今回もそこそこのインターバルをもっての更新ですみません。
ブログデザインをポップな感じにしてみました。なかなか気に入っています。
で。今回で、必要最低限の観点では、平成30年度のIAは終わりです。
前回整数問題のアプローチについて延々語りましたが、この問題も同じ目線で順番にスから考えます。倍数、余り、約数の個数なんて単語が使われています。倍数と余りは、倍数を余り0の数字たちと考えれば同類です。
今わかっていることは、
$
144 \times
$ス
の約数の個数が18個ということです。約数の個数の出し方はセンター試験が去年から聞き続けていて、詳しいところはショートカットするので、過去の記事を読んでみてください。
www.mathbanker.info
一般的に数学において答えにたどり着くプロセスは、複数あります。ピタゴラスの定理の証明なんて数百通り!時間がたっぷりあるならいろんな解法を探ってみるというのも確かに面白いのですが、制限時間内に解くという観点では、ちゃんと波乗りすることが重要です。波に乗るということは、解いた問題がその後に活かせるということなので、時間的なショートカットが期待できるわけです。
かつ。波にちゃんと乗れれば、出題者はこう解かせたかったのねということがわかり、ときとしてそれが面白いときもあります(つまんねー解き方してんなと落胆することもありますが、まーそれはそれで)。
で、じゃー波に乗るってどうするの?ということですが、たまたまと思えることをたまたまと思わないことです。この考え方って別に数学に限った話ではないと思いますが、今は数学の話をしているのでいつかその辺はコラムで話したいと思います。
で、この問題でたまたまでしょと捉えられるところはどこかと問われたならば、$144$とか$7$とか$1$といった数字が登場しているところです。$7$とか$1$はともかく、$144$をたまたま同じ数が選択されたと考えるのはナンセンスです。
次に、前の問題の中でこれらの数の何がわかったのかを振り返ります。たまたまの登場ではないとすると、それらの数について使える共通のなにかがあるはずです。
見つかったのは、$144$については素因数分解した表現、$144$と$7$と$1$の全てを絡めた形では$144x-7y=1$の一般解です。こういったことと、今回の問題の共通点が利用できると流れに乗っているとなるわけです。
全員登場している後者の形が使えないかなと考えたときに、まず考えられる手立てとして問題文を定量化してみるという策があります。僕はときどき翻訳なんて表現を使ったりしますが、数学なので日本語で書かれた文章を数式で表現してみるという行為は常套手段なわけです(もちろんその逆も)。
で、今回$144$と$7$と$1$が使われている文が示していることは、約数が$18$個になるような数は、$144$の倍数だし、$7$で割ると$1$余るよということです。つまり、一つの数字が二通りで表されると言っています。二通りで表せるということは定量化したらイコールで繋げるということです。
僕らの頭の中には$144x-7y=1$がちらちらしています。そして↑の解釈があるわけです。
$144x=7y+1$
と式変形すれば、まさにこれが定量化した式だったのねと気付けるわけです。で、僕らはこの式であればすでに一般解を持っています。鬼に金棒です。
$x=7k+2$
$y=144k+41$
です。これを満たしてれば問題の条件を満たしていると解釈できるわけです。
このことを念頭に問題を考えていきます。
ざっくりいうと、場合の数の考え方から素因数分解した式において、それぞれの素数の指数$+1$のかけ算で求めることができました。ということは、かけ算をした結果が$18$になればよいということです。できるところまでというか、$144$部分だけ分解してみます。
$ 144=2^{4} \times 3^{2} $
ここの部分だけで約数の個数は$(4+1) \times (2+1)=5 \times 3=15$個です。目指す値の$18$個に対し、残り3個がいる状況です。個数を求めるプロセスはかけ算なので、
$5 \times 3=15$
この式をベースに右辺を$18$にするということです。スが$2$でも$3$でもない新しい素因数をもっていると、少なくとも$2$倍になって個数は$30$個に跳ね上がります。ということで既存の素因数でスはできていることがわかります。もちろんスは$5$や$3$の数を増やすことはできても減らすことはできません。で、$3$を$4$にするだけで$20$まで増えてしまうので、$5$のほうを$6$にすることを考えると
$6 \times 3=18$
でいい感じです。
ということでスの正体は$2^{1}$だったとわかります。これが$144$の倍数となっているか、或いは$7$で割ると$1$余るかを確認すると丁寧です(マーク式だから確認せずとも、解答欄いは$2$しか入りようがない)。どっちで判定してもいいのですが、もちろん前者がそのままの形をしているので用いると、$2$が$x=7k+2$の$x$だったらいいわけです。見た瞬間、$k=0$じゃんとなります。
次に約数の個数が$30$個のときを考えます。$18$個のときと同じ態度で挑みます。
$5 \times 3=15$
がベースです。右辺が$30$になることを目指します。パッと見$2$倍じゃんときっと思ったはずです。$2$でも$3$でもない新しい素因数を一つ持ってくると$2$倍で$30$個になります。忘れちゃいけないのが、既存の数$2$とか$3$の個数を増やして調整して$30$になることはないのかということです。最小の値がセソなわけで、素数の小さいブラザーズ$2$と$3$の諸行無常は見逃せません。
一方で、
$144 \times $セソ
のセソは$x=7k+2$の形をしていないと条件を満たさないことになります。
かけ算して$30$になる整数の組み合わせは、$5 \times 3 \ (2^{4} \times 3^{2})$を基準に考えると
$6 \times 5$
$3 \times 10$
のどちらかしかありません(例:$2 \times 15$は$2$が基準から作れない)。で、今最小の値が知りたいので、これら指数と素数$2$と$3$の組み合わせは
$6 \times 5 \Rightarrow 2^{5} \times 3^{4} \Rightarrow$セソ候補 $=18$
$3 \times 10\Rightarrow 2^{9} \times 3^{2} \Rightarrow$セソ候補 $=32$
となります。でもセソは$x=7k+2$の形をしてなきゃいけないわけで、$2$ひいた値が$7$の倍数になってるかを考えると、どっちもなっていません。残念。
ということで、セソは$2$も$3$も含まない、第三の素因数$1$つでできていることがわかります。で、それが$x=7k+2$の形をしているわけです。
こうなったら$k$に値を代入していって、素数になった値が最小の値で答になるものです。$k=1$から順番に計算すると
$9 \ (k=1)$
$16 \ (k=2) $
$23 \ (k=3)$
で$3$つ目にみつかりました。
$144 \times 23$
が素数が$30$個で最小のものになります。
今回はここまで。次回は2Bに行くか、選択問題に手を出すか悩み中。今のままだと1Aの人だしなぁ…。あと何か新しい試みも考えてみるかな。