このブログでは、アメブロ時代に書いていたようなコラム的なものとクロスワードパズル的な感覚で見てもらいたい問題解説を基本軸(他にもやるかも)で考えてます。 一応カテゴリ分けてますけど、記事でもすぐわかるようにタイトルに【コラム】とか【問題解説】とつけるので、一方にしか興味ない人はご参考のほど。
とりあえず、センター対策本書いているうちに2回もセンター試験が過ぎていったので、まずはそこに追いつきます。
ちなみに、僕だったらどうやって考えて解くんだろうと思われる問題がもしあれば連絡ください。必ずとは約束できませんが、取り扱えるように善処します。
なお。問題文については、画像である点了承ください。
ということで、センター試験平成29年度本試験 IA第1問から取り掛かります。
解説に入る前にもう少し補足。
【問題解説】とうたってますが、この‘’問題‘’と‘’解説‘’の間ってどんな助詞が入ると思いますか?
- と
- で
- を
- その他
僕のこれから始まる解説、どう解釈していただいても、使っていただいても構わないのですが、書いてる側から言えば‘’で‘’です。 この問題を解くときの僕の思考回路を説明しているという観点で言えば、‘’を‘’というのもそうなんですが、直接解法というより、どう考えて解いているのかという少し抽象的なところが伝わればいいなという思いもあったりするので、僕としては‘’で‘’なんです。誰がやっても解けるのような易しい問題でも、そういう観点だからこそ語りたくなるところがあるんです。 もちろん、客観的には‘’と‘’ですけどね。
で、最初の問題。
すぐに解き始める前にまず問題文をしっかり読んでみます。
この
$$x^{2}+\frac{4}{x^{2}}=9$$
という式から、「あー基本対象式の問題ね」と思う人は手の運動レベルの問題です。でもそれじゃつまらないでしょ。だから知らない体裁で考えてみます。
一般的に数学の問題では、同じような形のものがでてくることがあります。
今回の問題でいうと、
$$ x^{2}+\frac{4}{x^{2}} $$ $$ x+\frac{2}{x} $$ $$x^{3}+\frac{8}{x^{3}}$$ $$x^{4}+\frac{16}{x^{4}}$$
あたりはそれぞれ同じような形をしてます。この同じような形、偶然なのか、なにか思惑があるのか問われたならば、どっちもです。今回の問題は思惑があるし、別の問題のときには偶然かもしれません。しかし。こういうときは「思惑があるかも」と思うんです。偶然という予想が当たったところで意味がありません。
で、この同じような形ですが、いま時点では感覚だと思います。なんとなく似てるなと。 そこで少し掘り下げてみましょう。どこが似ているのか。そして、どこが異なるのか。
天邪鬼な話ですが、何かと何かが”同じ”というときは、別の面では何かが異なります。本当に同じものならば、わざわざ同じなんて思いません。”一心同体”なんて言ったりしますが、異なる二人がいるからこそ成り立つ言葉なんです。
まずどこが似ているのか。
それは、ある変数とその逆数的な数の和の形をしていることです。見た目そのままです。
ここで”逆数”について、僕らはどんなことを知っているのでしょうか。なんらか定義された言葉というのは、破壊力こそそれぞれ異なるものの、パッケージ化された武器です。知識とは使うものなんです。で、逆数は乗じて1になる数です。これは問題を解くために使える武器です。
今回変数$x$とその逆数的な数$\frac{4}{x}$なので、乗じて4にすると変数が消えていい感じです。どこかで使えたらいいなと頭の片隅においておきます。
では次にどこが異なるのか。
変数の次数です。1次のものから4次のものまでラインナップされています。2次の場合だけ9と値がわかってるので、解く前の段階では、1次から4次のうちでこれだけが武器になります。
ではそろそろ解いていきます。 まず与えられた式を素直に展開してみます。「まず」といっても、キモチとしてはなんとなく展開してみるというよりは、展開すると上で述べた同じような形が現れることが予想できるし、乗じて4になるのことも使えそうだし、と先を見通せるとイイ感じです。 $$\left( x+\frac{2}{x} \right)^{2}=x^{2}+2 \times x \times \frac{2}{x}+\left(\frac{2}{x}\right)^{2}=x^{2}+\frac{4}{x^{2}}+4$$ するとここで武器である2次の $$x^{2}+\frac{4}{x^{2}}=9$$ が使えるので $$=9+4=13$$ と求まります。
