$ 18=4 \times 4 + 2 $$

と書けます。ここから以下のように商を切り崩して、余りに足すもできます。

$$ 18=4 \times 2 + 4\times 2+2=4\times 2 + 10 $$

このとき、余りに当たる部分は10になっていますが、ここを改めて4で割ると、当然上と同じあまりの2が出てきます。

つまり、余りの一意性を無視すると(余りが割る数以上になることを許すと)

$$ (割られる数)=(割る数の倍数)+(残りの数) $$

と表現することができます。何が言いたいかというと、割り算で余りを求めるときは、割る数の倍数分はひいても結果は変わらないよということです。

で、問題にもどると、
$37a$から4の倍数分ならばどれだけひいても結果は変わりません。 $37a$は$370$に一桁の$a$という形をしています。$370$に一番近い4の倍数は$368$(=$4 \times 92$)なので、

$$ 37a=368+2+a $$

と書けます。この$2+a$が370台に収まる形で4の倍数だったらいいので、$2$、$6$が答えとなります

ちなみに、4の倍数かどうか判定するには下二桁が4の倍数かを判定すればいいということを知識として暗記してる人もいると思いますが、それはそもそも100が4の倍数なので、

$$ 37a=300+7a=100 \times 3 +7a=4 \times 25\times 3 +7a $$

として$7a$の部分を考えていることになります。

(2)もスタンスを変えずに解いていきます。 今回は少し複雑な形と条件になっています。

$7b5c$が4でも9でも割り切れるということなので、1つずつ考えていきます。

まず各変数について通常の数式の計算ができるようにするために以下の形にしておきます。

$$ 7b5c=7000+100b+50+c $$

ここで、ひとつ。(1)では触れませんでしたが、基本的な姿勢として変数をみたら取りうる範囲を気にする癖をつけておくべきです。数学ではその変数の取りうる範囲を定義域といったりします。これは分野に関わらず重要な態度です。変数は何を変数としているかばかりに目がいきがちで、定義域は無視されることが多々あると思いますが、変数とその定義域はセットです(大学数学では当たり前な姿勢ですが、なぜかあまり高校数学までは強調されていないようです)。

そして、既述の通り整数問題では離散量であるという特徴は大きな武器です。実数ならば値が特定できないところを範囲が限定できると対象が絞りこめるので、範囲の情報である定義域は整数問題では重要なアイテムです。

問題に戻り、$7b5c$が4で割りきれるということなので、4の倍数でできるだけ削り取ることを考えると

$$ 7b5c=7000+100b+50+c=4 \times (1750+25b+12)+2+c $$

となります。ゆえに、$2+c$が4の倍数ならば$b$はどんな値でも$7b5c$は4の倍数です。$c$の定義域は0〜9の数なので、ここで離散量であることが使えて、$c$は$2$か$6$になります。

続いて9を同様に考えると

$$ 7b5c=7000+100b+50+c $$ $$ =9 \times (777+11b+45)+7+b+5+c $$ $$ =9 \times (777+11b+45)+12+b+c $$

と書けるので、$12+b+c$が9の倍数ならば$7b5c$は9の倍数です。ここで$c$は$2$か$6$なので、順番に当てはめると

■$c=2$のとき
$$ 12+b+c=14+b $$ $b$も0〜9の定義域をもつので、$14 \leqq 14+b \leqq 23$となります。この中で9の倍数をひろうと$14+b=18$になります。ゆえに$b=4$です。

■$c=6$のとき $$ 12+b+c=18+b $$ 同様に考えて、$18 \leqq 18+b \leqq 27$より$b=0, 9$です。

ゆえに$(b, c)=(4,2),(0,6),(9,6)$の3個です。

このうち、$7b5c$を最小にするのは、全部入れてみてもいいのですが、位の大きな数字が小さければ全体として数は小さいので、$b=0$のとき最小の数を構成することがわかります。このとき$c=6$です。
最大は位の大きな数字が大きければいいので、$b=9$のとき最大の数を構成します。このときも$c=6$です。

つぎに

$$ 7b5c=(6 \times n)^{2} $$

となるときの$b$、$c$、$n$を考えます。右辺は$36 \times n2$となるなので、36で割り切れる数ということです。4や9と同様の形を36で作るのかと思うあたりで気付きたいところですが、そうでなくても面倒だなとか解けないなと思ったときは前問は多くのケースでヒントです。そして、36は4と9最小公倍数です。先程考えていた4でも6でも割れる数とはまさに最小公倍数を言っていたということに遅まきながら気付けると思います。

