なんだか久々の更新に。ただサボっていたのではなく、会社の中で異動があってスーパー激務で・・・って言い訳しても仕方ないか。
仕事も落ち着いてきたので、また淡々と。
でも、忙しいときとかに合間に数学の問題解いたり、本読んだりすると、気分転換というか、いつもの空間に入り込めている気がして、そういう意味でも普段から数学を趣味にしておくというのはいいことだと感じれたこの頃。
久々にセンターの続きを解いていこう。ここなんで?というところがあればコメントでもTwitterのDMでもなんでも、連絡くれれば多分答えるよ。そう、多分。
問題
解説
知っている人がみたら、標準化してるから平均と分散は瞬殺だねと思える問題。
でもここはあえて知らない前提で考えていきたい。知っている人も、今一度標準化とは数学的に何が起きているのかというとこを再考してみる感じで。
すぐに問題を解き始めてもいいけど、はじめに少し与えられた変換式を観察してみよう。すぐに解き始めた人は、先で悩んでしまったときにここの観察に戻ってくれば話は同じだ。
$x_{i}'=\dfrac{x_{i} - \overline{x}}{s}$
という変換は、数学的にどんな解釈ができるだろうか。標準化って 毎回同じ標準正規分布表をみれるようにする為の便利な変換という統計学的手段として捉えている人が多いんじゃないかと思うけど、数学的にどんな変換が行われているかを理解しておくというのも重要だ。
この変換の中身をみると、
平均値による引き算
と、
標準偏差による割り算
が行われている。変数変換をする際に引き算をすることと、割り算をすることはどんな効果を持つだろうか。
グラフ上の値として考えるとき、引き算は平行移動だし、割り算は拡大・縮小だと解釈できる。教科書にも書いてあることだけど、$f(x)$について、$x$軸方向に$a$平行移動した関数は$f(x-a)$だし、$x$軸方向に$b$倍拡大・縮小した関数は$f(\frac{x}{ b })$となる。
ということは、この変換は、期待値分だけ平行移動して、標準偏差倍したもの、ということだ。
とりあえずここまで抑えておいて、問題に取り組んでいこう。
まずは、$X$の偏差の平均から。
"偏差"の"平均"と言ってるくらいだから、"偏差"の式を”平均”の定義式に放り込んでみる。
$E(X-\overline{x})=E(X) - E(\overline{x})=\overline{x}-\overline{x}=0$
とできて瞬殺だ。
次に$X'$の平均を考える。これも定義式に放り込んで考えてみると(平均値は定数であることに注意)、
$E(X')=E \left( \dfrac{X-\overline{x}}{s} \right)=\dfrac{ E \left( X-\overline{x} \right) }{s}=0$
となる。せっかく求めた偏差の平均を無駄にしてはいけない。
ここで計算についてこれなかった人のために、平均値の計算をする上で重要なツールである
$E(aX +b)=aE(X)+b$
ということはしっかり抑えておきたい。この式がなぜ成立するかは平均の定義式に$aX+b$を代入して手を動かしてみればすぐにわかる。万一わからなかったら、ググってみると世の中に証明は溢れている。
次に$X'$の標準偏差を求める。標準偏差と言っても、そもそも定義が分散の正の平方根であって、これは統計量としての意味の観点から平方根が取られているので、計算上は分散を考えていくのが常套手段だ。
平均のときのように計算する上で使える分散の式は次の通り。
$V(aX+b)=a^{2} V(X)$
これも証明は定義式に代入するだけだ。
これを使って計算してみると、
$V(X')=V \left( \dfrac{X-\overline{x}}{s} \right)=\dfrac{V(X)}{s^{2}}=\dfrac{s^{2}}{s^{2}}=1$
標準化が統計的に何たるか知っている人にとっては、そもそも平均を0、分散を1とするような変数変換が標準化なので、計算するまでもないところだ。
最後の$M'$と$T’$の散布図を選ぶ問題。$M$と$T$の散布図であればすでにわかっているわけで、それぞれの変数を標準化した場合、散布図がどうなるかを考えよ、ということだ。
統計的な解釈(=標準化とは、標準正規分布を使うための変換であること)しか意識してないと、散布図がどうなるか考えるのは難しいかもしれない。我々は統計の諸々を他の学問の観点から見ているのではなく、純然と数学の観点から考えているわけで、数学的な性質を追いかけることを忘れてはいけない。
冒頭考察したとおり、
標準化とは、$X$軸に平均値分平行移動し、$X$軸方向に$標準偏差倍したもの
だった。ということは、既出の$M$と$T$の散布図をベースにこれを追いかけていけば、当てはまるものがどれかがわかる。問題は親切にも「標準偏差の値を考慮すると」なんて書いてくれているから、拡大・縮小の方を意識するのね、と解釈できる。
まずそもそも、平行移動と拡大・縮小しても図の形は不変(相似)なわけで、形が変わってしまっている①、③はすぐに対象外となる。
さて、標準偏差倍の拡大・縮小を考えると言っても、困ることに遭遇する。
拡大・縮小とは、
○から△へ□倍
というのが必要要素だ。このことを現状にあてはめると
?から1へ??倍
と一つしか情報がない。ここでどう考えるかというと、一つしか情報がないのに問題が与えられているということは可能性は2つで、
①その情報ひとつで解ける
②情報を見落としている
のどちらかだ。でも今回の場合、元の標準偏差が与えられていないのは明白なので、①しかない。
そう、
標準偏差が1になるように拡大・縮小された
ということを武器として散布図を見抜くということだ。
そうすると手がかりとしては
標準偏差が1になるように
ということだけど、もとい標準偏差って何だっけ(分散って何だっけ)ということが肝要になる。 標準偏差と分散は平方根の関係だから、わかりやすく分散を考えると、これは偏差の2乗の平均だった。これが統計的に何を意味するかはさておき、本問において
標準偏差が1になるように =分散が1になるように=偏差の2乗の平均が1になるように
と読み取れる。で偏差って何よとなればこの散布図上における各点と平均との差のことだ。そして、この平均はいま0だと求まっている。ということは偏差とは各点の値そのものになるわけで、つまり
偏差の2乗の平均が1になるように=散布図上の各点の値の2乗の平均が1となるように
ということになる。
ここまでくると答えは明らかで、すべての値が1より小さいのであればその平均が1になるはずがないので、②が正解となる。謎はすべて解けた。
今回はここまで。
また頑張って更新していくぞー。更新が止まったと思って離れた人たち、戻ってこーい。
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