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【問題解説】センター試験平成31年度本試験ⅠA 第4問

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部屋のスピーカーを全部SONOSにしたいけど、今のスピーカーたちをどうすべきか。。。やっぱりスピーカーブランドって目移りせずに一つのブランドに徹するべきだな。

ということで今回から第4問。

問題

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解説

 


問題文の出だしでズバリ明言してあるとおり、不定方程式の問題。具体的な式に目を向ければ、一次不定方程式の問題とわかる。

 

不定方程式」というお題目のもとで習ったことを覚えている人は、あ、あれね、とすらすら解けるだろうし、名前を聞いてピンとこない人は少し身構えるものと思われる。

 

多分、巷の塾や学校とかでは、ちゃんと勉強した人なら解けるし、サボった人には難しい、いい問題だと評される類の問題だ。

 

一次不定方程式

ユークリッドの互除法を使って、一つ解をみつける

代入した形の式と元の不定方程式の両辺をそれぞれ引いて、互いに素であることを用いて一般解を求める

 

こんなルーチンで求めることができる。

 

このユークリッドの互除法あたりの考察をしながら、問題を解いていくのもいいけど、それは別の機会に特化した記事を書くことにして(急ぎ知りたい人は「ユークリッドの互除法」とか「不定方程式」とかでググれば、世の中の大勢の優しい人たちが親切な解説をしてくれているサイトがみつかるはずだ)、今回は

 

数学の勉強は頑張ったけど、たまたま一次不等式のところを怠っていたら、見事試験にでてしまった

 

というパターンを想定して考えてみたい。

 

まず、自然数$x$が最小となるような$x$と$y$を求める問題。マーク式解答欄の形から一桁であることは明らかなので、総当たり作戦をとったとしても、9通りだ。1から9までの数を$x$に代入して、得られる$y$が整数となったものが答になる。

 

とはいえ、地道な物量作戦をとるときにでも、少しでも楽できないか考えることは、数学の肝だと思っている。

 

$y$の判定行為がやりやすいように式変形をしておこう。
$y=\dfrac{49x-1}{23}$
が整数になればいい。がしかし、まだ$x$に次々と値を代入して計算するには、係数がでかくて面倒だ。

 

ここで、整数問題に対する一般的な態度を確認しておきたい。
過去にも何度かこの説明はしているけど、整数問題が何故に整数問題と呼ばれるかというと、そのままずばり整数の性質を持って問題を解く(考える)からだ。じゃ、その整数の性質ってなんだろう。

 

大学数学になると、ここから深遠な議論が始まりかねないが、そこまで考えずともボクらが整数を整数として感じる整数ならではのこと、というのを思い出してみたい。整数という数字の集合体はどんな特徴もっているのだろう。

 

やっぱりなんといっても、まずはとびとびの値である、ということだ。ある整数と次の整数の間には隙間がある。これは大きな特徴の一つだ。ゆえに、例えば不等式で囲まれたときに、その範囲次第では値を有限個に絞ることができる。

 

でも、
$1.5, 2.4, 3.2,\cdots$
という数列だってとびとびだけど、整数ではない。らしさを考えたときにまだ足りていない要素がある。実数全体から整数をもってきたときに、そこに特徴づけられたものが他にある。

 

それは、四則演算すべてが整数で完結しない、ということだ。具体的にいうと、整数同士で足し算や引き算、掛け算はいくら計算しても整数であり続けるけど、割り算に関してはそうはいかない。割り算に関して特別なルールがある、というところに整数らしさが潜んでいる。

 

この辺を突き詰めていくと高校数学を飛び出してしまうので、そのあたりを深追いしたい人は大学数学の整数論代数学の本を漁ってみるといい。

 

じゃ、割り算の特別なルールって何だっけというと、割り切れる数と割り切れない数があって、割り切れない数には余りがある(しかもその余りには周期性がある)ということだ。

つまり、任意の整数$n$は、別の任意の整数$m$を使って、

$n=m\times q+ r$

と表すことができる。ここで、$q$は$0\leqq q$、$r$は$0\leqq r < m$の範囲にある整数だ。

これって、割り切れない数について、割り切れる部分の最大パート$m\times q$と割り切れない部分の最小パート$r$にわけて表している、という解釈もできる。

 

と、ここまで話したところで元の問題に戻りたい。ボクらは、
$y=\dfrac{49x-1}{23}$
をみたすような最小の自然数$x$とそれに対応した自然数$y$を求めたいんだった。で、数がでかすぎて物量作戦でいくにも数がでかすぎるよというのが悩みだ。

 

求めたいものが、ちゃんと整数であるかどうかの判断は計算した結果が整数であればいいわけで、数がでかくてそれが面倒なのであれば、整数なんだから、さっきの「割り切れない数について、割り切れる部分の最大パート$m\times q$と割り切れない部分の最小パート$r$にわけ」るということができそうだ。

実際にやってみると
$y=\dfrac{49x-1}{23}=\dfrac{(23\times 2+3)x-1}{23}$
$=\dfrac{23 \times 2x+3x-1}{23}=2x+\dfrac{3x-1}{23}$
とできる。

すると割り切れるパートだった$2x$部分は、全体が整数がどうか判断するのに関係がなくて、
$\dfrac{3x-1}{23}$

が整数なのかということを考えればよくなる。これだったら簡単だ。分子はおよそ$3$の倍数なわけだから、$23$で割り切れるためにはそもそも$x=8$から代入すればいいことがわかる($8$未満だと分母より分子が小さいので割り切れるわけがない)。で、$x=8$を代入するといい感じに割り切れるので、
$x=8$
$y=17$
だとわかる。

 

アイウしか計算してないけど、長くなった&次の話も長くなりそうなので、続きは次回

 

 

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