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理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1-(2)-(b)

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今回は、間が空いてしまっていたこのシリーズ。今回は、理科大というか、共通試験とかにでてきそうな問題。

問題

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解説

モノを数えるときとか、確率を計算するときとか顕著だけど、そんな分野を制限せずに、何だったら数学さえも飛び越えて、常に考えたいのが

どうやったら楽をすることができるか

ということ。

 

努力をすることが金科玉条みたな考え方は、日本文化のいいところでもあり、とても悪いところでもある。いい面はさておき、どこが悪いとこかというと、

盲目的になにかに時間を費やす行為

を努力と呼んでしまうことが多々あることだ。限られた時間を有効に使うためには、楽をする方法について考えてみることは有益だ。

 

いま、この問題では7枚のカードから3枚を取り出すことを考える。他に条件がなければ、

$$\ _{7}C_{3}=35$$

となることは容易にわかる。

 

ここから

「どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上」

を考える。

 

当然、条件があるだけ35通りより小さくなるわけで、この35通りのうち条件を満たすものと満たさないものに分かれる。勿論求めるものは条件を満たすものなわけだけど、条件を満たさない方(俗に言う、補集合)がわかっても35から引けばいいわけだから、結果どっちがわかってもいいということになる。

 

全体が二分されるとき、求めるほうが一方だとしても、求めやすい方からアプローチすれば答えが求まるなんてシンプルな作戦はシンプルゆえに色んなところで役に立つ。

 

この問題で、

「どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上」

 のカウンターパートは、

「3枚のうち、カードに書かれた数の差が1のものが存在」

となる。この辺がぱっと言えない人は命題と論証あたりが弱点なのかと。重要だからしっかり抑えておこう。

 

あとは、どっちが答えを求めるのに楽なのかを考えてみる。両方の選択肢で解法がわかるならベストだけど、選択肢が増えた分、解ける可能性が高まる。答えまでのストーリーが見えるほうを採択しよう。

 

今回は、両方のアプローチで解いてみたい。

 

① 「どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上」

補集合を考えるというのもある意味そうなんだけど、二元論的アプローチってパラダイム・シフトをするための重要なキーではないだろうか。

どうやって解くの?問題解決法が全くわからない

と思ったときは、相対的に考えてひっくり返せるところはないか、と考察してみる。7枚のカードから3枚選ぶわけだけど、これって3枚ピックアップするところでカードが動いていて、選ぶ3枚と選ばない4枚にわけている。

 

仮にカードが7枚地面に張り付いているところを考える。カードが動かなくて、行為が動くことを考えてみるということだ。

どういうことかというと、並んだ7枚とは別に、7枚のカードを用意する。3枚には選ぶ、4枚には選ばないと書いてある。これを数字の書いてある7枚のカードに一枚ずつ添えていくことを考えてみる。

$$(1,2,3,4,5,6,7)$$

に対し

$$( 選ぶ, 選ばない, 選ばない, 選ばない, 選ぶ, 選ぶ, 選ばない)$$

とこの順で対応させたとする。これは、1と5と6を選んだと解釈できる。この状況下で条件を考えてみよう。

どの2枚についても、カードに書かれた数の差が2以上

というのは、 

$$( 選ぶ, 選ばない, 選ばない, 選ばない, 選ぶ, 選ぶ, 選ばない)$$

の並べ方において、「選ぶ」と「選ぶ」の間に「選ばない」が存在しているということに他ならない。つまり

○「選ばない」○「選ばない」○「選ばない」○「選ばない」○

この○印のところに「選ぶ」が来る必要がある。これは、

$$\ _{5}C_{3}=10$$

から10通りとわかる。

 

 

②「3枚のうち、カードに書かれた数の差が1のものが存在」

書かれた数の差が1って、つまりは隣り合わせの数ということ。1から7までの数で隣り合わせの数のパターンは6通り。2つ隣り合わせの他に、あと1枚あるけどこれは残ってる数字どれでもいいから、6通りそれぞれに5パターンある。ゆえに、

$$6 \times 5 =30$$

この中に3連続となる場合も含まれていて、例えば$123$だったとすると、$12$がペアで自由な数字が$3$という解釈と、$23$がペアで自由な数字が$1$という解釈があって、ダブっている。効率的に数えているときも、泥臭く数えているときも、”数える”ときにまもるべき鉄則、漏れなくダブりなく、は忘れてはいけない(ビジネス的に言えば、MECE)。

このダブリがいくつあるかというと、123から数えて567までの5個存在する。ゆえに、この条件は

$$30-5=25$$

通り存在することがわかった。これは補集合だから、求めるべき答えは、

$$35-25=10$$

となる。当然だけど、①の解と一致した。

 

数学に限らず、二元論的アプローチ、相対的に考えてカウンターパートから捉えてみることって、難しい局面を打破するために一つとても有益なツールになる。結構、問題解決って観点で、数学と数学以外のこと繋がること結構多いんだよね。

 

今回はここまで。