巷ではハロウィンが賑やかになってきた今日この頃。ハロウィンてなんだっけ?
ということで、前回の続き。
ツは、それを問うすぐ左側に$F(x)$の定義が書いてあるくらいに明らかな問題だ。ちゃんと微分が積分の逆操作であること(微分積分法の基本定理)を理解していれば、迷わず
$F'(x)=f(x)$
と⑦があてはまることがわかる。微分と積分が逆操作の関係にあることを知らないのは、教科書で微積の分野を読んでないだけのハズだ。
で、ここで重要なのはそんな基本的なものをここで問うている理由だ。それは2つ考えられて、
- ただの確認(得点サービス問題)
- あとの問題のヒント
のどちらかだ。とはいえ、得点サービスはよかったね以上に考えることはないので、後続の問題でヒントになるのかなと心に留めておくことが肝要だ。
次に$W$を考える。$f(x)<0$とあるから負の領域の面積で、積分計算をするとマイナスででてくる(負の領域にあるとかではなくて、2つのグラフで相対的に考えるならば、$x$ 軸である$y=0$ と$f=f(x)$の差$0-f(x)$の積分と考えることもできる)ことに注意して
$W=\int_{1}^{t}-f(x)dx=-F(t)+F(1)$
となって、これは④だ(つまりテは④)。
ちなみに、この$W$を求めるときに条件にある二等辺三角形のことを考えたかもしれないが、問題の選択肢はすべて$F(x)$或いは$f(x)$を用いた形になっているわけだから、素直に積分計算をして求める面積値として取り扱っている。
最後にこの$f(x)$を求める。どうやって求めるの?と頭真っ白になる人は、問題文をちゃんと読んでみよう。$f(x)$を求める式の前の日本語(接続詞)は、したがってだ。したがってという言葉は、
[原因] したがって [結果]
という形で文を接続する。で、今この問題ではこの[結果]の部分で$f(x)$を具体化している。ということは、[原因]部分が$f(x)$を明らかにするための鍵ということになる。
じゃ、この[原因]にあたるものは何だろう。この辺がいわゆる問題誘導の誘導たる所以で、わざわざ一般になんて言葉をくっつけて、ボクらに$F'(x)$と意識させて、その後$W$を計算させている。
ここで一般にと言われてボクらがまず思い出すべきは、
抽象 ⇔ 具体
の抽象側を表す言葉だということだ。
「一般に果物って美味しいよね。したがってりんごは?」
と問われているときと状況は同じだ。一般的に成り立つんだから、個別具体的なものでも成り立つよねという論法だ。
つまり一般的に微分積分法の基本定理が成り立つから、この問題でも成り立つよねといっていることになる。
そして、もう一つの[原因]パーツである$W$について。テでは上述の通り、条件にある二等辺三角形については触れておらず、積分計算で求める積分値として計算をした。
ということはここで二等辺三角形を使わないと使わない条件になってしまうという打算的な考え方と、したがっての[結果]パーツで$t$の多項式(或いは$f(x)$の具体式)を登場させるためのツールとして、Wが二等辺三角形の面積としても表現できることを活用する。
底辺が$2t^{2}-2$、他の2辺の長さが$t^{2}+1$の二等辺三角形の面積を計算する。一般的な公式で考えると、三角形の面積だから高さが必要なわけでそれを三平方の定理で求めて・・・とかもいいけど、ここはおしゃれにヘロンの公式で求めてみよう。
ヘロンの公式
三角形の3辺をそれぞれa、b、cとすると、
$s=\dfrac{a+b+c}{2}$として
三角形の面積$=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$
となる。
これに問題文の二等辺三角形をあてはめると
$s=\dfrac{(2t^{2}-2)+(t^{2}+1)+(t^{2}+1)}{2}=2t^{2}$
だから
$W=\sqrt{2t^{2} \left\{2t^{2}-(2t^{2}-2)\right\}\left\{2t^{2}-(t^{2}+1)\right\}\left\{2t^{2}-(t^{2}+1)\right\}}=2t(t^{2}-1)$
と求まる。
これが、すでにわかっている積分計算値$-F(t)+F(1)$と等しい。つまり
$-F(t)+F(1)=2t(t^{2}-1)=2t^{3}-2t$
となる。
ここから$f(x)$を求めるわけだけど、微分積分法の基本定理を使うという意識があるから両辺微分して
$-f(x)=6t^{2}-2$
$\therefore f(x)=-6t^{2}+2$
となって正体がわかった(トナ、二、ヌ)。
今回はここまで。
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