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整式の展開を語る

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確か中学一年生にならう整式の展開。因数分解と違って、手の運動的な領域の認識の人も多いと思うけど(それはそれで間違ってないけど)、ちょっとした意識を持つだけで早く計算することができる。

 

学校で習ったときは

$(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd$

の一本槍での戦いばかりだった。これはこれで、展開の公式がなぜ成り立つかとかその辺の仕組みを理解するための序章として避けて通れないわけだけど、ただの作業の段階になってからはひたすらに苦行に違いない。

 

2項かける2項の展開のうちはまだいいけど、

$$(x^2+3x+4)(2x-1)$$

とか

$$(x-1)(2x+1)(x+2)$$

とかになると、結構しんどい。頑張れば答えにたどり着けるだけに、「わからない」とは言わないけど、この道を歩けば頂上につくとはわかっている的に山登りと似た辛さがそこにある。

 

山登りが好きな人がたくさんいるのは知っているけど、ボクは現実に山登りは苦手だし、同じ感覚でゴリゴリ計算するのも楽しいとは思えない。

 

高校になると便利な公式、二項定理を習う。

$$(a+b)^{n}=\sum_{k=0}^{n} \ _{n} C_{k} a^{k}b^{n-k}$$

という公式だ。この公式、高校では組み合わせの計算のところでしか登場しないと思っていた$\ _{n} C_{k}$が展開公式ででてくるところあたり、印象に強いけど、重要なのはこの仕組みのほうだ。

 

細かい証明はほかのサイトに譲るけど、係数をパターンで捉えているところが肝となる。結局展開式は、同じかっこの中における掛け算は行わなず、全パターンの組み合わせの計算をするわけだから、係数が1の場合は二項定理で、そうじゃない場合もそのパターンがどのように構成されるかを意識すれば計算ができる。

 

そんな目線でさきほどの式

$(x^2+3x+4)(2x-1) $ $\cdots$ ①

$(x-1)(2x+1)(x+2)$ $\cdots$ ②

 を考えてみよう。

 

 ①は、2次式と1次式の掛け算を行うわけだから、展開後は3次式となることは容易にわかる。ということは

$$ax^3+bx^2+cx+d$$

という形をしているはずで、この$a,b,c,d$がわかればいい。それであれば、完全にバラバラに分解した後にこの形に再形成しなくても、一つずつ考えていけばすぐにわかる。

 

$x^3$の項は、$x^2$の項と$x$の項の掛け算からしか生まれない。これは1通りしかないから、

$$x^2 \times 2x=2x^3$$

となる。

 

$x^2$の項は、

$x^2$の項と定数項

或いは

$x$の項と$x$の項

の2通りで構成される。

$$-1x^2+6x^2=5x^2$$

 

$x$の項は、

$x$の項と定数項

或いは

定数項と$x$の項

の2通りで構成される。

$$8x-3x=7x$$

 

定数項は、

定数項と定数項

の1通りで構成される。

$$4 \times (-1)=-4 $$

 

説明のためにだらだらと書いているけど、どれも暗算で計算できるレベルの値だ。結果として、

$$2x^3+5x^2+7x-4$$

と直接求めることができるはずだ。

 

同じ要領で②も計算することができる。1次式を3つかけているから展開式は3次式となる。先ほどと同じように係数がどう構成されるか意識して計算してみる。

 

最高次の項と定数項はかけるだけなので、2次の項を考えてみよう。3つのかっこから一か所だけ定数、残り2か所から一次の項を取り出したときに2次になるから、どこから定数項をとるかで3パターンあることがわかる。定数項をとるかっこを順番に計算すると、

$$-1 \times 2 \times 1 + 1\times 1 \times 1 + 1 \times 2 \times 2=3$$

とこれも暗算レベルだ。

 

同じ要領で1次の項も暗算すれば簡単にわかるけど、ここでもう1テク。

$x=1$を代入したら0になる式なので

$$2x^3+3x^2+cx-2$$

に $x=1$で計算すると$c=-3$と瞬殺できる。

 

シンドイものが目の前にあるときに、ひたすら手の運動で筋肉を鍛えるのもいいけど、どうすれば楽することができるかということは常に意識したいところだ。