漸化式の問題を解くときに出てくる特性方程式の解法は鮮やかだけど、なんでそれで解けるんだっけと学生時代よく考えていた。
なんで違うものを同じ文字でおいて、それが都合よく解答につながるんだよって。
たとえば、漸化式
$a_{ n+1 } =2a_{n} -5, a_{1}=6$
から一般項を求める問題。
$\alpha=2\alpha -5$
とおいて、
$\alpha =5$
となることから
$a_{ n+1 }-5 =2(a_{n}-5)$
と変形できて
$a_{n} -5=1 \cdot 2^{n-1}$
と求まる。
この$\alpha$だ。たしかにこうおけば解ける。でも何故なぜこうおくと鮮やかに解答への道ができるのか疑問だった。
あの頃のボクはそれが気になって気になって仕方なかったけど、先生とかに聞いてもいまいちしっくりくる答えをくれなかった。
等比数列にしたいから、
$a_{ n+1 }-\alpha =2(a_{n}-\alpha)$
となるような値が欲しくて、
これを解くとちょうど置き換えたような形になるんだよ
って、そのちょうどという奇跡が突飛すぎて、そこに何か根拠はないのかとひっかかっていた。
そして悶々と紙とペンを消費し続けた結果、辛うじてたどり着いた見解(解釈)がある。今回はそれを紹介したい。
$a_{ n+1 } =2a_{n} -5$
を
$a_{ n+1 }-\alpha =2(a_{n}-\alpha)$
という等比数列の形にしたいってところまでは、キモチはわかる。
$-5$を分解して両辺にわけることで、両辺に同じ形を作り出したい、ということだ。この行為と、数列部分を$\alpha$とおくことをつなげる何かを見つけたい。
式を眺めて考えてみると、ただ辿り着きたい式があって、その実現のために$-5$を両辺に同じ数列の形になるように分配したいだけだ。数列の形を作りたいだけで、数列的な特徴を用いた作業をしたいわけではない。数列を一旦忘れて、何か別のものと接点はないかと思い巡らせてみる。
そこで気づいたのは、直線の方程式だった。
点$(a,b)$を通る傾き$\beta$の直線は
$y-b=\beta(x-a)$
となる。
というこれだ。
繰り返すけど、今やりたいのは$-5$を分配することだけなわけで、数列は関係ない。関係ないんだから別の文字で置くことを考えると、元々の漸化式は
$y=2x-5$
を
$y-\alpha=2(x-\alpha)$
と変形したい
と読み替えることができる。
ここで、下の式が$(\alpha,\alpha)$を通る傾きが2の直線の式の形をしている。
つまり。
$-5$を分配することにだけ着目すれば
直線$y=2x-5$が点$(\alpha,\alpha)$を通るとき、$\alpha$を求めよ
と同じということだ。
さらに言わずもがなだけど、点$(\alpha,\alpha)$は$y=x$上の点を表すので、
直線$y=2x-5$と直線$y=x$の交点$(\alpha,\alpha)$を求めよ
とも同じだとわかる。
すると、あとは
$y=2x-5 \cdots$ ①
$y=x \cdots$ ②
の連立方程式を解くだけだ。
②を①に代入して
$x=2x-5$
という式が完成する。
これって数列に戻して考えてみると、
$y=2x$
$\Leftrightarrow$
$a_{n+1}=2a_{n}$
というのは等比数列を表していて、
これを$y=x$線上の点であれば、その分だけ平行移動したものであれば、
$y-\alpha=2(x-\alpha)$
$\Leftrightarrow$
$a_{n+1}-\alpha=2(a_{n}-\alpha)$
として等比数列であり続けるということと解釈できる。
・・・と、ボクは当時こんな感じで自分を納得させていた。違和感があったものが腑に落ちる瞬間の気持ちよさがあったのを覚えている。これがまた誰かの納得に繋がれば嬉しい限りだ。
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