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理科大入試で学ぶ数学講座 2020理2-(1)

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久々に亀的速度の問題解説編。

問題

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解説

(1)(a) この問題が難しいと思っている人は少ないんじゃないかと思いつつ、だからこそ、ボクらは解ける問題が何故解けるのかということについてちょっとだけ触れてみる。

 

まず直線$l_1$から求めていこう。

この問題がさくっと解けるのは、

「接線の求め方」を知っているから

というのがわかりやすい理由だと思う。

なにをそんな当然なことを、と思われるかもしれないけど、ボクらには

知っていること

知らないこと

がある。普段のコミュニケーションでは時々知らないことを知っているふりをしたり、知っていることを知らないふりしたりすることがあるが、問題解決においてはその態度は害悪でしかないにも関わらず、自分とのコミュニケーションという解釈なのかやってしまうことがある。問題を解くときには自分に正直にその分類を受け入れて考えてみる。

 

ここで注意しなきゃいけないのは、知らないから解けないというロジックの一助をしたいわけじゃない。知っていることと知らないことを確認できたなら、知っていることで問題解決の道筋をデザインすることができるわけで、そのための道具を明確にしておくということだ。

 

接線を求めるには、接線=直線なわけだから傾きと通る点(切片はその代表的なものの一つ)が必要なわけで、

傾き→微分係数

通る点→接点

で与えられる。

 

ここで微分係数?接点?となるのなら、教科書をやり直せばいいだけの話だ。

 

この問題で

傾き→$2a \times 1$

通る点→$(1,a+1)$

となるから、求める接線は

$$y=2a(x-1)+a+1$$

これを計算して

$$y=2ax-a+1$$

と求まる。

 

次に直線$l_2$を求めよう。

先ほどと同じ要領で考えてみると、傾きには二つの解釈があり、通る点(接点)は与えられていないということがわかる。

 

数学において等式を立式することはよくあることだが、読んで字のごとく等しい符号=(イコール)を使って左右をつなぐ。つまり、イコールの左におかれたものと右に置かれたものが同じだということを意味してるわけだけど、この左右にあるものが本当に全く同じものなのだとしたら多分あまり価値がない。

例えば、

1=1

みたいな等式がありがたいシチュエーションってあまりないんじゃないかと。左右に置かれるものが一見違うんだけど、実は同じだよというときに等式という表現が価値を持ち始めると考えている。

そして、その「一見違うけど同じもの」こそが”解釈”であって二つの解釈があれば一つの等式を組み立てることができる。

 

じゃ、そもそもなんで等式なんて作るの?ってところを考えてみたい。換言すれば、等式を作っていいことあるの?ということだ。

ボクが感じる等式を作る一番のメリットは、文字の消去だ。解答には使えない、勝手にこちら側で置いた変数一つにつき一つ等式があれば、なかったことにできる。

 

そういう目線で改めて問題を考えると、傾きには二つの解釈があり、通る点(接点)は与えられていないということは、

傾き→等式が作れる

通る点→わからないから文字で置いてみる

とすることで置いてみた文字が等式で削除できるから求めることができそうだという見立てがつく。

 

実際に計算していこう。

まず通る点を$(s,as^2+1)$とおいてみる。接線の傾きは、微分係数と$l_1$と直交するという条件から2通り考えることができて、それらは同じ傾きを表すから

$$2as=-\dfrac{1}{2a}$$

$s$は勝手に持ち出した文字だからこれを消去する形で

$$s=-\dfrac{1}{4a^2}$$

書ける。

 

これで通る点は

$$\left( -\dfrac{1}{4a^2}, \dfrac{1}{16a^3}+1  \right)$$ 

となることがわかる。これで通る点がわかったから、傾きと通る点から直線を表現することができて、

$$y=-\dfrac{1}{2a} \left( x+\dfrac{1}{4a^2}  \right) +\dfrac{1}{16a^3}+1 $$

となり、これを計算して

$$y=-\dfrac{1}{2a}  x -\dfrac{1}{16a^3}+1 $$

と求まる。

 

今回はここまで。