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【問題解説】センター試験平成29年度本試験 IA 第2問

長く時間がかかった第1問が終わり、今回から第2問。まずは三角比の問題です。

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まずは図形の問題だから図を描きます。想像で戦うのは難しいです。
*今回からiPadで手書き図を採用。使いやすい。

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(1) 最初は$AC$の長さから。

今、求めたい辺に対し、二辺とその間の角がわかっている状況です。この状況にぴったりと当てはまる公式が余弦定理です。

$AC^{2}=AB^{2}+BC^{2}-2\times AB \times BC \times \cos\angle ABC$

それぞれに値を代入して計算するだけで求まるので大したことないのですが、ここで意識したいのがこの余弦定理の使用動機です。

先程、二辺とその間の角がわかっている状況だから余弦定理と言いました。間違いではないのですが、もう少しほんのり掘り下げて見てみます。

もしこれが直角三角形だったらどうでしょうか。中学数学で習う三平方の定理で一発ですね。直角三角形で三辺のうち一つわからない状況を打破する手段として、三平方の定理は超有名かつ強力な武器です。

余弦定理の$cos$の角度に$90°$を代入すると、この三平方の定理が現れます。これってつまり

余弦定理:三平方の定理を一般化したもの

と解釈できるわけです。

そうなると基本的な姿勢として、三平方の定理を使う動機と余弦定理を使う動機は基本的には同じです。一つ角度が明らかになっている三角形において、3辺のうち一つがわかっていない状況で使える武器ということです。

で、問題に戻って値を代入することで $$ AC^{2}=\left( \sqrt{3}-1 \right)^{2}+ \left( \sqrt{3}+1 \right)^{2}-2 \left( \sqrt{3}-1 \right) \left( \sqrt{3}+1 \right)\cos 60 ^\circ $$ $$ =2\left(\sqrt{3}^{2}+1^{2} \right)-2\left(\sqrt{3}^{2}-1^{2} \right) \cdot \frac{1}{2}=6 $$ $$ \therefore AC=\sqrt{6} $$ となります。

続いて外接円の半径。三角比の問題で外接円といったら正弦定理です。だからもしも、もしもこれがわからなかった人は、まずこの問題のカテゴリに気づくことです。難問になると自分でカテゴリを決めるなんてこともありますが、ここは素直に三角形が出てきていて、$\sin$、$\cos$がでてきてるから三角比の問題だなという程度で大丈夫です。三角比の問題と気づけて正弦定理の存在を知っていたら、外接円の半径が絡む公式はこれだけなので明らかです。

外接円の半径を$R$として $$ \frac{AC}{\sin \angle ABC}=2R $$ $\angle ABC=60^\circ $なので $$ \frac{\sqrt{6}}{\frac{\sqrt{3}}{2}}=2R $$ $$ \therefore R=\sqrt{2} $$

次に$\sin \angle BAC$ を求めます。
「◯◯だから、☆☆で、△△です」という問題文の形式ですが、だからという言葉は因果関係を示すものです。$AC$の長さがわかったら、外接円の半径がわかるということで確かに因果関係が成り立っています。
次の△のところにはで繋がっています。◯◯と☆☆が因果という名のセットで、△△もこのセットとなんらか関係あるよ(あるいは☆☆となんらか関係があるよ)と読めます。関係ないなら一文に含めるのはおかしいです。
つまり問題文はざっくりいうと、外接円の半径がわかっていて$\sin$を求めよと言っているわけです。これはもう、また正弦定理を使うしかありません

$$ \frac{BC}{\sin \angle BAC}=2R $$ $$ \frac{\sqrt{3}+1}{\sin \angle BAC}=2 \cdot \sqrt{2} $$ $$ \therefore \sin \angle BAC=\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} $$

(2) $\triangle ABD$の面積がわかってて、$AB\cdot AD$を求める問題。つまり、面積の値がすでにわかっていて、それを道具に$AB\cdot AD$を求めよということです。面積の値がわかっていると、我々はどんなことができるのでしょうか

面積とは普段は計算した結果として求まるものです。よくある公式だと

$底辺 \times 高さ \div 2=面積$

です。これって見方を変えると、底辺と高さがわかってるから面積が求まるということです。つまり、わかっているものを使ってわからないところが出せているわけです。

高さと面積がわかってて、底辺がわからないときにも、高さだけがわからないときにも当然使えるわけで、等号で結ばれたあらゆる公式はこんな見方ができます

で、問題に戻りますが、先に話したとおり三角比の問題なので(というか$\angle BAD=\angle BAC$で$\sin$の値がわかっているので)公式は

$面積=\frac{1}{2} \cdot AB \cdot AD \cdot \sin \angle BAD$

を使います。ここに$AB \cdot AD$がそのままあるので、

$$ \frac{\sqrt{2}}{6}=\frac{1}{2} \cdot AB \cdot AD \cdot \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} $$

ここから、

$$ AB \cdot AD=\frac{2\sqrt{3}-2}{3} $$

と求まります。$AB$で割れば$AD$は求まるので、

$$ AD=\frac{2\sqrt{3}-2}{3} \times \frac{1}{\sqrt{3}-1} $$ $$ =\frac{2\left( \sqrt{3}-1\right)}{3} \times \frac{1}{\sqrt{3}-1}=\frac{2}{3} $$ となります。

今回はここまで。

で、恒例の最後に宣伝。よろしく。