数学が好きなサラリーマンのブログ

数学が好きなサラリーマンのブログです。数学ネタから大学受験数学、ビジネスやライフスタイルまで数学が好きなサラリーマンの頭の中を大公開しています。

理科大入試で学ぶ数学講座 2020理1

f:id:mathbanker:20180925144149j:plain

今回から、2020年度入試(つまり最新のじゃなくて、一つ前)の問題解説スタート。

常に最新じゃないところあたり、微妙だよなぁと思いつつ、年度飛ぶのもなんだかなので、がんばって追いついくぞー。おー。

問題

f:id:mathbanker:20210426200856p:plain


解説

 

ちょっと前に整数問題にフォーカスあてた記事を書いたけど、偶然いい感じに整数問題。

 

巷の定石をおさらいしておくと

  1. 範囲を絞る
  2. 余りで分類する
  3. 約数を考える(掛け算で考える)

が有効な策だった。

www.mathbanker.info

 

で、問題を見てみると、ぱっと見全部入りな形をしている。問題文には不等式があるし、変数は余りで表現してあるし、式は掛け算の形をしている。

 

この状況で、武器が絞れないと嘆く人は、武器は持っているけど使い方を知らない人だ。・・とこういう言い方をすると、前回ボクも語っているわけだけど、どんなときにそれぞれのアプローチを使うのだろうと考えるに違いない。でも、忘れちゃいけないのは、考えるべきは手元の武器ではなく、目の前の敵(問題)をどうやったら倒せるか考えることだ。

 

まず、よくある物語のように、登場人物を整理しよう。役割がわからないと、特徴を活かせない。

出てくる文字は、$p$、$q$、$k$、$n$だ。このうち$n$は今回13と正体が明かされているから気にしない。

$p$、$q$は素数で、$k$は5で割ると1余る整数でしょ、って言われればそれまでだけど、正体はできる限り詳細に確認しておいたほうが有益だ。刑事ドラマで犯人を追いかけるときも、犯人に関する情報は細ければ細かいほど、追いかけることが可能になるわけで、要はそれと同じだ。

 

で、詳細にって何よ、と思うかもしれないが、それは範囲を確認するということだ。これまた過去の記事で述べたが、文字とその変域はセットだ。文字だけ与えられて、つい満足しそうになるけど、その変域が答えられない場合はちゃんと確認する習慣をつけよう。どこからやってきた文字なのか、素性のわからぬやつを受け入れてはいけない。

 

今、$n=13$において、素数$p$、$q$は

$$p< q < 13$$

となっている。最小の素数は2だから、つまり

$$2 \leqq p< q < 13$$

ということになる。2から13の間の素数といえば、たかが知れているから、下記並べてみよう。これが、範囲を絞ることで値がわかるという、飛び飛びの値である整数ならではのアプローチだ。

 

2から13の間の素数は、

$$2, 3, 5, 7, 11$$

の5つしかない。そして、 $p$、$q$は$p< q$が成り立つので、組み合わせがそもそも${}_5 C _{2}=10$通りしかない。

 

それぞれのパターンを考えていけばいいわけだけど、代入先の式をみてみよう。

$$\left( 1- \frac{p}{n}  \right) \left( 1- \frac{q}{n}  \right) = \frac{k}{n^{2}}$$ 

整数問題だと、あえて分数の形にすることで解ける問題があるけれど、それは整数なのに分数の形をしている、ということにメリットがあるわけで、今回出てくる分数はそもそも整数といわれていないので、この形に拘る理由はない。むしろ、代入計算が厄介なので、分母は払うことにしよう。$n=13$であることに注意して

$$\left( 13- p  \right) \left( 13- q  \right) = k$$ 

 となる。

 

10パターンの組み合わせをこの式に代入していって、出てきた値が5で割って1余る数、つまり端数が1もしくは6になる場合に正答として選出されることになる。

 

下の分かりづらい図を見てほしい。

① 黒い縦に並んだ数字の左側が$13- p$、右側が$p$

② 黒い横に並んだ数字の上側が$13- q$、下側が$q$

③ ①の左、②の上の数字が10の場合、何をかけても5で割って1余る数にはならないから塗りつぶしてある

という図だ。この図で5で割って1余る数は66と16だから、答えは、

$$(p, q)=(2, 7), (5, 11)$$

となる。

f:id:mathbanker:20210426204903p:plain

 

色々武器を知ったら、使い方も大切だけど、それ以上に目の前の問題がどうなのかを考えてみる、という姿勢が大切なわけで、ボクはこのことを漫画「ONE OUTS」の渡久地東亜から学んだ。

 

やっぱり、漫画から学ぶことってあるよね。

 

ONE OUTS 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ONE OUTS 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:甲斐谷忍
  • 発売日: 2013/02/19
  • メディア: Kindle版
 
ONE OUTS 全20巻 完結セット (ヤングジャンプコミックス)

ONE OUTS 全20巻 完結セット (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者:甲斐谷 忍
  • 発売日: 2011/02/28
  • メディア: コミック