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【問題解説】センター試験平成31年度本試験ⅠA 第4問-5

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とても寒くなってきた今日この頃。

今回で去年のセンターIAも一段落かな。長かった。幾何あるけど。

次何に手を出そうかな。

 

ということで前回の続き。

問題

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解説

(4)今回は素因数分解から。

 

素因数分解自体は手の運動だからササッと終わらせよう。気をつけるのは計算ミスだけだ。


ちなみに、ここで「気をつける」ということはただの精神論ではない。ミスを軽減できるような有効な策をとるということだ。

 

何も与えられていない状況下では小さい素数から割り算を試みるのが常套手段なのかもしれないけど、問題文はひとつの2といくつかの7で割り切れることは教えてくれているのだから、そこは従順にそれらの数のわり算から始めよう。

 

すると
$6762=2 \times 3 \times 7^2 \times 23$
と求まる。

 

本題はこの後だ。$N$を自然数として
$b(b+1)(b+2)=6762N$
となる最小の$b$を見つける問題。

 

この形を見ると(3)の問題にでてくる条件が使えそうな気持ちになるけど、6762がすでに6の倍数なので、満たしていることの確認にしかならない。

 

ということで問題文をちゃんと読んでみることにしよう。
$b$、$b+1$、$b+2$ のいずれかが$7^2$倍数で、いずれかが$23$の倍数と書いてある。この二つの数って、この大問が始まったときの最初の式
$49x-23y=1$ 
の左辺の係数と同じになっている。これをたまたまか仕組まれたものかと考えるのは人の好みだけど、たまたまと思う人もほかに策がないのであれば、仕組まれたものとして疑ってみるべきだ。

 

活用する目で見れば(1)も(2)も似た話で、それぞれの値に文字がついたものの差が左辺になっている。この差はこの(4)において何を意味しているだろうか。

 

そもそも$7^{ 2 }=49$とか$23$はなんだったかというと、素因数分解することで得られた素因数だ。素数で分解すると、整数においてはそれ以上に細かい積では表現できないし、登場する素数の種類と登場回数で言えば一意(一つのパターン)に表現できる特徴がある。

 

異なる表現をすると、素数を用いない積の表現があれば、それは更に1パターンの素数の積の形に分解できるということだ。
(4)ででてきた$b(b+1)(b+2)$は連続する3整数で、1,2,3以外の組み合わせでは必ず合成数が含まれる(2以外の偶数は合成数)。

ということは、$b$、$b+1$、$b+2$のどれかに$7^{ 2 }$の倍数を含むし、どれかに$23$の倍数を含むということだ。

 

$7^{ 2 }$の倍数を$49x$、$23$の倍数を$23y$と表すことにすれば
$|49x-23y|=0$
$|49x-23y|=1$
$|49x-23y|=2$
のどれかのパターンになる。$|49x-23y|=0$だと含まれる場所が同じということになるけど、いま求めたい$b$は最小のものだから、$49 \times 23$を計算パーツに持つものは数が大きくなる予想が簡単にできる。

 

つまり、
$|49x-23y|=1$
$|49x-23y|=2$
から得られる$b$が候補と考えても良さそうだ。

 

ここからそれぞれのパターンを計算するわけだけど、計算の大部分は(2)ですでに実施済みだ。
この中で
$49x-23y=-2$
のとき、$x=7$と$y=15$で最小となり(差が負だから$23y$のほうが大きい数で、差の値が$2$だから$23y=b+2$)、
$b+2=23 \times 15 =343 $
と求まる。

 

誘導があるおかげで面倒な場合分けもそれぞれ掛け算してみるだけになるわけで、ここは泥臭い計算は避けたいところだ。
形や数が同じことを偶然と思わず、活用する術を考えてみる。
ここで有効な策は、”定量的な表現"と"定性的な表現"を往来する「翻訳」という作業になる。

 

この辺の、抽象的だけどとても役に立つ戦略をテーマに記事にしてみるのもいいな、と思い始めたこの頃。

 

 

 

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