今日は久々に仕事でミスを連発してしまった。こんなときは、少し反省して、次への備えをしたら、数学の問題を解いて忘れるのが一番だ。うん。
問題
解説
(3)
積分の極限を求める問題。頑張って積分計算して、極限を考えようとしてもうまくいかない。だって、この積分。計算ができない。計算ができない事自体は、実際軽く挑戦してみればわかる。
ここで少し意識したいのは、極限とセットで出てくる積分計算について。
微分の計算は、出題者がテレビ見ながら作っても成り立つようにできるけど、積分はあえて解けるように設定しないと計算はできない。でも、解けない計算問題でも、極限ならわかるということがある。これは、漸化式でも同じだ。
極限とセットで出てくる積分計算や漸化式は、解けないけど、何らか不等式で挟み込めば、「はさみうちの原理」で答えを求められることが多い。
解こうと思って解けなかったら、「あ、なんかで評価するのね」と思えばOKだ。
で、この問題でも評価するわけだけど、どんな大小関係が言えるのよ、と思うかもしれない。数学の問題で、あれ?と手が止まったときにやってみることの一つとして、誘導に乗れているか考えることだ。それはつまり、前問の結果が使えないかなと振り返ってみるということだ。
前問でボクらは、$x \leqq 2$において
$$f'(x)<0$$
であることを示している。これみて「あーなるほどね」と思える人はいいけど、「これ、どーするの?」と思った人は、一度”翻訳”してみることを考えてほしい。
ここで”翻訳する”とは、定量化されている数式を定性的に表現することだ。平方完成された式をみたときに、頂点が(〇, 〇)となる二次関数、と表現するような行為のことだ。
それをこの不等式でも考えてみる。「導関数が負になっている」ということは、その範囲において「関数が単調減少になっていること」と翻訳することができるはずだ。
単調減少になっているならば、前後の値を使ってはさみうちの形(鬼滅感があるな、この表現)を作ることができる。
でも、関数の前後の値ってなんだよ、と思った人へ。
数学において、
変数とその変数がもつ範囲は必ずセットで意識すべし
という大原則がある。文字変数は書いただけではただの文字なわけで、その文字が何なのか、どこの範囲で・集合で成り立っているのかを常に確認する作業は大学数学においても必須な姿勢だ。
それは、積分変数においても同じだ。特に定積分の場合、積分変数はその積分区間と一致する。
つまり、
$$\int_{n}^{n+1}f(x)dx$$
を考えるとき、この$x$の範囲は
$$n \leqq x \leqq n+1$$
となることを意味している。
で、今単調減少になっているわけだから、 $n \leqq x \leqq n+1$において
$$f(n) \leqq f(x) \leqq f(n+1)$$
が成り立つ。あとは、各辺を積分すれば、中央が$a_n$になるので
$$\int_{n}^{n+1} f(n)dx \leqq \int_{n}^{n+1} f(x)dx \leqq \int_{n}^{n+1} f(n+1)dx$$
の両サイドを計算してみる。積分変数が$x$の式の中で$n$はただの定数なので、超簡単に計算ができる。
$$\int_{n}^{n+1} f(n)dx=f(n)\left\{ (n+1)-n \right\} =\dfrac{n^2}{1+n+n^3}$$
これは、とっても易しい極限計算だと思うけど、最高次の$n^3$で分母分子を割ればよくて
$$\dfrac{n^2}{1+n+n^3} \rightarrow 0$$
とわかる(というか、分母の整式のほうが次数が高いから明らか)。
左辺の極限が0になったから、はさみうちで飛んでいく値は0じゃないと困るわけで、それを目指しながら右辺も計算していこう。
$$\int_{n}^{n+1} f(n+1)dx=f(n+1)\left\{ (n+1)-n \right\} =\dfrac{(n+1)^2}{1+(n+1)+(n+1)^3}$$
$n+1=m$とおけば、当然$n \rightarrow \infty$のとき$m \rightarrow \infty$なわけで、
$$\dfrac{m^2}{1+m+m^3} \rightarrow 0$$
と先ほどと同じ結論を得る。
ゆえにはさみうちの原理より
$$a_n \rightarrow 0$$
とわかる。
解けない積分計算・漸化式の極限は、はさみうち。解けないことが、問題を解くことのヒントになる感じ、探偵モノっぽい感じがしていいね。うん。
今回はここまで。