過去に電子書籍(Kindle)でセンター対策本を執筆しているが、そろそろ新しいものに取り掛からねばと思い続けて随分と経ってしまった。
その間なにもしていないわけではなくて、ご存知のとおりこのブログで問題解説を続けてるけど、なんか母校の理科大に恩返しできるような数学本を書けるといいなと日々妄想してる(別のテーマにするかも知れないけど)。
で、以前出したものはだいぶ古くて、内容も今読むとあちゃーと感じなくもないので廃版にしてもいいくらいなんだけど、電子書籍でなにかコストが掛かっているわけでもないのでいっそ公開してしまおうと考えた。
でも。
今までそれなりの人数の方にお金をだして買っていただいてもいるので、そんな方々のことを思うと全ページ無料公開というのも気が引ける。
ゆえに「はじめに」くらいからじわじわと、ときには内容を改定しながら公開してみるのもありかなと思った次第だ。
扱っている問題が古いのと、ボクの文章力が今と比べ拙いという点がデメリットだが、語らんとしているもの、考え方や姿勢は不変なので、気に入っていただいた方はポチッとしていただけると感無量だ。
ということで。
はじめに
金融系のサラリーマンが数学を語るとなると、金融工学への橋渡しとか、仕事に取り組むためのロジカルシンキングといったの話を期待されたかもしれない。しかし、副次的にそういったものへの効果はあったとしても、生憎本書はそういったことを狙ったものではない。
だったら何で「金融サラリーマンが書いた…」なんてタイトルつけてんだよ、と言われそうだが、単に色気を出したかったという下心ゆえであることを白状する。しかし、事実筆者は金融系サラリーマンなので、そこは愛嬌として捉えていただきたい。結果的にその事実がこの本ならではの特異色を醸し出すことを期待するばかりだ。
とはいえ。数学を本職とした方々が執筆された本とは明らかに趣向の異なるものが書けたとは自負している。生活をかけた執筆物と、趣味という名の道楽の延長線上にあるもの、なんて比較で考えると質が低いと思われる向きもあるかもしれないが、趣味がゆえにいかなる制約も受けず自由奔放に僕が愉しいと思えている部分を披露できたと、感じている。
ときどき、映画やドラマで天才数学者なる人物がでてきて、黒板やらノートやらに得意げに数式をつらつらと書き、天才をアピールする場面がある。おそらくあれは、俳優がかっこいいとか、カメラワークがおしゃれとかそういったことも相まって好印象をみる側に残すのだろうが、それにしても数学というものが格好よく映る。一転、現実世界では本当に趣味として数学を解いている人を目の当たりにするとなかなかにそうはいかない。経験的には、あまりにもストイックに取り掛かっている時には「キモい」とさえ言われてしまう始末だ。
そこで、この本では僕の感じるところの数学を少しでも多くの人に普及し、そういったことを少しでも打開したいと考えている。何しろ、銀幕の向こうではかっこ良く見えているわけだから、こちらの世界でもそれができる可能性はあると信じたい。そのための努力として、数学の問題を解くときの思考回路をくどいと思われるくらい詳細に記した。擬似的追体験によって数学を理解し、自ずから展開できるようになれば、きっと僕が感じる愉しさが幾らかは伝わると確信している。そこで数学を趣味とする人の裾野が広がれば、あとはおしゃれ感を付加してくれる人を待つだけだ。
なお、しっかりと理解できた読者にはその特典として、著者の相応の数学力がおすそ分けできる仕組みとなっている。
何故にセンター数学を題材としたのかという点についても触れておきたい。と言っても別に深い理由があるわけではなく、東大でも出身大学である東京理科大でも、はたまた創作問題でも良かったのだが、より多くの大学受験生の数学学習の一助になればという思いにとどまらず、社会人の方々にとっても久しく触れてないところからの入り口として適当と判断した為である。
全体として、世の中に数多ある数学本/受験参考書の中でも一風変な本に仕上がった気もしているが、そんな本が一冊くらいこの世の片隅にあってもいいだろうと思うのと同時に、それがたまたま、学生時代の僕のような人の目に留まれば、きっと何か寄与するところがあるだろうと信じている。
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