今回から、2020年度入試(つまり最新のじゃなくて、一つ前)の問題解説スタート。
常に最新じゃないところあたり、微妙だよなぁと思いつつ、年度飛ぶのもなんだかなので、がんばって追いついくぞー。おー。
問題
解説
ちょっと前に整数問題にフォーカスあてた記事を書いたけど、偶然いい感じに整数問題。
巷の定石をおさらいしておくと
- 範囲を絞る
- 余りで分類する
- 約数を考える(掛け算で考える)
が有効な策だった。
で、問題を見てみると、ぱっと見全部入りな形をしている。問題文には不等式があるし、変数は余りで表現してあるし、式は掛け算の形をしている。
この状況で、武器が絞れないと嘆く人は、武器は持っているけど使い方を知らない人だ。・・とこういう言い方をすると、前回ボクも語っているわけだけど、どんなときにそれぞれのアプローチを使うのだろうと考えるに違いない。でも、忘れちゃいけないのは、考えるべきは手元の武器ではなく、目の前の敵(問題)をどうやったら倒せるか考えることだ。
まず、よくある物語のように、登場人物を整理しよう。役割がわからないと、特徴を活かせない。
出てくる文字は、$p$、$q$、$k$、$n$だ。このうち$n$は今回13と正体が明かされているから気にしない。
$p$、$q$は素数で、$k$は5で割ると1余る整数でしょ、って言われればそれまでだけど、正体はできる限り詳細に確認しておいたほうが有益だ。刑事ドラマで犯人を追いかけるときも、犯人に関する情報は細ければ細かいほど、追いかけることが可能になるわけで、要はそれと同じだ。
で、詳細にって何よ、と思うかもしれないが、それは範囲を確認するということだ。これまた過去の記事で述べたが、文字とその変域はセットだ。文字だけ与えられて、つい満足しそうになるけど、その変域が答えられない場合はちゃんと確認する習慣をつけよう。どこからやってきた文字なのか、素性のわからぬやつを受け入れてはいけない。
今、$n=13$において、素数$p$、$q$は
$$p< q < 13$$
となっている。最小の素数は2だから、つまり
$$2 \leqq p< q < 13$$
ということになる。2から13の間の素数といえば、たかが知れているから、下記並べてみよう。これが、範囲を絞ることで値がわかるという、飛び飛びの値である整数ならではのアプローチだ。
2から13の間の素数は、
$$2, 3, 5, 7, 11$$
の5つしかない。そして、 $p$、$q$は$p< q$が成り立つので、組み合わせがそもそも${}_5 C _{2}=10$通りしかない。
それぞれのパターンを考えていけばいいわけだけど、代入先の式をみてみよう。
$$\left( 1- \frac{p}{n} \right) \left( 1- \frac{q}{n} \right) = \frac{k}{n^{2}}$$
整数問題だと、あえて分数の形にすることで解ける問題があるけれど、それは整数なのに分数の形をしている、ということにメリットがあるわけで、今回出てくる分数はそもそも整数といわれていないので、この形に拘る理由はない。むしろ、代入計算が厄介なので、分母は払うことにしよう。$n=13$であることに注意して
$$\left( 13- p \right) \left( 13- q \right) = k$$
となる。
10パターンの組み合わせをこの式に代入していって、出てきた値が5で割って1余る数、つまり端数が1もしくは6になる場合に正答として選出されることになる。
下の分かりづらい図を見てほしい。
① 黒い縦に並んだ数字の左側が$13- p$、右側が$p$
② 黒い横に並んだ数字の上側が$13- q$、下側が$q$
③ ①の左、②の上の数字が10の場合、何をかけても5で割って1余る数にはならないから塗りつぶしてある
という図だ。この図で5で割って1余る数は66と16だから、答えは、
$$(p, q)=(2, 7), (5, 11)$$
となる。
色々武器を知ったら、使い方も大切だけど、それ以上に目の前の問題がどうなのかを考えてみる、という姿勢が大切なわけで、ボクはこのことを漫画「ONE OUTS」の渡久地東亜から学んだ。
やっぱり、漫画から学ぶことってあるよね。