次に一次の式
$$x+\frac{1}{x}$$
を求めるわけですが、回り道しないためにもセンターのようなマーク式試験によくある文章部分はしっかりと意識して読むことをおススメします。数式や条件とかは注視して読むけど、文の繋がりを表す接続詞とかを気にする人は少ない気がします。勿体ない。
この一次式を問う前後の言葉は、「であるから」〜「である」です。つまり、
$$\left( x+\frac{2}{x} \right)^{2}$$
を使って、値が求まることを言ってくれてます。今求めたものを使いなさいよ(=武器ですよ)ということです。この武器と求める式
$$x+\frac{2}{x} $$
を比べると、2乗になってるだけなので、平方根を考えれば良いことがわかります。ここは簡単すぎて流石に問題にすらなっていません。
$$x+\frac{2}{x} =\sqrt{13}$$
つぎに3次の式の値 $$x^{3}+\frac{8}{x^{3}}$$ を求めます。
まずとても教科書的に考えてみます。式をながめると、和の形を積の形にせよ、と問われていることがわかります。
和の形→積の形:因数分解
積の形→和の形:展開
と扱うのが因数分解と展開という名の2つの武器の王道的な使い方です。
ここでは
$$a^{3}+b^{3}=(a+b)(a^{2}-ab+b^{2})$$
という公式があるのでこれに当てはめれば答えが出ます。公式と問題が項の順序が変わっていることに注意して $$x^{3}+\frac{8}{x^{3}}=\left(x+\frac{2}{x}\right)\left(x^{2}-x\cdot\frac{2}{x}+\frac{4}{x^{2}}\right)$$ $$=\left(x+\frac{2}{x}\right)\left(x^{2}+\frac{4}{x^{2}}-2\right)=7\sqrt{13}$$ となります。
でも、例えば大人になって趣味的に読んでいただいている社会人の皆さん。この公式って覚えていますか?趣味でやってるくらいだから忘れている公式なんてググって解決なんだと思うのですが、今回は公式を覚えていなくても解けます。
“=”って記号(等号)、今更ですがわかっていますか。
この記号で結ばれた左辺と右辺が同じ、とざっくり捉えているかもしれませんが、もう少し深く考えてみます。
さっきも触れましたが、同じって言葉がポイントです。
一般に式が等号で結ばれているとき、等式と呼ばれます。等式にはざっくりと2種類があります。
- 等号が成り立つ値が存在する式
- すべての値において、等号が成り立つ式
です。前者が方程式、後者が恒等式と呼ばれるものです。例えば、
$$x+5=8$$
は方程式です。このイコールという名の橋は$x$が3のときしか渡れません。
一方で
$$x(x+1)=x^{2}+x$$
は恒等式です。$x$にどんな値を入れてもこの橋は渡れます。身近なところで、式の因数分解や展開に登場する“=”は、恒等式です。
この問題に当てはめてみると、
$$x^{3}+\frac{8}{x^{3}}=\left(x+\frac{2}{x}\right)\left(x^{2}+\frac{4}{x^{2}}-ウ\right)$$
この式は3次式の因数分解なので恒等式です。ということは、$x$にどんな値を入れても成り立ちます。どんな値でもいいなら、計算が楽になる値がいい感じです。ということで、ここは$x=2$をいれてみます。
$$2^{3}+\frac{8}{2^{3}}=\left(2+\frac{2}{2}\right)\left(2^{2}+\frac{4}{2^{2}}-ウ\right)$$
これを計算して、$ウ=2$が求まります。
最後に $$x^{4}+\frac{16}{x^{4}}$$ の値の計算です。4次なので2次+2次とするか、一次+三次にするかです。計算量の違いしかないのでどっちでもいいんですが、とりあえず前者で計算すると $$\left( x^{2}+\frac{4}{x^{2}} \right) ^{2}=x^{4}+\frac{16}{x^{4}}+2\cdot x^{2}\cdot \frac{4}{x^{2}}$$ $$9^{2}=x^{4}+\frac{16}{x^{4}}+8$$ よって $$x^{4}+\frac{16}{x^{4}}=73$$ となります。
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