昔、よくパチスロをやっていた。4号機が全盛だった頃だ(4号機?という人は気にせずに)。
パチスロは各機種6段階の設定を設けてあり、各機種・設定ごとに機械割(還元率)や期待収支といったものが雑誌等に記載されいる。
そのときよく耳にしていたのが、確率は収束するという話だ。なかなか大当たりが引けず、相当数回転している台において、その時点の経験的確率が公表されている確率よりもとても小さくなっているとき、確率施行は無限回繰り返すことにより値が収束し理論値になることを背景に、確率値を調整するように大当たりの波が発生するだろうと考えている人は少なくなかった。
また、もう少し利口な人であっても、「試行回数が少ないだけだ。数多く回せば、理論値に近づく」と話していた。これは正しいようで、誤解をはらんでいる。
神様はそんなにお人好しではない。大当たりの波が来ることもあるだろうが、負けている人の財布から根こそぎ取っていこうとすることはよくあることだ。
では確率が収束するということは嘘なのだろうか。
もちろんそんなことはない。確率は無限回の施行において収束する。これは、神の手によって調整が図られて、理論値に向かうのではなく、大局的な方向性が存在しているということである。ズームアウトしてみてごらんということだ。
仮に大当たりの確率を$\dfrac{1}{200}$とする。毎度レバーを叩く度の大当たり確率は一定である(詳しい人へ。純Aタイプである前提で考えて欲しい)。大当たりを引くまでに、3回連続で1,000回転を超えたとする。
この時点で、経験的確率は$\left( \dfrac{1}{1000} \right)^3$より小さい。ここで相当数回転させれば、これが$\dfrac{1}{200}$に近づいていくはずなので、すぐに辞めずに続ければ少しは負けた額を取り戻せるかもしれない、と考えがちだ。
しかし確率の収束とは、そういうことを意味しているのではない。確率の一時的な偏りが回数を重ねることで修正されていくわけではなく、無視できるくらいのものになっていくのである。
一時的に$\left( \dfrac{1}{1000} \right)^3$となったからといって、大当たりが少ない回転数でくることが頻発して調整が起きるのではなく、3,000回近く回して3回しか当たらなかったという事実が誤差であるくらいに(無視できるくらいに)回転数を回したときに、大局的な方向性として$\dfrac{1}{200}$に近づくのである。
このときに10万円くらい大負けしたとして、莫大な数の試行回数を重ねたあとで1億円規模の勝ち負けの話をするときに10万円の話がちっぽけでどうでもよくなる、といった具合だ。
※ちなみにこういったことを、数学的には大数の法則と呼ぶ。
あたりまえじゃないか、と思う人が多いとは思うが、ボクは純Aタイプ機のハマり台に期待してしまうあなたにこの記事を捧ぐ。
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