そうすると数は3パターンしかないので、実際それぞれのケースを36で割ってみると、$(0, 6)$のときに

$$ 7056=36 \times 196= (6 \times 14)^{2} $$

となることが見つかります。

最後の(3)です。約数の個数を問う問題です。

まず約数についてちゃんと整理しておきます。なんとなく対象となる数を割れる数として認識している人が多いと思います。割れる数ということはすなわち、対象となる数を積の形で表したときの因数になっているということです。そして、因数は素因数で表現することができます。 数学の武器としての観点では、約数は素因数(のべき乗の組み合わせ)で表現される数という認識が重要です。

では問題に取りかかります。 $1188$の約数の個数が問われています。まず素因数で表すために素因数分解してみます。

$$ 1188=2^{2} \times 3^{3} \times 11 $$

となります。これらの素因数の組み合わせで1188の約数は構成されます。

2が2個、3が3個、11が1個あるときに、それぞれ選ばない(=0個選ぶ)ということも選択肢にいれて全部で何通りあるか考えます。1通りについて1個の約数が対応することになります。この問題が順列組み合わせの問題として、りんご、みかん、ぶどうと名を変えて現れれば易しいのに、素因数となると難しくなるなんてことはありえません。

全部で

$$ (2+1)\times (3+1) \times (1+1)=24 $$

24個の約数があることがわかります。

このうち、2の倍数の約数は、2を必ず一個は選ぶとすればいいわけですから、一個除外したところでパターンを考えると

$$ (1+1)\times (3+1) \times (1+1)=16 $$

となります。4の倍数も同様に2個必ず選べばいいので、

$$ (0+1)\times (3+1) \times (1+1)=8 $$

となります。

最後の問です。1188の全ての正の約数の積の2進数で表したときの末尾0の数ですが、全くどうしていいのかわからないと思った人も多いかもしれません。

まぁセンターなので高校数学で習っていない知識がないと解けないなんてことはありえないので、しっかり考えてみます。

全ての約数の積ってどう考えるんでしょう。まさか24個全て書き並べて掛け算するなんてことはありません。

こういうときは少しストーリーを終わりから考えてみます。最終的に求めるのは2進数で表したときの末尾の0の並びです。

一般に○進数といわれたとき、この○とはなにを指すかというと位の基準です。321が10進数とするとき、

$$ 321=3\times 10^{2}+2\times 10^{1}+1\times 10^{0} $$

と表されます。これが5進数ならば

$$ 321=3\times 5^{2}+2\times 5^{1}+1\times 5^{0} $$

ということです。右辺を計算しても左辺にならないよと言われそうですが、記法の話です。右辺の形で表されるとき5進数と呼び、各係数を書き並べるというルールです。

我々は2進数より10進数のほうが馴染みがあるので、まずは10進数で考えてみます。ここで、2進数と10進数がちゃんと比較できるように形を意識します。

例えば、1980000なんて数を考えてみると、0が見た目に4つ並んでいます。これは10進数なので

$$ 1980000=1 \times 10^{6}+9 \times 10^{5}+8 \times 10^{4} + 0 \times 10^{3} +0 \times 10^{2} +0 \times 10^{1} +0 \times 10^{0} $$

と表現できます。すなわち、末尾に0が4つ並ぶということは$10^{0}$から$10^{3}$までの係数が0ということです。

で、このことと全約数の積を我々はつなげたいのです。約数は素因数ので更にそれのを考えるのに、いまの結論の考察で得たものは和の式です。

なので積の形にしてみます。係数0のところは全部消せて

$$ 1980000=1 \times 10^{6}+9 \times 10^{5}+8 \times 10^{4} =10^{4} \times (1 \times 10^{2}+9 \times 10^{1}+8 \times 10^{0}) $$

とできます。そうすると、末尾0の数と$10^{4}$の指数が一致することがわかります。てことは、2の累乗の形で括れれば0の数がわかります。すなわちこれは、全約数の積のなかに2が何個かけられているのかということです。

ここでまた全約数の積の検討に戻ります。積が2の何乗で括れるかさえわかればいいわけです。約数は全部で24個存在しています。そして、前の問でこの24個のうち、2の倍数と4の倍数の個数は求まっています。8の倍数は素因数の数が足りないので存在しません。そして 2の倍数と4の倍数以外の約数は当然2を持ちません。

ということはつまり、2の倍数(16個)と4の倍数(8個)の約数の計24個が全約数の積のなかにある2の数を決めます。

ここで気をつけたいのは、当たり前な話ですが、2の倍数には4の倍数は含まれています。ゆえに全部で16個あって、そのうち4の倍数のものが8個あるということです。4の倍数以外の8個は、2の倍数だけど4の倍数ではないので、素因数2を約数一つにつき一つ持っています。4の倍数は一つにつき2個持っています。ということは全部で

$$ 8\times 1+ 8\times2=24 $$

24個の0が並ぶことがわかりました。これにて完了

恒例の最後に宣伝。よろしく。