第3問。確率の続きです。
(4)は(2)と似てます。考え方を踏襲してみます。
B、Cの少なくとも一方があたりのくじを引く事象
をはずれを使って表現することを考えます。
(2)と似ているとお伝えしたばかりですが、似ているということはすなわち何かが違うということです(前回のイコールの説明のように)。
何が違うかと問われれば、それは対象となっている事象が違うわけですが、どう違うかとなったときにひとつ着目したいところがあります。
ここで、数学の分野をまたいで少し一般論の話をします。数学において対称性というのはとても大切な概念です。それはガロア理論を知ってる人ならば頷くところも多いと思いますが、大上段に構えなくともいろんな場面で活用できるものです。
この問題でも、A、B、Cの3人がでてきますが、誰が当たりやすいということはありません。みんな平等です(数学的にいえば、同様に確からしいです)。人を入れ替えても同じ議論ができますから、その意味で対称性があります。
そしてこの(4)ではB、Cだけに着眼することで、その対称性が崩れるような事象になっています(実は(1)のときもそうだったのですが)。言い換えるとAが仲間外れにされています。
余事象の説明のときと同様ですが、問題が着眼したB、Cと仲間外れのAについて、解答する側まで同じスタンスに立つ必要はありません。シンプルに考えられそうな方に立つべきです。
そして今回は仲間外れのAについて考えるほうが、想定される場合わけの数の観点からシンプルです。
Aについてはあたってもはずれてもいいので、ここで場合分けします。
Aが当たる場合(残り→あたり1本はずれ2本):
BがだけがはずれかCだけがはずれ(両方はずれたら考えている事象に入らない) 。つまり、選択肢③、⑤が正解。
Aがはずれる場合(残り→あたり2本はずれ1本):
BかCの少なくとも一方はあたる(B、Cがどの組み合わせになっても、考えている事象にあてはまる)。つまり、選択肢0が正解。
ちなみにAが当たる場合とはずれる場合は勿論排反です。
一応、素直に問題と同じ着眼点にたって考えてみると、
- Bだけあたり
- Cだけあたり
- BもCもあたり
の3パターンが存在します(この中にある「だけ」はB、Cのうち一方「だけ」の意)。あたりは2本しかないことに注意してそれぞれをはずれで表現すると
- Cはずれ Aあたり / Cはずれ Aはずれ
- Bはずれ Aあたり / Bはずれ Aはずれ
- Aだけはずれ
となります。これでは選択肢ズバリとはわかりません。A、B、Cが混在しているのに対し、問題の選択肢はそれぞれ1人ずつになっています。なので、この3パターンを一人ずつに整理していきます。Aから順番に上からはずれのものを選んでいくと(かつあたりのものを補っておくと)
A:
Aはずれ Bあたり Cはずれ
Aはずれ Bはずれ Cあたり
Aはずれ Bあたり Cあたり
B:
Bはずれ Aあたり Cあたり
Bはずれ Aはずれ Cあたり
C:
Cはずれ Aあたり Bあたり
Cはずれ Aはずれ Bあたり
この中ではずれが2本あるものは当然2人のところで重複しています。そして、目的は「だけ」で表現されるものか、「だけ」がない表現のものにすることです。B、Cはそれぞれ下の行のものが消せれば「だけ」で表現できるのですが、これらははずれが2本あり、Aと重複しているので消すことができます。すると
A:
Aはずれ Bあたり Cはずれ
Aはずれ Bはずれ Cあたり
Aはずれ Bあたり Cあたり
B:
Bはずれ Aあたり Cあたり
C:
Cはずれ Aあたり Bあたり
となります。これはそのまま選択肢0、3、5に対応します。
続いてこの和事象の確率を求めます。
Aが当たる確率は
$$ \frac{2}{4}=\frac{1}{2} $$ です。
Bだけ(Cだけ)が当たる確率は
$$ \frac{2}{4} \times \frac{2}{3} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{6} $$
です。前回同様、排反な和事象の確率は、確率の和とできるので
$$ P(E_2)= \frac{1}{2} + \frac{1}{6} +\frac{1}{6} = \frac{5}{6} $$
となります。人が入れ替わったところで話は同じなので
$$ P(E_3)= \frac{5}{6} $$
です。
最後に$p_1$、$p_2$、$p_3$の比較ですが、条件付き確率の条件となっている部分は実は全部同じです。ゆえに$p_1=p_2=p_3$で⑥です。
前回述べた通り、条件付き確率を感覚で捉えるのは危険なのですが、今回は条件の確率値が全部同じなので、公式にあてはめても同じ計算をするだけという先が見えているので安全です。
今回はここまで。
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